Top > ブログ

コロンビアという国に降り立つ。 – Cartagena, Colombia

夜中の3時30分ころ、錨を降ろすガラガラという音で目が覚める。あれほどの揺れは収まり、ちゃぷりちゃぷりと水の音がするだけだ。

ベッドの上にある窓をガチャリと開けて顔を出してみると、目の前に眩く光る豪華客船と海岸に並ぶビルが輝き、夜も働き続けるガントリークレーンがコンテナを動かしている。

ボートに乗った日には満月だった月も、右半分を黒く埋めている。

こうして、南米、コロンビアのカルタヘナに到着した。もう揺れずにすむ。

朝の8時半ころまで再び休んでから、みな揃って朝食をいただくことにする。ハムにチーズ、きゅうりとトマト、パンにコーヒーとパイナップル。ようやくみな揃ってゆっくりとおいしく食事をいただくことができる。

船長は一人、ゴムボートに乗り換えて、カルタヘナへのイミグレーションオフィスへ向かう。

Silver Spiritと書かれた客船がゆったりと沖へ出ていく。
岸には第七光洋丸と書かれた日本船籍の船も泊まっている。
港の海の色は茶色く濁っている。もう食器を海で洗うことも、できない。

2時間ほどして戻ってきた船長は、パスポートは明日にならないと戻ってこないから、明日17時に待ち合わせをしよう、そこでパスポートを返します、と言った。そして、パスポートのコピーが手渡される。

ティムが言う。
「この2週間、パナマでのボートの予約手配から始まって、ずっとボートに乗ることばかりを考えていたから、また旅に戻るのが不思議な感じがするよ。」

12時半過ぎ、船長がわたしたちをゴムボートに乗せてカルタヘナ、マンガ地区の桟橋へと送っていく。

桟橋に荷物を置いて、沖に泊まっているCleo’s Angelを眺める。
もう足元は揺れない。大きな荷物をしょって、南米の旅が始まる。

濁っている海でも、少年たちは発泡スチロールによじ登ってはまた海に飛び込んで、遊んでいる。その横では、髪を逆立ててジーンズにボーダーのシャツを着た二人のお洒落男子が、音楽を聴きながらやれやれと少年たちを眺めている。

桟橋の近くに座っていたダイビングが仕事だというおじちゃんたちにカルタヘナの中心を聞き、宿の多いGetsemani地区へ橋を渡って向かう。

カルタヘナは1533年にペドロ・デ・エレディアが上陸してから南米各地からの物資を運ぶ港として栄えたが、16、17世紀にかけて海賊に悩まされたことから、城壁が町を囲み、要塞が構えられた。

4kmにも及ぶ城壁の内側に位置するGetemaniは今も植民地時代の面影が残されている。

狭い路地には、両端から白いビニール袋がずらりと並べられ、クリスマスを祝っているのだという。ブーゲンビリアがところどころに見られる路地をじぐざぐと進み、Santisima Trinidad教会を通る。

メディア・ルナ通りは宿が数多く並んでいるものの、満室のところも少なくない。乾季の今はコロンビアもまたハイシーズンなのであった。

Hostel Holidayにようやく部屋をとり、夜になって宿の近くのレストランEl Coroncoroへ向かう。地元の人で賑わうその店は、キッチンの暑さがそのままむわりと部屋を満たしている。

パナマからボートに持ち込んだ4本のビール瓶を一本も飲むことができずにコロンビアに辿り着いたものだから、ここで飲んだ、きりりと冷えたAguilaビールはまた格別なのであった。あわせてPescado Guisadoという、モハラという魚をココナッツで焼いたものにポテトフライとライスのセットを注文する。

コロンビアはとても良い国で、人々がフレンドリーだ、とコロンビアを旅した人々は口を揃えて言う。

その国に、やって来た。