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South Africa

南アフリカの大都会からボツワナ国境まで。 – Pretoria / Johannesburg / Border with Botswana, South Africa

自由席かつ満席で出発したIntercape社のバスは、途中真夜中のヨハネスブルグに立ち寄り、どっと乗客が下車をする。

プレトリアに到着した早朝4時半はまだ外は暗く、思いのほか寒い。ボツワナ、ハボロネ行きの国際バスの発車13時15分までまだ時間がある。辺りの治安も良くないというので、セキュリティの人々が駐在している部屋へお邪魔する。

セキュリティの人々は、昨日の17時から今朝の5時まで交代制で働いているといい、もうそろそろ勤務時間も終わるころだ。ジャケットを着込んだまま、のりのりと踊りだしたりする。

日のあがってきた7時ころ、プレトリアの街へと繰り出してみることにする。アパルトヘイト時代は白人専用だったという煉瓦造りの駅に立ち寄り、ポール・クルーガー通りを北へとあがっていく。

商店やそれに併設された簡易食堂、インターネットカフェや家具屋、電気屋などが軒をつらねている。そこを人々がおしゃべりをしながら歩いていく。

32もの鐘をもつという時計台をつけた市庁舎の前を過ぎ、ボーア戦争中には戦争病院としてイギリス軍に徴用された裁判所のあるチャーチ・スクエアまで歩く。

各社新聞紙がびっしりと道に並べて売られている。

道ばたではところどころ段ボールを囲ったところにフライパンをいくつか並べて、パンを揚げて売る女性たちがいる。

チャーチ・スクエアにほど近い段ボールのお店で、Fetkoekという名のその揚げパンと、わきの容器に入っていたソーセージの輪切りを合わせて注文する。Fetkoekは外はかりっと、中はもっちりとして、ほんわりと甘い。

Wifiのつながるところを探していると、インターネットカフェの男性が、マクドナルドが良いと教えてくれた。

南アフリカ首都のマクドナルドは、マクドナルドといえども、そこはかとなくルールがゆるそうな雰囲気である。店員は踊りはじめそうな勢いだ。あたたかいコーヒーを注文する。このマクドナルドは24時間オープン、1時間Wifi無料というやる気にあふれた店舗である。

バスの時間が近づいてきたので、ポール・クルーガー通りを歩き、ターミナルへと戻る。途中、プレトリアでよく見かける、商店とレストランが併設されていた店舗でJOKERS PIEと名付けられた、紙袋に入ったパイを買い求める。店には中華系の女性と黒人の女性が働いている。

バスには一度パスポートを見せてから乗車する。先ほど買った、胡椒のきいたペッパーステーキとミートパイをほおばる。

首都、プレトリアの街を出るとすぐその郊外にはロレアル、ソニー、ホンダ、ジョンソン・アンド・ジョンソン、携帯電話会社vodacom社などの工場が立ち並ぶ。その風景を眺めながら40分もすると、ヨハネスブルグの街に入る。

一度ヨハネスブルグのダウンタウンにあるバスターミナルを経由して、ボツワナに向かうのである。

ヨハネスブルグには恐れをなして、さっさと通り過ぎようかと思っていたら、なぜか離れてはまた戻り、これで4回目だ。

いよいよ最も治安が悪いと言われるダウンタウンにバスは入っていく。「100メートル歩けば2回強盗にあう」とも言われてしまうほどの、ヨハネスブルグ、ダウンタウン。

その道には、人々が歩き、車が走っている。高いビル、凶悪犯罪が多発しているというメトロの駅、落書きされた壁、Hillbrowと書かれた標識、立ち並ぶ倉庫。

アイスクリームを友だちと歩きながら食べる女の子、青い制服を着た小学生の子どもたち、マットを頭にのせて歩いている男性、がれきを運ぶトラック、ファストフードを提供する店、中国料理屋。

人々が、そこで生活をしている。

到着したバスのターミナルではバス会社の職員男女が抱き合っている。しばらくじっとバスが停まり、数人の乗客を乗せ、半分ほどの座席が埋まったバスは、また発車をする。

大きな鉄道を渡り、高層ビル街に入る。FNB銀行やコカコーラ、CHIVAS社などの看板をつけたビルを過ぎると、やがて高級住宅の並ぶ郊外地区、それから草の生える大地へと移り変わっていく。

バス添乗員の女性は、プラスチックの箱からスナックと飲み物をがさごそと取り出し、トレイの上に乗せて、さして興味もなさそうに車内を売り歩く。

夕日が沈み、ボツワナ入国用の用紙がバスの中で配られ、19時半にはイミグレーションオフィスへと到着する。

携帯電話で話しながら出国待ちをする人がいるほど、スムーズに出国手続きが終わる。

南アフリカ-ボツワナ国境情報

南アフリカのプレトリアから、ボツワナのハバロネへ抜けるルートです。

INTERCAPE社の国際バスが出ているので、乗車。

6時間程で国境へ到着。

南アフリカ側で出国手続き。パスポートを提出。無料。

徒歩で200m先のボツワナ側へ。
入国カード・パスポート提出。無料。

バスが待っていてくれるので、乗車。

30分程で、ハバロネに到着。

◎両替
 国境に両替所があります。
 1R=P0.8650

Sakkieおじさんのいるパブ – Nelspruit, South Africa

今朝は宿のプールのあるテラスで、朝食をとる。ミルクコーヒーに野菜スティックとチーズの盛り合わせをいただく。

これからバスで南アフリカの首都プレトリアまで行き、そこでバスを乗り換えてボツワナの首都ハボロネまで向かうことにする。

タクシーに宿まで迎えに来てもらう。この辺りは車の交通量が少なく、流しのタクシーはつかまらない。

やってきたタクシーの上にはアラビア語のサインが書かれている。どうやらエジプトで使われていた車両がこちらに来たのだと思われる。何と書かれているのか尋ねても、分からない、と言う。

ネルスプリットからプレトリアまでのバスを出しているバス会社は3社ともに昼の便は満席だという。そこで、Intercape社の夜行バスでプレトリア、プレトリアから明日の昼ボツワナの首都ハボロネまで発つ便を予約する。

プレトリアまでは、バスのみならず、ミニバスという名の乗り合いタクシーも出ているが、その乗り場は「危ないです。」とIntercape社の窓口の女性は言う。「このターミナル付近のダウンタウンはどこも危険です。」

「弊社の夜行バスは安全だと保証できます。夜までお待ちになる間、身の回りの荷物には十分注意してください。今日は日曜日なので、弊社のオフィスも13時になったら閉まります。それまではこのオフィスにいていただいて構いません。その後はオフィス2階にあるパブに行くことをお勧めします。」

バス会社の女性は、そう続けた。

オフィスの2階にビリヤード場もあるPaddy’s Pubがある。ターミナル近くのスーパーマーケット、Shopriteに立ち寄り、食材を買い出しした後、パブで夜までの時間を過ごさせてもらうことにする。

昼食は、とうもろこしの粉などから作るPapに、スパイシーなチキンや牛肉のビーフ、野菜のセットを食べる。南アフリカでは、カレー風味の食事をよくいただく。

ドリンクは、バーでHUNTER’Sをオーダーする。アルコール4.5%の「サイダー」である。「サイダー」は、ここでは「砂糖の入ったアルコール飲料」を指すらしい。澄んだ黄色いサイダーは、フルーティーなスパークリングワインのようで、ごくりごくりと飲んでしまう。

地元の男性たちが時折入店してきてはビールを飲んでくつろいだり、ビリヤードを楽しんだりしている。カジュアルなTシャツを着てジーンズを穿いた男性もいれば、その隣で一緒にビールを飲んでいるのは、上着のシャツのボタンを大きく開けて、黒に白のストライプのパンツを穿き、ぴかりと光る黒い靴を履いた男性である。

中南米ではスペインリーグが放映されていることが多かったが、南アフリカに入ってから、イギリスのサッカーリーグがよく放映されている。今日はマンチェスター・ユナイテッドとアストン・ヴィラの試合である。従業員もテレビにくぎづけだ。

カウンターにいる店のおじさん、Sakkieさんに頼んで、アマルーラを作ってもらう。象も食べるというアマルーラの実のリキュールで、カルーアミルクのように甘くて、やさしい。

氷を出してグラスに入れて、アマルーラのリキュールを注いで、手でぐるんぐるんと回す。「はい、グラスは持っていくからね。席についてて良いよ。」そう言いながら、アマルーラのボトルと一緒に写真を撮ってみたら良いと、ボトルを持ってきてくれる。

周りの客もなにやら親切でフレンドリーなこと甚だしい。日本の地震について聞かれる。「日本は強い。何があっても、必ず立ち直る。」エチオピアから南アフリカに働きに来て20年という男性は、そう言った。

法律で、今日はパブを21時で閉めなければならないが、バスの時間の23時ころまで店の一角にいて良いよとSakkieさんは言う。「外は危ないからね。時間になったら俺がバスの乗り場まで連れていくから、安心しなさい。この界隈の人間は俺のことを知っているから、指一本触れさせたりしないんだ。問題ない。」

既に店内で買ったビールの瓶を持って幾人かがテラスで飲んでいる。そのうちに酔っ払った男性の声が大きくなっていく。「俺はモザンビークからやってきた。大きな鞄を背負ってこの階段を下がったら、盗人がやってきて、モノを盗んでいくよ。だからこの男にくっついていかなきゃいけない。下にいるセキュリティの周りは大丈夫。でも、その他の場所に行ってはいけない。」とSakkieさんの肩をつかんで、わたしたちに語りかける。Sakkieさんは、時折鋭い目つきを見せながら、それでも辛抱強くその客の興奮をなだめる。

他の客が帰ってからもSakkieさんはビールを片手にわたしたちのバスを一緒に待っていてくれた。インド人の奥さんと2度目の結婚をし、その奥さんは6年前に他界したという。家に帰っても一人だから、これから帰って飯を作るんだよ。

サファリに行っても、もうバファローも象にもびっくりしないが、ライオンとひょうだけは別もんだよ、ライオンなんておっかないから、思わず、車の窓をひょひょいと閉めたもんだよ。そう語りながら、歯のかけた顔におどけた表情をみせる。

ヨハネスブルグに40年住み、仕事でネルスプリットに移り住んできて12年、ネルスプリットも最近は治安が悪くてヨハネスブルグのようになってきたと嘆く。ドラッグが行き交ってるからね、でも俺はドラッグは大嫌いなんだ。酒も煙草もやるが、それで十分幸せだ。この店にドラッグを持ち込んだやつを見つけたら、とっとと追い払うんだ。

それでもヨハネスブルグはネルスプリットよりも40倍ほどヤバイのだと言って、口をすぼめてひゅーっと音を立てる。うちの家は生粋のアフリカーナー(南アフリカに最初に入植したオランダ系白人)なんだ。それを誇りにも思っている。それでも、もうヨハネスブルグには戻りたくないね。強盗も多いし、ひったくりも多い、でもこの国は良い国だよ。

バス発車予定時刻の23時15分ころ、暗い道の向こうからバスがやってきて、パブの前の道路に停まる。Sakkieさんは、わたしたちの荷物を抱えて、わたしたちがバスに乗るまで見送ってくれた。「写真を見て、俺のことを思い出してくれ。」

握手を交わした、その手は、とても大きくて、とてもあたたかかった。

クルーガーには、ビッグファイブがいる。 – Kruger National Park / Nelspruit, South Africa

動物が活発に動くのは日が暮れてからと夜明けだということで、キャンプ場の門の開く朝6時をめがけて、キャンプ場のみなが起きだす。

湖沿いには朝日に照らされたバファローがのんびりと座っている。虹がうっすらと空に浮かんでいる。

SkukuzaからLower Sabieへ向かい、さらにTshokwaneへのサバンナをひたすら走っていると、前から来たレンジャーの男性が車を停めるよう合図をする。そして「ひょうが800mほど先にいる。まだいるかもしれない」と教えてくれた。

急いで車を走らせると、道のわきにひょうがゆたりゆたりと歩いていた。するりと草むらに入り、静かにこちらをじっと見る。牙をむいた口をやや開けている。しばらく向き合った後、ひょうは身体をひるがえして、茂みの中へと消えていった。

ひょうは夜行性で用心深いというから、今この時間に現れたことに感謝するばかりである。

背の高いきりんが、道をゆったりと歩いていく。首のところに傷のある、昨日見たきりんで、今日も首に変わらず、鳥をくっつけている。

象やサイ、しまうま、いのししが朝日を浴びている。かばは変わらず、ぽってりと寝そべっている。

パンにチーズペーストをぬってほおばったり、キャンプ場で買ったチョコレートバニラのクッキーをかじりながら、更にゲームドライブを進める。今日は、ビッグ・ファイブの最後の動物、ライオンを、見たい。

ライオンは夕暮れや夜明けに行動をするので、昼に見られることは稀だといい、半ば諦めかけていたころ、前方に車が数台集まっているのが見える。

寄ってみると、メスライオンが、いた。木陰で座っている。顔をわずかにこちらに向けた後、そのうちにぺたりと横になる。昼の間はしばらくこのまま動かないのだろう。

そのすぐ後にカメがよたよたと道を渡っていく。大物ぞろいの動物公園で、小さなカメはなんだか申し訳なさそうだ。「わたしなんか、こんなところにいる身分じゃないんですけどね、ほんとすみません。」
カメだって立派な動物だ。堂々としていればよいのである。

たくさんの象が水浴びをしに、川へと歩みよっていく。それを見るために数台の車が道に停まる。そうすると、なにごとだと更に車が停まる。そして互いに何が見えるのかという情報交換の段になり、象がいるのだと伝え合う。人によっては「象か」とがっかりして肩をすくめて先へ進む人もいる。それくらい、ここでは象がメジャーな動物なのである。

インパラの群れが道を横切っていく。そのうちに、大きな音がして、一斉にインパラが逃げていく。車なんて恐れることなく、車道を軽快に逃げていく。

最後にSkukuzaに戻り、川沿いで昼食を食べる。パンにチーズ、それににんじんをかじる。蜂がぶんぶんと周りを飛んでいく。

そこからNumbiゲートに向かってまっすぐな道を走り、帰路につく。

クルーガー動物公園を出ると、牛がのそりのそりと歩いている。丘には木々の合間に石造りの家が点々としている。家は比較的新しい。

無事に車を返し終え、タクシーに乗って宿へと向かう。ナビを貸してくれた男性職員も偶然遭遇し、礼を伝える。

夜は、スパイシーな野菜煮込みチャカラカに、たっぷりと玉葱のみじん切りを加えて、煮込む。酸味とスパイスと甘味がほどよい具合だ。ごまパンを火で焼いてチーズを添え、コクのあるBlack Labelのビールを合わせる。それからミルクコーヒーにクッキーをつまみながら、夜を迎える。

どうぶつが、たくさんいる。 – Nelspruit / Kruger National Park, South Africa

動物たちが活発に動くのが明け方と夕方だというので、6時には宿から車を発車させ、クルーガー国立公園へと向かう。

カージャックされる可能性もあると言われたものだから、窓をぴしゃりと閉め、ドアもロックし、進む。でも、赤信号では停まらざるをえない。はらはらだ。

街から工場のそばをぬけ、その内に朝焼けが見え、空がより明るくなってくる。

学生たちは制服を着て、バスを待っている。白人を見かけることはなかった。舗装された道路はところどころに大きな穴があいていて、そこに車がはまると、ガタリと大きな音をたてて、車が傾く。

1時間ほど走ったところで、クルーガー国立公園のNUMBIゲートに到着する。そこで、氏名やパスポート番号、車両番号を記入し、「申告する武器はありますか。」という質問に答え、トランクを開ける。

そして一度車を降りてレセプションでパスポートを見せ、今晩泊まるキャンプ場を登録する。キャンプ場には18時までに入ってください、と言う。しっかりとしたシステムが整っている。レセプションの女性は、南アフリカの公用語、11種類の言葉を話せるのだといった。この付近ではみな英語はネイティブ、そのうえで何語かを地元の人たち同士で話をしている。

クルーガー国立公園は、2万平方キロメートル、日本の四国ほどの大きさで、そこに約2000kmの舗装道路が敷かれ、車が走る。ハンティングの獲物ベスト5であった「ビッグファイブ」、ゾウ、ライオン、サイ、ヒョウ、バファローが全て生息していることでも知られている。

動物は、この広大な公園を自由に行き来している。公園に点在するキャンプ場には、昨日と今日、主な動物が発見されたところをマークした地図が貼られていて、それを参考に車を走らせる。

今日は、レセプションの女性に勧められたルート、NumbiゲートからSkukuzaへ進んでLower Sabieまで行き、TshokwaneからまたSkukuzaへ戻ることにする。

最初にベルベット・モンキーがそろりと道を通り過ぎると、次は鼻に大きな角をつけたサイが道のわきからひょっこりと顔を出して、そのまま草むらへと消えていった。また少し車を走らせると、次は2頭のバファローが現れ、木に顔をすりすりと擦りつけて、おしりを並べながら、草むらへと帰っていく。

今は、インパラの時期だというので、あちらこちらに群れが見られる。時にその群れが道を横切る。雄はしゅっとした角を天に向け、雌はつるり毛並みのそろった肌を見せている。インパラとしまうまの群れが共に暮らしている。しまうまの一頭が大きな傷を負っている。

パンにチーズペーストを塗ってかじりながら、動物を探していく。

Skukuzaを抜けて、更に先へ進む。

色鮮やかなほろほろ鳥がぴょこぴょこと歩き、象の群れが道を横切っていく。親が横切り、子どもが横切り、草むらから続々と象が現れては、時折鼻をくるりと巻いて草をほおばりながら、目の前を何頭ものそりのそりと歩いていく。

Lower Sabieのキャンプ場に到着したので、昼食をとることにする。そこには無残な殺され方をした動物の写真が貼られ、密猟関連プロジェクトと題し、「密猟を止め、野生動物を保護しましょう」と書かれている。そして、売店の前に、しまうまとインパラの革がぴろりと置かれている。

白パンにチーズペースト、にんじんにツナをほおばる。テーブルの前には川が流れ、明るい青にオレンジ色の目のアカガタテリムク鳥がじっと目を見開いている。

Lower Sabie近くのサビー川には、何頭ものカバが頭だけひょっこりと出して、目をきゅっと閉じてぷかぷかと浮いている。お昼寝中のようである。

黒い毛に線が入り、きゅっと角をはやしたオグロヌーとインパラの角が行き交う。

たくさんの鳥が道や木にとまっている。

道のわきの草むらに、置きもののようなキリンがにょきっと佇み、じっとこちらのほうを向いていた。首のところに傷がある。皺をたたえたその顔は優しく、何かを咀嚼している。

キリンがころころとしたフンをし始めると、首にとまっていた鳥がおしりの穴へと移動して、つつく。中まで入りそうな勢いである。キリンはそれに動じず、方向をくるりと変えて、草むらの向こうへと去っていった。

夕暮れに辺りが徐々に色を変えていくころ、象の群れは草むらを変わらずに歩き、イボイノシシはこちらをきょとりと見つめている。

4時半を過ぎたころから、なにやら辺りが騒がしく、空気がみるみる元気になっていくのが分かる。多くの動物たちがあちらこちらで活動を始めた。

車を走らせていると、前方から長くて太い牙をつけた大きな象がのそりのそりと近づいてくる。車が潰される勢いではらはらする。動かずにじっとしていると、そのうちに方向を変えて、茂みへと入っていった。

茶色に白い縦線の入ったニアラやウォーターバック、サイやキリン、ヒヒやインパラ、カバが次々と現れる。 

やがて夕日が沈み、暗闇になる。リスが車の前を勢いよく横切り、鳥が車に向かってくる。昼とは違う動物の世界がそこにある。

宿泊するSkukuzaキャンプ場に到着する。

バーベキューをするために、チョリソや野菜類をつんできたものの、火をおこす道具は持ち合わせていなかった。すると、African insightという団体の活動で来ていたドイツ人アンドリューさんが、薪やら着火剤など一式を貸してくれた。おかげで、満天の星空の下、熱々のチョリソや野菜をほおばることができる。スパイスのたっぷりきいたチョリソに、さくさくとした白パンがよく合う。

道に迷えば、誰かが丁寧についてきて教えてくれる。クルーガーに長期滞在している旅行者も多いようで、新米もののわたしたちに色々と教えてくれるのである。

動物たちの夜が始まっている。