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サムイという、人気のウユニ – Sucre / Potosi / Uyuni, Bolivia

朝起きると、夜中から朝方にかけて降っていた雨も止んだ。

朝食は宿で温かなコーヒーとオレンジジュース、バターや苺ジャムをぬったパンを急いでかきこみ、ウユニ行きバスターミナルへと向かう。

「A(あ)」のミニバスに乗り、ターミナルに向かうものの、運転手のおじさんは客集めのため、ゆっくりゆっくりと、世間話をわたしたちにしながら、進んでいく。

バスで隣に座った女性に「ウユニに行く」と伝えると、「ウユニ、サムイヨ」と教えてくれる。ウユニに向かうことをボリビア人に伝えると、たいてい、とっさに「寒いよ」と告げられる。

珍しく時間ぴったりにターミナルを発車するウユニ行きバスに、「急げ急げ」とTrans 6 de Octubre社のおじさんが誘導してくれ、ぎりぎり乗車する。

コカコーラのトラックの前方には黒字に黄色の「危」のマークが貼られ、「東名厚木健康センター」や「あおもりようちえん」のトラックが通り過ぎていく。日本の中古車は今日もせっせとスクレの町を走っている。

ここから標高4070mの町、ポトシを経由し、寒さでも知られたウユニまでの道を行く。サンタ・クルスで買い足しておいた(高山病の)薬を口に放りいれる。

ゆるやかな丘に煉瓦造りの家が点々としている。道端にはゴミが散乱し、それを狙った野良犬が徘徊している。

ポトシは鉱山の町であり、16世紀に銀やスズなどが鉱山がら発見されて繁栄を極め、ポトシ鉱山は”Cerro Rico(富の山)”と呼ばれるほどになった。一度銀鉱脈がつきて町は枯れ果てたが、再び地下資源が見直され、町は活気を取り戻しているという。

12時半頃、遠くのほうに赤茶けたポトシ鉱山が見えてくると、やがて町に到着する。20分ほどの休憩となったので、道端で売られていた、チーズ入りエンパナーダ・デ・ケソに、この地域の名物であるはちみつドーナツtawatawa、それに揚げパンを昼食用に買い求める。

先日まで高地にいたのがまだ身体の中に記憶されているのか、または先ほど飲んだ薬が効いているのか、想像していたよりも身体が楽だ。

再びバスが出発して、茶色い建物の並ぶポトシの町を一望し、町を離れてもしばらくポトシ鉱山が視界に入りながら、バスは進んでいく。

黄色や紫色の花が咲き、リャマやアルパカ、ロバなどが耳にリボンをつけて歩いているのを女性が追っている。ごつごつとした荒涼とした土地にサボテンがにょろにょろと生えている。

細い線路を時折通り過ぎ、岩山の舗装されていない道をくねくねと進んでいく。どんどんと標高を上げ、やがて4200m近くまでのぼり、雲や空がぐっと近づき、空の色が濃くなっていく。

ブルドーザーがいくつもあり、男性たちが働いている。赤い山、黒い山、茶色い山、緑が点々と生えた白い山。畑があれば、時折かかしが立っている。

やがて地平線のかなたに砂埃と光の中でぼんやりとウユニ塩湖らしい水の線と、浮かんでいるような島が見える。やがて乾いた土地に小さな町が見えてくる。予定されていた17時をわずかに1時間弱遅れただけで、簡易遊園地のあるウユニの町に到着した。想像していたよりも暖かかった。

ウユニから次はチリへと抜けていく予定だが、どうやらチリ行きのバスはflecha社とcentenario社から出ていて、いずれにしても月、水、木、日曜日の早朝にしか出ていないといい、スケジュールが合わない。そこでウユニ湖からチリのサン・ペドロ・デ・アタカマまで抜けるツアーに参加することにする。

数軒の旅行会社を回り、ウユニで一番はじめに開業したというUyuni Toursにお願いすることにする。温かなミルクコーヒーと飴をいただき、息をつく。

雨期のウユニ塩湖は日本人旅行者の間で人気のようで、今の時期にここをめがけてやってくる人々は多いのだという。今日は満月だというが、ウユニで星空を見るために新月まで待つ旅人や、晴天でウユニ塩湖を見るために幾度もツアーに参加したり車をチャーターしたりする人、それぞれにウユニ湖は特別な場所のようなのだ。

夕食は、名もないという小さな食堂でチキンスープをオーダーする。大きなチキンにじゃがいも、乾燥じゃがいものチューニョなどが入っていて、出汁がきいている。それにパンをひたして食べる。

教会のあるアルセ通りを中心とした小さな町には、夜にはもうほとんど人通りはない。

宿をとったHostal Sajamaではシャワーからキチンとテキセツな温度のお湯が出る。この辺りではお湯が出ると聞いていても、水に近いぬるま湯しか出なかったり、水しか出なかったり、熱湯しか出なかったり(熱湯しか出なくても結局きちんと浴びれないので寒い)することが多分にある。だから、お湯がきちんと出る、というのは感激に値する。

そして、今日のんだ薬が、買い求めた高山病の薬ではなく、友だちからもらった頭痛薬をのんでいたことに、はたと気がついた。でも、なぜか、高地でも平気でいる。

こうして、今のところ、想像していたよりもずっと快適なウユニ生活が始まった。