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アルゼンチンの休日 – Cordoba, Argentina

朝はのんびりと起きて、コーヒーとパンにバターやプラムのジャムをつけていただく。テラスでは、陽にあたったBBQ台があり、犬がわんわん吠えている。家の外には馬車が走っていく。

エステバン君の家の近くにある郵便局から日本へ航空便を一つ送ってみることにする。アルゼンチンの郵便事情はあまり良くなく、ブエノス・アイレスの郵便局からはモノが盗まれることが頻発しているのだそう。

そこで、コルドバやウシュアイアなど地方から送ったほうがマシだと聞いて、それならとコルドバの小さな郵便局から郵送をすることにする。

郵便局で売られている箱はEMSのサービスにのみ使え、通常のエクスプレス航空便には使えない。エクスプレス航空便を利用する場合には、箱を自分たちで用意し、それをくるりとPapel maderoという、茶色い模造紙のような紙でくるまないといけない。物品を段ボールの箱に入れて、紙で包み、テープでとめる。

日本からパソコンを送ってもらったときにペルーの税関に7万円ほど取られたとか、チリからアルゼンチンにモノを送ったときに中に入っていたプレゼントが全て盗まれていて、代わりに「プレゼントをありがとう」と書かれた手紙だけが入った箱が届いたとか、ひどい話は溢れていて、郵便事情ははなはだ心もとない。

それでも、とにもかくにも急ぎの郵便物をまず送ってみる。

それから、エステバン君一家に、お礼の意味もこめて、昼食を作ることにする。郵便局そばの小さなスーパーに入り、食材を見る。

豚のチョリソーに、目玉焼き、玉葱の炒め物に、お米にすることにする。お米には、日本から持ち歩いてきた豆を加え混ぜ、赤飯を作る。

お米は、いつも炊いているという厚めの鍋に入れて炊き、チョリソーもまた、いつも使っているという鉄板に乗せる。

最後は、チョコレートやバニラ、ミントのアイスクリームを皿にのせたものに、苺のシロップをかけていただく。

エステバン君一家は、食事開始の際に何かお祈りをしたりすることはなく、ばらばらに食べ始める。家族は、もぐもぐと平らげてくれた。

日本については、アニメ、マンガ、芸者、電気製品、車、魚がよく知られている。普段はあまり表情を変えることのないクールな高校生、エステバン君も、ポケットモンスターやドラゴンボール、ハローキティを知っている。ドラえもんは知らない、と言った。

アルゼンチンは、イタリアやドイツ、フランスの混血が多く、エステバン君一家もそのうちだ。だから、アルゼンチンの人々は、他の南米と違い、自分たちがヨーロッパの一部だと思っているのだと、お姉さんは肩をすくめて言った。

アルゼンチンの女性は、体型についてのプレッシャーが多いといい、拒食症になる女性も少なくないという。それにしても、でも、肉とキャラメルを中心に、これだけの量を食べているわりに、さほど太っている人を見かけない。

アルゼンチンの主な産業の一つである農業の後継者問題は、今のところ深刻ではないといった。そして、人口は増えているのだそう。

今日から1週間ほど、平日をはさみつつ長い休みが始まるとあって、家の周りはのんびりとしている。

コルドバ州でも有名な保養地、サン・ロケ人口湖のあるカルロス・パスまで足を延ばしてみることにする。お姉さんのお友だちがちょうど家に遊びにきていたので、お友だちの車に乗せてもらい、最寄りのバス停まで行く。この辺りでは女性が運転するのは普通のことだという。

バス停から、C.Paz行きに乗り、1時間ほどバスに揺られる。街にはカジノもあるが、ゆるやかな家族の時間が流れている。

若いカップルも、家族連れも、おじいさんも、おばあさんも、マテ茶の容器グァンバに、ストロー、ボンビージャを挿して、それを片手に湖に腰掛けている。そばには、水筒が置かれている。

ギャラリーを併設する橋を渡り、湖沿いに歩く。幾人かの男性たちが湖に釣竿を垂らし、その横をあひるが泳いでいく。空には飛行機やヘリコプターが飛び、凧を飛ばす家族もいる。

やがて太陽が湖へと沈んでいく準備を始める。徐々に暗くなっていく湖に、夕日が光を向ける。家族は揃って帰り支度を始め、親が子どもの手をひき、家路についていく。

わたしたちも、バスに乗ってエステバン君宅へと戻る。

ブエノス・アイレスへ戻るバスの時間も近づいてきたので、エステバンお父さんの運転で、フォルクスワーゲンに乗ってコルドバのターミナルに向かう。

今まで30名ほどの海外旅行者を受け入れてきた、カウチ・サーフィンに慣れた家族との2日間は、とても愉しい時間だった。

22時半にはバスが出発する。23時になろうとするころ、ハムとチーズのサンドイッチが二つと、チーズとオリーブ、クッキーにチョコのキャンデー、それに温かいチキンスープが配られる。