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びしょぬれの喜望峰 – Cape Town / The Cape Peninsula

今日は、バンに乗ってケープ半島をぐるりとまわることにする。半島のさきっぽには、アフリカ大陸最南西端の喜望峰と、ケープ半島最南端のケープ・ポイントがある。

喜望峰は最南端ではなく、最南西端にあったのだった。知らなかったです。

バンの上で、パンにバターを塗ったものをほおばりながら、半島を走る。曇り空に時折降る雨が、虹を作りだしている。

ケープタウンの郊外の道には高級住宅街が並び、家の玄関には”Armed Response”といった看板が貼られている。何かあれば武装した警備員がかけつける、ということである。

車はやがて、ハウト湾を高台から見る道を通る。湾に面してヤシの木が生え、森と家が落ち着いたふうに広がっている。

魚加工場と漁港の町であるハウト湾から、たくさんのオットセイとカモメがいるというドイカー島(シール島)へ向かう船に乗る。港には水色や緑色、白の船が並んでいる。

ここはピンポイントで中国からの旅行者であふれている。乗客の半数以上が中国人旅行客で、船の上で中国語が行き交っている。年を重ねた夫婦や若い女の子たち、カップルなどが乗り、船が大きく揺れると歓声があがり、みな、デジカメを片手にぱしゃぱしゃと写真を撮っている。

数匹のオットセイたちがのんびりと寝そべっている港付近を離れ、プランクトンがぶくぶくとクリーム色の泡をたてているそばを通り、ドイカー島に向けて進んでいくも、「目的地のドイカー島には波が荒くて近づけません。」というアナウンスが流れる。

結局そのまま引き返してきて、港近くのオットセイたちを再び眺める。オットセイは、口に食べ物を加えて、頭をぐるぐると振って波をたてている。その隣で黒い水鳥が大きな羽を広げている。

結局、船に乗っているよりも、港にいたほうがオットセイが見れた、ということだが、乗客はみなきゃぴきゃぴとしている。船から降りれば、濡れた床に置かれた手工芸品を売る黒人の男性たちとの買い物交渉が始まる。

高さ600mの岩山を通る、景色が良いことで名の知られていたドライブウェイ、チャップマンズ・ピーク・ドライブを走る。明るい青から深い青へと層を重ねる湾を、センチネル山をはじめとした険しい山々が囲んでいる。

そこから、さらに走り、ボルダーズ・ビーチに立ち寄る。

ここにはたくさんのアフリカペンギンがいる。「ペンギンが噛むので、触れたり、餌をやったり、邪魔をしたりしないでください。500ランドの罰金です。」と看板がたてられている。

しっぽを振ったり、羽を上にあげたり、よたよたと歩いた後にぐるりと辺りを見渡して、またよたよたと歩きだしたりする。ペタペタと海まで歩き、こてりと横に倒れて、波をあびながら、進んでいく。

前回プンタ・アレーナスでぺんぎんを見たときと同じように、のどをグワグワと鳴らしている。ただ、ここは単独でいるペンギンが多い。2匹のペンギンが両方向から向き合って近づいていくものだから、じゃれあうのかと思ったら、そのまま素通りしていく。そっけないものだ。

明るい水色の海を眺めながら、やがて喜望峰自然保護区に入ったころ、車に積んであった自転車で走ってみることにする。

背の低い、茶色や緑色の木々や淡く霞んだ山々を眺めながら、よいしょよいしょとこいでいると、ふいに雨が降ってきた。その雨はますます強くなる。自転車には泥除けがついていないものだから、身体の四方八方からびしょ濡れである。そしてしばらくすると、からりと晴れ渡る。ケープ半島の天気はほんとうにくるくると変わるのだった。

昼食は、BUFFERLSFONTEINビジターセンターでいただく。プレートにオリーブと卵のパスタ、パンにチーズやハム、きゅうりをはさみ、トマトやレタスのサラダ、チップスと合わせていただく。それにフルーツジュースをごくごくと飲み干す。

濡れた身体で寒いものの、お腹はすっかり満たされて、さらに半島の先端へと向かっていく。

脚が細く、羽をふわふわとさせただちょうが、荒れた波のたつ海を眺めている。

バンは、こうして雨が降ったり晴れたりする空の下を走り、喜望峰に到着する。波が岩にぶつかり、岸に近い海は白く色を変え、その向こうに澄んだ海が広がっている。

その後、半島の最南端ケープ・ポイントにある、かつての灯台まで歩いていく。道ばたにはヒヒがあちらこちらにいて、ぼんやりとしたヒヒもいれば、子ヒヒを掻く親ヒヒもいる。「ヒヒは危険です。食べ物に寄ってきます。」と書かれた看板がたてられている。その周りを、赤く大きく花弁を広げた花や白や黄色の花が咲いている。

最南端にしては、さほど寒くないものの、やはり天気はひょいひょいと移り変わっていく。

半島をぐるりと回って、半島のねもとにあるケープタウンの街へと戻る。途中、1960年代のアパルトヘイト時代、白人が住むために6万人の住民を強制移住させたDistrict Sixを通る。アパルトヘイト廃止後、かつての住民を戻したというが、それでも戻った人は少ないという。新しい家が立ち並ぶ場所だ。

宿に帰って夕食の支度をする。ケープ・マレー・カレーに目玉焼き、ピタパンとバターを添えて、南アフリカのワイン、STONECROSSとともにいただく。ケープタウンでは、だちょうやスプリングボック、ワニなどの肉のグリルの他に、こうしたマレー料理も名物になっている。オランダ統治時代に連れてこられたマレー系イスラム教徒の人々の料理である。

スパイスがほどよく効いて、ワインとともに身体がほんわかとする。