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列車の国境越え – Tazara Railway from the border with Zambia, Tanzania

しばらく列車はNakonde駅で停まった後、またがたりごとりと進み始める。国を越えて、時間が1時間早まる。

そのうちに入国カードが配られ、12時半を過ぎたころにタンザニア側イミグレーションの職員がどこからともなく現れた。

一人50ドルのビザ代を支払い、パスポートを渡す。乗客のパスポートを束ねて、どこかへと持っていく。20分ほどすれば、ビザの紙とともにパスポートが返される。

楽なことだ。

草が風にそよぎ、焼かれた畑からは煙があがる。今日も破れた服を着た子どもたちが線路わきからこちらに手を振り、列車とともに走り、あるいはじっとこちらを見つめている。手を合わせて上下に振る子ども、お金をちょうだいという子ども、頭に大きな荷物をのせて運ぶ女性。

ひまわり畑やとうもろこし畑が広がる。牛や山羊が草を食んでいる。家は、きまったように煉瓦造りにトタン屋根をのせている。真っ赤な土のうえで自転車に二人乗りをした男性が走っていく。

駅に停まれば、窓の外にアボガドやバナナを頭に乗せて、果ては生きたチキンを売りにやってくる。

同じコンパートメントのウェリントンさんと食堂車で話をする。彼は35人の従業員を率いる機械製造会社の社長である。

現在ザンビアの景気はとても良いという。銅の産出大国であるというのが大きい。2004年ころから中国企業が本格参入してきて、現在も銅やインフラの企業などを立ち上げ、がんがんとビルを建てているという。最近では日立などの日本企業も入ってきた。

ただ、ザンビアには海がない。電気製品や車などを輸入しようとなると、ダル・エス・サラーム港に寄せてそこから陸路となるので、その分費用が高くつく。

そこで、この鉄道に乗っているザンビア人でも、ダル・エス・サラームに買い付けにいったり、港に荷物を引き取りに行く人が多くいるということになる。

このTAZARA鉄道というのは、タンザニア政府とザンビア政府によって運行されている。タンザニアに向かうこの列車はタンザニアの予算で、ザンビアに向かう列車はザンビアの予算で運行され、両者の予算の違いもあって、列車の質が良くならないとウェリントンさんは言う。国営じゃなくて、私営だったら、この列車はこんな質じゃないはずだ、トイレだってひどいもんでしょう、と笑う。

子どもたちは、列車が停まればひょいひょいと列車に上がってきて、大人に怒られて、またひょいひょいと飛び降りていく。

昨日夜にテレビをじっと見ていた男性が、今日も同じ席で、変わらず、姿勢を正してテレビを見ている。

買ってきたトマトソースのBaked Beansや林檎やパンをかじる。そして、駅の窓の外から売られていたサモサとピーナッツを買い求めてつまむ。サモサには羊の肉がぎゅっとつまっていて、ピーナツにはキャラメルがかかっている。

トンネルをくぐるたびに真っ暗になる列車は、変わらずがたんごとんと進んでいく。日が暮れると途端にぐっと気温が下がる。

列車の夜のメニューの選択肢は4つ、チキンとご飯、ビーフとご飯、チキンとUgali(ザンビアではNshimaという)、ビーフとUgali。その中でビーフとUgaliのセットをオーダーする。

カレーのようなスパイスの効いたスープに、煮込まれたビーフの小さな塊が4つちょこんと入れられている。周りの乗客たちはそのUgaliを器用に手でまとめて口に放り込んでいる。食堂車の豪快な女性に勧められたタンザニアのビール、キリマンジャロを合わせる。少し甘くて軽い。

テレビでは「ホテル・ルワンダ」が流れた。