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岩窟教会の盛大ミサ – Lalibela, Ethiopia

ここラリベラには、大きな岩をくりぬいて造った岩窟教会が12あり、日曜日には信者たちがミサに出かける。

朝のミサに向かう前に、宿からほど近いShallom Snackカフェでミルクたっぷりのマキアートを頼み、パンとともにほおばる。テレビ画面からは、エチオピア版朝の体操が流れている。

早朝の町には、白い布を身にまとった多くの人々が、ぞくぞくと教会のほうへと向かっていく。岩の教会には既に多くの信者が集まっている。

東のほうを向き、ある人は聖書を読み、ある人は教会の壁や床に額をつけ、口づけをし、ある人はうずくまり、祈りを捧げる。

司祭はあちらこちらで人々の額に手のひらや聖書、十字架をかざしていく。聖なる水を、信者は銀のグラスで飲みほし、聖なる灰を顔や身体に塗っていく。

信者たちが家から持ち寄った穀物も広げられている。これで、修道女が聖なるパンをつくり、ふるまったりするという。

ラリベラ最大の岩窟教会、聖救世主教会では、金色の大きな十字架を手にした司祭が、集まるおおぜいの人々の一人ひとりの身体に十字架をなでつけていく。

頭から始まり、胸、お腹、腰、脚、それぞれの人に合わせてリズムをつけてなでつける。信者は、先ほどまで身にまとっていた白い布をはぎ、幾人かは、陶酔したかのように目をつむり、衣服をめくり、身体をよじらせ、くねらせていく。それが終われば倒れこむくらいの人さえいる。

教会内には、こうもりが飛んでいる。

エチオピアのカレンダーで今日は聖ミカエルの日ということで、聖ミカエル教会周辺はより一層賑やかだ。

並ぶ人の列に続いていく。

聖ミカエル教会は、女人禁制の聖ゴルゴダ教会と中でつながっている。女人禁制なものだから、聖ゴルゴダ教会の入口のそばに女性たちが集まり、中から時折司祭がやってきて、聖なる水や灰が配るのを待っている。そして、その十字架に口づけをし、灰を額に十字に塗りつける。

フレスコ画が有名な聖マリア教会では、子どもたちが大人につれられて、天井や壁に描かれた色彩豊かなその画を眺めている。

10時をまわるころには、ぱたりとミサが終わり、みないつの間にやら帰路についている。町のあちらこちらで炭がおこされ、店先の暗がりでもささやかなコーヒーセレモニーが行われ始めた。わたしたちも倣って、Belaineshコーヒーハウスに入り、簡単なコーヒーセレモニーでコーヒーを淹れてもらう。

セレモニーセットの周りに、青草を敷く。そして、乳香の木の破片を籠から取り出し、炭の上に乗せる。

ミサを終えたばかりの人々も入店し、コーヒーだけでなく、コカコーラやビールをオーダーしていく。

昼食は、Menenカフェ&レストランで干し肉のまぜインジェラ、クウォンタ・フルフルをオーダーする。歯ごたえのあるビーフジャーキーのような干し肉と、ふにゃふにゃになったインジェラが盛られ、インジェラの酸味とスパイスの辛さが絶妙に絡みあう。

エチオピアでは、人々が傘をさす。日傘をさす人もいるくらいだ。今日も昼間は強い日差しをが照りつける。街では、ティグリーニャ音楽がスピーカーから大音量で流されている。道ばたで売られていたオレンジを買い求め、歩きながらほおばる。

昨日トルピードで会ったMesfinさんに会いに、セブン・オリーブス・ホテルに行く。山々を見渡せる広々としたテラスで再びコーヒーをいただきながら、お話を伺う。

エチオピア正教にも断食の習慣があるが、実際に断食をしている人は信者の70%ほどだということ、人々が布を肩に交互にかけているのは十字の意味もあること、東の方向に祈りを捧げるため、教会は西から東の方向に入口を構えていること。

聖救世主教会前の広場では、サンデースクールが行われている。司祭が前に立ち、傘をさしながら聖書をよみ、女性が手のひらを上にかざして上下に動かしながら、波を描くように踊る。

続いて、十字をあしらった青と白の服を着た子どもたちが入場し、ゆるいドラムに合わせて歌う。

ずらりと集まった観客は、それに合わせて手拍子をし、あるいは口で高らかにホワワワと音をたてて合いの手をいれる。

聖救世主教会周りの、聖十字架教会や聖処女教会、女性が洗礼を受けるという水を貯めた穴などを訪ねながら、聖ギオルギス教会まで歩く。

途中、藁ぶきの屋根に煉瓦で造られた家々が立ち並ぶ。これはラリベラの教会群が世界遺産に登録されて、教会の環境保護などを目的に近隣の住民を1kmほど離れた住居に移住させた、そのかつての住居だという。いずれ、司祭や修行僧などの住居として使っていくことを検討しているのだそう。

大きな一枚岩を十字型に掘り下げたという聖ギオルギス教会。近づいていくと、まずその天井の十字が見えてくる。そこから下に下っていく。

教会前には、男性が座り、羊革紙に竹の筆でラリベラ王などの絵を描いている。

教会を囲む岩のところどころに開いた穴には、聖職者たちが住んでいたという。一つの穴からにはミイラ化した人の足の裏が見える。

その後、少し離れたところにある、かつてラリベラ王の宮殿があった場所にたつ聖ガブリエル・聖ラファエル教会、ラリベラで2番目に大きい聖マルコリオス教会や、アクスム様式の窓をもつ聖エマニュエル教会、岩山を横にくりぬいてつくられた聖アバ・リバノス教会を見に行く。

中はまるで迷路のようになっている。実際に迷うものだから、時折呼びかけて、見えない場所にいる門番に頭上高い岩の上から、方向を指し示してもらう必要すらある。

聖マルコリオス教会から聖エマニュエル教会は20mほどの真っ暗なトンネルでつながっていて、電灯を照らしながら、手さぐりで前に進んでいく。

再び、Mesfinさんとセブン・オリーブス・ホテルで落ち合う。コーヒーセレモニーをごちそうになる。まず最初に煎りたてのふわふわポップコーンをほおばりながら、最初のコーヒーが淹れられるのを待つ。コーヒーはアボルブンナ、ウレッテンニャ、ソステンニャと3度淹れる。

セレモニーを終えて帰る時間、静まり返った町にも何軒かは派手なイルミネーションに爆音を流して、酒やインジェラを出すバーやレストランが営業をしている。

比較的落ち着きのあるカナ・ゼゲリラレストランに入り、夕食をとることにする。

ほどよいスパイスにほんのりとした甘味のあるカレーのようなチキンワットに小さな卵をのせたインジェラ。それにライムやマンゴーなどのフルーツが合わせて運ばれてくる。はちみつ酒、Tajを合わせて飲む。