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トルコのごしごし風呂 – Istanbul, Turkey

朝にパンをかじりながらタクスィム広場を歩いていると、ぼんという音がした。見ると年配の女性が飛んで、その後に倒れた。車があたったのだ。車を運転していたサングラスをかけた若い男性が、すぐさま車を降りてかけより、背中をさする。周りの人々も集まってきて、ある男性は救急車を呼ぶために携帯電話を手にする。

運転をしていた男性は女性の肩にキスをして、女性はぼうぜんとしている。1分もかからないうちに救急車は到着し、女性は自力で立ち上がり、そして運ばれていった。

運転の荒いエジプトでは交通事故を見なかったが、ここで、見る。

トルコの公衆浴場、ハマムに行ってみることにする。地元の人もよく利用しているというコジャムスタファパシャ・ハマムまでバスに乗って向かう。教会として6世紀に建てられた建物をジャーミーに改装したコジャムスタファパシャ・ジャーミー付属のハマム。

男女は入口から分かれている。中に入ると、タオルを身体に巻いた女将がどしりと座っている。それを囲むように小さな小部屋がいくつも並び、まずはそこで着替えるように言われる。各部屋にはベッドも置かれ、鍵も閉まるようになっていて快適だ。

その後、奥のむわりとした部屋に入る。中央に大きな石の台があり、周りをずらりとハマム洗面器と水道が囲んでいる。そして、そばには小さな桶が置かれている。とにかく石の上で横になっていなさいと女将にジェスチャーで伝えられたので、身体を一通り流し、石の上に水をかけ、うつ伏せになる。

とても、熱い。

地元の女性たち5人ほどが、上半身裸、下に下着だけ身につけて、水道から水をじゃーじゃーと流し続けて洗面器に水を溜めている。

ある女性は垢すりをし、ある女性は髪を洗う。
ある女性は一人で来ていて、ある女性は友だちと来ている。

熱い石の上で言われたとおりにじっと待っていると、上半身裸になったさきほどの女将がのそりのそりとやってきて、あかすりとマッサージをするわよ、と言う。手に大きな垢すり布を持ち、身体を大きくごすりごすりとこする。細かな部分をとばして、身体の全体をごしごしとする。豪快だ。

まもなく、見てみてと腕の垢を指し示す。良いでしょ、と言う。はい、良いです、とお答えする。細かいところは自分で垢すりを借りて、ごしごしとする。

じゃあ、マッサージをします、と言って、小さな桶に入った布をぱっと取り出し、ぶくぶくと泡立て、また豪快に身体にすりつける。ぶくぶくぶく。

身体をなでた後、そのまま顔に手をもっていき、さして変わらぬ勢いでぐるぐるとなでつける。そして隣の客から借りてきたと思われるシャンプーを頭の上にかけ、ぐるりとひとなでする。

こうしておばさんによる自由な数分垢すりマッサージコースは終了する。再び良いでしょ、と尋ねられるので、はい、良いです、とお答えする。

その後は自分で髪や身体を洗い、石の上に寝転がる。じわりと汗が出てくる。

すっかり減ったお腹を抱えて、近くのロカンダ、Rumeli Kofte Ve Yemek Salonuに赴く。ミント風味のヨーグルトスープにレモンを添えたヤイラ・チョルバス、スベリヒユをヨーグルトを和えたヨーウルトル・セミズオトゥ、それにピーマンにひき肉や米を詰めてトマトソースをかけたビベル・ドルマスをオーダーする。住宅地のここには、地元の男性客たち団体や一人でやってきて、食べて行く。

そこから近くのスイーツ屋、Seyranに立ち寄り、オーブンで焼いたプディング、フルン・スュトラッチや、もっちりとした牛乳の焼き菓子カザンディビを頼む。オーダーすると、どうぞといってエクレアをつけてくれた。

バスに乗って、タクスィム広場に戻る。宿の近くのPashaというカフェでのんびりとする。大人の男性は水たばこを吸い、子どもはオセロを楽しんでいる。

今日は夜行バスに乗って、パムッカレという町へ向かう。夏にさしかかろうとする今のトルコはハイシーズンらしく、バスのチケットはとりづらい。22時20分に数席だけ空いていたパムッカレ社で座席を取る。

トルコのバスは素晴らしいと聞いていた。まず、町の中心にあるバス会社のオフィスからターミナルに向けてシャトルバスが出ている。だから、ターミナルに行かずに町の中心のオフィスまで荷物を運べば報われる。

快適なシャトルバスに乗ること20分、パムッカレ社のターミナルに到着する。夜行バスが当たり前のように使われているトルコではこの時間でも幾台ものバスが出入りしている。乗るべきバスを探していると、あちらこちらから手伝いましょうか、と声がかかる。わたしたちの乗るバスがターミナルに入ると、これに乗るのよ、とまたあちらこちらから声がかかる。

こうして無事にバスに乗り込む。
バスはメルセデス・ベンツ製の新車で、各自座席にモニターがついていて、音楽やテレビ、ラジオ、映画にインフォメーション、カメラやナビゲーションまで選択することができる。音楽は国内外に分かれ、映画だって子ども向けから、国内、海外、それにドキュメンタリーまで選ぶことができる。そして備え付けのイヤホンを耳にさせば良い。

適度な冷房の効いた極上バスでマイケル・ジャクソンを選ぶ。こんなに快適なバスは、久しぶりだ。最後尾の座席であるのをいいことに、ノリノリ踊っていたら、寝てはいられなくなる。

添乗員は、蝶ネクタイをつけた、にこやかな男性が2人もいる。ハイテクにすぎるモニターにとまどう人々へは、お兄さんたちよる懇切丁寧な個別指導が行われる。

そんなバスの窓からは、イルミネーションに輝く近代的イスタンブールを眺めているかと思えば、ふいに羊をのせたトラックが通り過ぎていく。

そのうちに軽食が運ばれてくる。まずは水、続いてバニラとチョコレートのアイスクリーム、しばらくして、コーヒーやオレンジジュースや林檎、桃のジュースといった飲みものに、レモンのビスケット。

快適なんだから、もう踊るのはやめにして、あとはゆっくり休むことにする。