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自発的ラマダン中のイスラム教徒と、元気なラマダンの夜 – Mashhad, Iran

今朝はバーさんの出勤に合わせてタクシーに乗り、勤務先近くのメトロTeleghani駅まで向かう。この駅もまた新しく、中国の、CCTVカメラが動いています、と注意書きがしてある。

ハニーミルクを飲み、ココナッツクリームクッキーをかじりながら、今日もハラムへと向かう。

今日は、昨夜ハラムで知り合った男性と待ち合わせをして中に入る。カーシャーン出身だというその男性は、親戚一同マシュハドに10日間巡礼に来ているという。

地元から24キロ以上離れた旅行者は基本的にラマダン中でも断食を免除されるというが、それも一か所に10日間以上滞在すると旅行者とはみなされず、ラマダン・ルールにのっとらなくてはならない。男性一家は、ラマダン・ルールをあえて守るために、10日間以上マシュハドに滞在することにしたのだという。つまり、自らすすんで、断食を実行中。

ハラムの中では、子どもたちが集まってコーランを読んでいる。

ここにはペルシア語を理解しない外国人巡礼者のためのアースターネ・ゴドゥス・ラザヴィー国際関係局という部署がある。わたしたちもそこに通されると、聖職者が接待をしてくれ、イスラム教に関する冊子をどっさりと持たせてくれる。そして英語を話すガイドの男性もついて、一緒にコーラン博物館や絨毯博物館、それに中央博物館を回ることにする。

古いコーランや、エマーム・レザーの書いたコーラン、金や青の鮮やかなコーラン、米国在住のイラン画家Farshchian氏の宗教画、祈りの巻物、Doaa、イランの書道の道具、絨毯をつくる織機、メッカを描いた絨毯、細かくてもはや絵にしか見えない絨毯、400年ほど前の絹でできた絨毯などがずらりと展示されている。中央博物館には、絵画に武器や陶器、天文学の展示が続く。

昨年メッカを訪ねたという男性は、入口で専用の衣服を着て入るのだといって、中の様子を興奮気味に話してくれた。カーバ神殿の周りを7回まわり、爪と毛を少し切る。

彼らはわたしたちにイスラム教徒だよねと目で訴えてくる。断食も厳守し、ムッラーのことを珍しく悪くも言わない二人に、わたしたちももはや違うとも言えずにいると、イスラム教徒はみな友だちだという歓迎ぶりを示した。そして、イスラム教徒なら色々と覚えると良いと、あれやこれやと教えてくれる。

そして、イランがかつて親米であったことやYouTube、GoogleやeBay社のトップ層にイラン人たちがいるといった話をする。そしてイラン人はネットをよく使うと言い、VPNを駆使してfacebookアカウントだって持つ人々がいて、ネットが世界と通じる道だと考えている。

最後に二人は、わたしたちがメッカに行けるように上層部の聖職者にかけあってくれた。

ハラムを出て、やはりお腹のへってしまったわたしたちは近くの商店でPRIMAの濃厚なチョコナッツアイスクリームとスパイスの効いたもちりとしたクッキーをほおばる。

イランのマシュハドからトルクメニスタンの国境近くまでのバスチケットを予約しようと二つのターミナルへ行き、炎天下で英語が通じない中、右往左往してへとりとなっていると、ターミナルのおじさんが、ひんやりと凍った水のボトルを持たせてくれる。

家の近くの公園で休んで、ヒッチハイクをして帰る。

スイカとともに、レーズンからつくる自家製のアルコール、Aragh Sagiをいただく。アルコールが禁じられているイランでは、こうして人々は自分たちでアルコールを作ったりしているのだという。ちびりと口にいれてヨーグルトと一緒に飲む。アルコール度数45%のそれは喉がじんわりと熱くなる。

夕食は、泊まっている家のバーさんと奥さんが車で食堂に連れて行ってくれる。バーさんの兄弟が今日オーストラリアのシドニーに旅立ったといい、これがもしかすると永遠の別れだと、お母さんは心をひどく痛めていたと言う。

羊の脳みそに頬肉に脚、そして「オリジナル」コーラ。脳みそはややレバーのようなくせがあるものの、とろとろとしている。頬肉もやわらかく、脚はゼラチン質でこれもまた美味しい。特製スープにナンをちぎってひたしながら、口に入れる。

食べ終わったのが既に夜の23時半ころ。そこから奥さんの親戚の家に行こうと、お菓子の詰め合わせを買い求めて、車に乗って向かう。

家では奥さんのおじさん、おばさんに従姉妹の女性たち4人。イランでは珍しい無神論者の奥さんとは違って、みなイスラム教徒。家に着いたのはもう0時を回っているというのに、おじさんはバイオリンやトンバック、テンポといった楽器を取り出して、聴かせてくれる。女性たちはみな音楽にのって身体を揺らしながら、会話をして、そしてがはははと大声で笑う。そして、すいかや砂糖パイ菓子にチャイをどうぞどうぞと勧められる。

お開きになるころには、既に1時を回っていた。イランのラマダンの夜は、とても元気なのだ。