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キューバを離れる前に。 - Havana, Cuba

今日もハバナでは雨が降っている。家に不在のClaraさんの代わりに、家の別の女性が朝ご飯を作ってくれた。カリカリのパンと卵と玉ねぎの炒め物、コーヒーに砂糖のたっぷり入った温かいミルクである。このミルク入れの取っ手はぐらつき、注ぐときにぽこりと外れてしまう。

傍目綺麗に見える洗面所も、手をついたらガタリと崩れてしまいそうで、ところどころに、ひんやりさせてくれる仕掛けが施されているのである。

メキシコへのフライトまでに少し時間があったので、大きな荷物をもって、タクシーで中華街周辺へ向かう。

タクシーを運転する若いかっこいい風男子は、若いかっこいい風音楽をかけつつも、大きな荷物をもって乗り込んだわたしたちをさりげなく迎え入れ、地元価格である一人10MNを提示し、中華街の奥まで連れて行ってくれた。

ハバナのタクシーの中で、かわいらしい古い車を使ったタクシーは、通常5人程度乗せられる乗合いタクシーであり、昼間であれば一人10MNで、ある程度の行き先まで連れて行ってくれるのである。

大きな荷物を抱えるわたしたちは余分なスペースをとってしまっていて、彼にとってはいかにも効率の悪い客なのであるが、彼は顔色一つ変えずに、ステレオのつまみを少しいじりつつ、道に立つ人々に対して、車がいっぱいだから乗せられないと手で合図をする。

わたしたちは、感激する。

昼間の中華街は、夜とは少し違って見えて、洋服や雑貨を売る商店では人だかりができている。中華街の周りには、フルーツや野菜、肉や金属部品を売る地元の市場や定番のハムやチーズをはさんだパンを売る店、小鳥を売る店が点々としている。外貨とCUC、MNに両替をするCADECAには、今日も行列ができている。

最後にパイナップルジュースと、カステラにクリームののった小さな菓子を買って、椅子の半分以上が壊れている店内でそれをいただく。店の主が、わたしたちに一輪の花と、似顔絵をプレゼントしてくれた。そして、最後に言う。「ペンをくれないだろうか。」

Danielさんというベテラン運転手のタクシーに乗り、空港へ向かう。Danielさんには既に孫がいて、以前はキューバを走るバスの運転手であったが、今はこうしてタクシー運転手になったのだそうだ。

家ではラム酒であるハバナ・クラブを飲むという。よく一般的に飲まれているMulataのラム酒はあまり好まないらしく、またビールは高いから、結果としてハバナ・クラブを飲んでいるらしい。

車は、キューバのタクシーとしてよく走っているシボレー車の1951年製。モーターは日産のものだという。松坂は素晴らしい選手だ、と言った。「日本の道路はこんなふうにポコポコしていないだろう?」そして最後に言う。「子どものために5CUCくれないだろうか。」

クバーナ航空は遅延が多いと聞いていた話にたがわず、予定時刻の13時45分を1時間程遅れてハバナを飛び立った。夢を抱えた稀有の国、キューバがどんどんと遠ざかっていく。

わたしたちは、またキューバリブレを飲むのである。