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盛大で、ゆるいお祭り。 - Chichicastenango, Guatemala

今日はタカさんも、キチェ県のチチカステナンゴに行くというのでご一緒させてもらう。チチカステナンゴでは、12月14日から21日までお祭りがひらかれている。

小さなバスに乗って、チチカステナンゴ行きバスが出ているターミナルまで向かう。朝早くからオレンジやパパイヤ、パイナップル、ココナッツなどが市場に並べられる準備をしている。

大きな荷物をバスの上にくくりつける。グアテマラ・シティから来たときと同様、バスは真っ黒な排気ガスを出しながら、くねくねと曲がる山道を走る。山々の間に平地が広がり、そこに虹がかかっているのが見える。バスには徐々に乗客が増え、立っている人も満員になり、3時間程してチチカステナンゴに到着した。街は、祭りに加えて木曜日、日曜日の露天市でたくさんの人々でごった返していた。

話しかけられたキチェ族のTomasaさんという女性がホテルを紹介してくれたので、そこに泊まることにする。以前は公衆電話サービス所だった場所が今はホテルとなっており、「El Telefono」と名付けられている。テラスからは、丘の上に並ぶキャンディーのようなカラフルなお墓を見渡すことができる。

Tomasaさんが街の近くのパスクアル・アバフの丘でちょうどキチェ族の儀式が行われていると教えてくれたので、行ってみることにする。

とうもろこし畑を通り、松林を登った丘の上には、東西南北に石の像が置かれ、キチェ族が信仰するパスクアル・アバフの黒い石の像が祀られており、宗教儀式が行われているところだった。

Jose Maria Tol Chanさんという男性がキチェ語とほんのわずかのスペイン語で祈りを捧げ、2人の女性と1人の男性がそれをじっと聞いている。他にも2組同じように祈りを捧げている。

火を焚き、お香を燃やし、焚かれた缶を大きく振るので、辺り一面はお香の煙で満たされる。Joseさんは、祈りを捧げながら、松ぼっくり、その粉、松の葉やお香、砂糖を、火にぱっぱとばらまく。そしてラム酒、蜂蜜、樹液やスピリチュアルローションとボトルに書かれた水色の液体を振りかざす。最後にはそれを草に振りかけ、聞いていた3人の身体全体にかけて、なでつける。そして、火に向かい、小さなキスを幾度か捧げる。

また、隣で1人熱心に祈りを捧げている男性は、りんごや花が供えられたパスクアル・アバフの石の像にコーラとラム酒を飲ませる。時折ろうそくの束を火に投げ入れ、火を絶やさない。そうしながらも、時にはケータイの着信音がなると、ちらりと画面を覗いたりする。

この街でも主に女性が民族衣装を着ており、Joseさん含め、男性は洋服を着ていることが多い。以前、民族衣装を着ていることでどの民族かが分かってしまい、男性間は抗争の原因となることがあったからなのだそうだ。

丘のふもとには、仮面博物館があり、昨日のサン・シモン像がここにも黒いハットに黒ひげ、ネクタイをしめたスーツ姿で座っており、その横にこの街の守護聖人であるサント・トマス像がいる。

博物館の女性は、El Tzijolajという馬の像を手にして、これは踊りのときに担いで踊るのだと、実演してみせてくれた。

サント・トマス教会近くに戻ると、ちょうど伝統的宗教儀式であるボラドーレスが行われていた。マスクをかぶり、オレンジ、黄色、黒や赤といった衣装を着た男性が、細長い木の上まで梯子をつたって登り、輪になったロープの上に座ってくるりくるりと回りながら、下がってくるというものだが、果敢な一般人も参加できるらしい。幾人かの勇気ある若者が挑んでいくが、細い木はぐらつき、若者の身体は震えている。

木の下ではマリンバが演奏され、それに合わせて出番を待つマスクをかぶった男性がゆるいステップをふんでいる。自分の番が終わったら、やれやれといったふうに、そのステップ場所へと戻り、周りのマスクをかぶった人と時には雑談をしながら、またの出番を待つ。そこはかとなく、ゆるい。

そのそばで民族衣装を着た女性たちがトルティーヤを作っている。そこでyisado de resとご飯、トルティーヤをいただく。夕方になるとぐんと気温が下がり、吐く息が白くなるほどで、教会前でいただいたミルクチョコレートにライスが入ったLeche chocolate y arrozは身体をぽかぽかと温めてくれる。

街の中心にあるサント・トマス教会は、もともマヤのキチェ族の建物に使用されていたものだが、スペイン人がそれを壊して教会を作ったという。教会の前でも火が焚かれ、人々は缶を上下に振り、辺りは煙で満たされている。教会には赤、緑、青、黄といったチカチカと輝くイルミネーションに囲まれてSanto Tomas、San Jose、San Sebastian像がまつられ、ろうそくの灯に照らされている。そして天井からは黄色や赤、緑といった色とりどりの風船がぶらさげられている。

その内に、Santo Tomas、San Jose、San Sebastian像をのせた、羽や花、鏡のついた大きな神輿が一体ずつ教会の中に入っていく。パンパンと大きな爆竹が放たれる。

教会の前には多くの人が集まり、夜には、花火があがり、コスプレさながらのマスクをかぶった人々がはたまたゆるいダンスを繰り広げる。シンデレラもどきやプーさんに女子マスクのついた人などがいる。さきほど道でコスプレダンサーたちにすれ違ったので、ちょうど直前の打ち合わせに向かっていたところだったのかもしれない。DJも同じフレーズを繰り返し、ダンサーたちも、音楽に合わせて腕を上下に振るだけで、後半は疲れている様子さえ見受けられる。なんとも愛嬌があって、良い。

その盛大かつゆるいパフォーマンスを眺めながら、Comedor Fabyで、わたしたちは牛肉のシチューとフリホーレスとライス、Galloビールをいただくことにする。

夜遅くまで、祭りは続いていく。