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どうぶつが、たくさんいる。 – Nelspruit / Kruger National Park, South Africa

動物たちが活発に動くのが明け方と夕方だというので、6時には宿から車を発車させ、クルーガー国立公園へと向かう。

カージャックされる可能性もあると言われたものだから、窓をぴしゃりと閉め、ドアもロックし、進む。でも、赤信号では停まらざるをえない。はらはらだ。

街から工場のそばをぬけ、その内に朝焼けが見え、空がより明るくなってくる。

学生たちは制服を着て、バスを待っている。白人を見かけることはなかった。舗装された道路はところどころに大きな穴があいていて、そこに車がはまると、ガタリと大きな音をたてて、車が傾く。

1時間ほど走ったところで、クルーガー国立公園のNUMBIゲートに到着する。そこで、氏名やパスポート番号、車両番号を記入し、「申告する武器はありますか。」という質問に答え、トランクを開ける。

そして一度車を降りてレセプションでパスポートを見せ、今晩泊まるキャンプ場を登録する。キャンプ場には18時までに入ってください、と言う。しっかりとしたシステムが整っている。レセプションの女性は、南アフリカの公用語、11種類の言葉を話せるのだといった。この付近ではみな英語はネイティブ、そのうえで何語かを地元の人たち同士で話をしている。

クルーガー国立公園は、2万平方キロメートル、日本の四国ほどの大きさで、そこに約2000kmの舗装道路が敷かれ、車が走る。ハンティングの獲物ベスト5であった「ビッグファイブ」、ゾウ、ライオン、サイ、ヒョウ、バファローが全て生息していることでも知られている。

動物は、この広大な公園を自由に行き来している。公園に点在するキャンプ場には、昨日と今日、主な動物が発見されたところをマークした地図が貼られていて、それを参考に車を走らせる。

今日は、レセプションの女性に勧められたルート、NumbiゲートからSkukuzaへ進んでLower Sabieまで行き、TshokwaneからまたSkukuzaへ戻ることにする。

最初にベルベット・モンキーがそろりと道を通り過ぎると、次は鼻に大きな角をつけたサイが道のわきからひょっこりと顔を出して、そのまま草むらへと消えていった。また少し車を走らせると、次は2頭のバファローが現れ、木に顔をすりすりと擦りつけて、おしりを並べながら、草むらへと帰っていく。

今は、インパラの時期だというので、あちらこちらに群れが見られる。時にその群れが道を横切る。雄はしゅっとした角を天に向け、雌はつるり毛並みのそろった肌を見せている。インパラとしまうまの群れが共に暮らしている。しまうまの一頭が大きな傷を負っている。

パンにチーズペーストを塗ってかじりながら、動物を探していく。

Skukuzaを抜けて、更に先へ進む。

色鮮やかなほろほろ鳥がぴょこぴょこと歩き、象の群れが道を横切っていく。親が横切り、子どもが横切り、草むらから続々と象が現れては、時折鼻をくるりと巻いて草をほおばりながら、目の前を何頭ものそりのそりと歩いていく。

Lower Sabieのキャンプ場に到着したので、昼食をとることにする。そこには無残な殺され方をした動物の写真が貼られ、密猟関連プロジェクトと題し、「密猟を止め、野生動物を保護しましょう」と書かれている。そして、売店の前に、しまうまとインパラの革がぴろりと置かれている。

白パンにチーズペースト、にんじんにツナをほおばる。テーブルの前には川が流れ、明るい青にオレンジ色の目のアカガタテリムク鳥がじっと目を見開いている。

Lower Sabie近くのサビー川には、何頭ものカバが頭だけひょっこりと出して、目をきゅっと閉じてぷかぷかと浮いている。お昼寝中のようである。

黒い毛に線が入り、きゅっと角をはやしたオグロヌーとインパラの角が行き交う。

たくさんの鳥が道や木にとまっている。

道のわきの草むらに、置きもののようなキリンがにょきっと佇み、じっとこちらのほうを向いていた。首のところに傷がある。皺をたたえたその顔は優しく、何かを咀嚼している。

キリンがころころとしたフンをし始めると、首にとまっていた鳥がおしりの穴へと移動して、つつく。中まで入りそうな勢いである。キリンはそれに動じず、方向をくるりと変えて、草むらの向こうへと去っていった。

夕暮れに辺りが徐々に色を変えていくころ、象の群れは草むらを変わらずに歩き、イボイノシシはこちらをきょとりと見つめている。

4時半を過ぎたころから、なにやら辺りが騒がしく、空気がみるみる元気になっていくのが分かる。多くの動物たちがあちらこちらで活動を始めた。

車を走らせていると、前方から長くて太い牙をつけた大きな象がのそりのそりと近づいてくる。車が潰される勢いではらはらする。動かずにじっとしていると、そのうちに方向を変えて、茂みへと入っていった。

茶色に白い縦線の入ったニアラやウォーターバック、サイやキリン、ヒヒやインパラ、カバが次々と現れる。 

やがて夕日が沈み、暗闇になる。リスが車の前を勢いよく横切り、鳥が車に向かってくる。昼とは違う動物の世界がそこにある。

宿泊するSkukuzaキャンプ場に到着する。

バーベキューをするために、チョリソや野菜類をつんできたものの、火をおこす道具は持ち合わせていなかった。すると、African insightという団体の活動で来ていたドイツ人アンドリューさんが、薪やら着火剤など一式を貸してくれた。おかげで、満天の星空の下、熱々のチョリソや野菜をほおばることができる。スパイスのたっぷりきいたチョリソに、さくさくとした白パンがよく合う。

道に迷えば、誰かが丁寧についてきて教えてくれる。クルーガーに長期滞在している旅行者も多いようで、新米もののわたしたちに色々と教えてくれるのである。

動物たちの夜が始まっている。