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真っ暗なターミナルで、動かないバス – Border with South Africa / Gaborone, Botswana

南アフリカの出国を終えると、そのままてくてくと言われる方向へと歩き、途中にある両替店で両替を済ませる。硬貨は両替できないと言われ、どうしたものかと思っていたら、窓口にいたハボロネ出身だという男性が紙幣へとかえてくれた。

暗い国境の中で明かりを灯している建物を目安に、ボツワナ側のイミグレーション・オフィスの方向へと歩いていく。

さきほどバスの車両番号なども合わせて記入をしておいた書類とパスポートを差し出せば、スムーズに入国となる。オフィスを出れば、バスがそこで待ちかまえているので、それに乗車をすれば良いだけだ。

派手な飾り付けをしたモーテルや、明るいショッピングモールを過ぎていくと、20時20分ころに、ボツワナの首都ハボロネの中心地、ザ・モールの前にバスは停まる。

首都の中心地とはいえ、辺りは暗い。中心地から少し離れたところにあったショッピングモールのほうが輝いていた。

暗い中心地に立ち、さてどこに宿をとろうかと思う。バス会社の女性は「強盗にあうから、タクシーを捕まえていってくださいね」と忠告をくれる。

タクシー運転手の男性たちと話をしていたら、次の目的地であったフランシスタウンを経由して、ジンバブエへ行く夜行バスがまだあることが分かった。

このままフランシスタウンへと向かうため、ジンバブエ出身だというタクシー運転手の男性にお願いをして、バスターミナルへと走ってもらう。

彼には5人子どもがいて、そのうちの2人はもう結婚しているという。かつてジンバブエの経済は破綻し、通貨は使えなくなったけれど、今は米ドルや南アフリカランド、ボツワナプラが流通していて状況は良くなりつつあります。奥さんと3人の子どもをジンバブエに置いてきているんです、だからジンバブエが恋しくて、休みがあるごとに帰るんです、と言う。それから、キリスト教の国なのでジンバブエは良くなります、とつけ加えた。

こうしてぽつりぽつりと橙色の灯りをつけただけの薄暗い夜のバスターミナルへと到着する。既に屋台は閉まり、閑散としている中に、ジンバブエ行きのバスだけが3台停まっている。そのうちの2台は大型バスで快適そうなつくりであったものの、2台とも満席だという。

そこでまだ座席のあったミニバスへと乗り込む。木と鉄でできた固い椅子の座席はまっすぐに90度の角度を保っている。バスの中では聞き知らぬ言葉が飛び交っている。

21時半に出発するといっていたバスは、バッテリーが故障しているようで、何度もブルンブルンとがんばっている。快適そうな2台のバスは、ターミナルを出て行った。

真っ暗な中、みな静かに待つ。ようやくバスターミナルを出発したころには、もうすぐ夜中の1時になろうとしていた。特に歓声があがるのでもなく、みなまた静かに揺られていく。

人気もなく町には信号機が明かりをつけているだけだ。家々の並ぶ道を通り過ぎれば、もう首都ハボロネの街は途切れる。