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ぴょんぴょんと跳ねるバス - Moshi / Mwanza, Tanzania

タンザニアには夜行バスが走っていないため、必然的にバスの出発が5時半や6時といった朝早い時刻ばかりになる。今日は、6時発のムワンザ行きバスに乗る。まだ暗いモシの道を通り、バスターミナルへと向かう。

左が二席、右に三席ある、派手に塗られたバスに乗り込む。薄いクッションがはられているものの、硬いことに変わりはない座席である。

モシから目的地のムワンザまでは、バス会社の予定では12時間ほどの道のり、それでも特に今の雨期の時期は悪路で3日かかることもあると聞くから、覚悟がいる。

発車直後から大雨に降られ、キリマンジャロ山は厚い雲に覆われたままだ。

1時間半ほどすると、ケニアから物が入ってくるため比較的豊かな町だと言われるアルーシャの町に到着する。大勢の乗客が乗ってきて、通路に立つ人もいる。

窓の外からはカップケーキやサングラス、眼鏡ケースにドリンク、帽子に文房具セット、カミソリにイヤホン、腕時計、香水などをわんさかと持って男性たちが押し寄せてくる。カップケーキを買って朝ごはんにいただくことにする。

アルーシャの街はモシよりも都会である分、殺伐とした雰囲気が感じ取れる。まだ店のシャッターはぴしゃりと閉じたままだ。

一番後部座席に座ったこともあり、バスは大きく揺れ、ぴょんぴょんと文字通りおしりが宙に浮いて、跳ねる。首にも腰にも応える。隣に座った地元の女の子も慣れないようで、ぽんとなるたびに、小さく歓声があがる。そんなぴょんぴょんを互いに繰り返すうちに、女の子は、ピーナッツをどうぞ、と手渡してくれる。

悪路と言われていた道は、確かに舗装がなされていない。それでも、現在鋭意舗装中、バスの隣には、まさに今建設中の舗装道路が、箒ではかれたり、トレーラーでならされたり、している。こうして、建設中の舗装道路を横目に見ながら、泥の道を進む。いつか舗装された道ができるのだろう。

コーヒー農園やパイナップル、とうもろこし畑や田んぼが広がり、ところどころにひまわりが植わり、バオバブの木が見られる。

マサイ族が牛をひいていく。山羊も犬も歩いていく。

10時ころには法律上の首都だというドドマに到着する。経済的な中心都市は、ダル・エス・サラームにあるというだけあって、こじんまりとした町である。

しばらく行くと煉瓦に藁ぶきの屋根をのせた家々が点在する。電線は通っていない。人々は家の外に出て、何をするでもなく、ぼんやりと座っている。

ある母親は、穀物を臼に入れて、杵でつつき、それを子どもたちが囲って見ている。町ではろばが荷物をひき、道ばたに穀物を広げている人もいる。赤い泥山をただひたすらに滑っては上がることを繰り返して遊ぶ子どもたちがいる。

バスの車掌と話をする。彼はシニャンガに家があり、そこに奥さんも住んでいる。7日間仕事の後、2日間休む。朝食はチャイにチャパティ、揚げパンであるマンダジを食べ、昼食と夕食で、ご飯やトウモロコシなどの粉を使ったウガリを食べているという。ときどきコーヒーを飲むこともある。

そして言い加える。
イスラム教徒はアルコールを飲まない。だから、タンザニアは平和なんだ。金曜は仕事をせずに、モスクへ行くよ。

仕事をしている間は、悪路といわれるモシとムワンザ間を毎日往復しているというのだから、感心してしまう。

バスが停車すれば、やはり物売りが頭の上やらに商品をのせて、わんさかと集まってくる。地域によって特徴があることも多々あり、にんにくが多い地域もあれば、オレンジばかりの地域もあるといった具合である。

窓の外からサモサを買い求め、また停車した際にピーナツやオレンジを買ってほおばる。

田畑の広がる中、真っ赤な色に姿を変化させた太陽が沈んでいく。

こうして3日かかる可能性のあったバスは、15時間で無事にムワンザの町へと近づいていく。ムワンザのNyegeziバススタンドを過ぎ、もう少しで街の中心に到着、というところでバスは力尽きて故障をした。よく、ここまでがんばったものだ。

こうして、乗客はみな粛々とバスを降り、散っていく。

ちょうど1週間の旅行に来ているというンゴロゴロのロッジのマネージャーだという男性と奥さんに声をかけてもらい、一緒に車に乗り、宿をとりに行く。

夕食は宿の隣にあるABISパブでとる。サファリ・ラガーは、苦味があって、旨い。それに山羊の炭火焼とフライドポテトを合わせる。皿にはライムが添えてあり、フライドポテトには、塩とトマトソースがついている。加えてハバネロがちょこんと置いてあり、少しかじれば、口がいたい。

酔っ払った男性が、抜けた歯で笑いながら、大声で話しかけてくる。ある男性は「ビールをおごって」とビール瓶を片手に話しかけてくる。そして、帰り際にきちんとした身なりの男性がつかつかと寄ってきて「500シリング貸してください」と言ってくる。

明日もまた、ムワンザから5時半発、ルワンダ国境近いBenako行きのバスに乗る。
バスターミナルの前に宿をとったので、あとは蚊帳にくるまり、休めば良いだけだ。