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暑さと喉のかわきで、もうろうとする。 – Dongola / Wadi Halfa, Sudan

朝は、昨日もらったグワバとオレンジをほおばる。

ハルツームは午前中はまだしのげる暑さだったものの、ドンゴラにいたっては、朝から気温が上がっている。

半年ほど前に韓国人家族がこの街でヌビア様式のゲストハウスを開業したと地元の人から聞いたので、訪ねてみることにする。

聞いた話によると、伝統とモダンを組み合わせた建築は大変なもので、建設に1年半かかったという。

ご夫婦には3人の子どもがいて、スーダンで育つ子どもたちに韓国の文化にも触れさせるため、夏は韓国に帰国しているという。だから、今は不在。

ゲストハウスは、街の中心から歩いて5分ほどのところにある。アスファルトの道から逸れてろばに乗った男性二人についていったところに新しい建物が見えた。

留守番係であるらしい男性はたどたどしいようすで、オーナーのいない宿は、がらんどうとしていた。

スーダンの安宿、ロカンダの客には、スーダン人が多い。より高級なホテルになると、中国人やインド人ビジネスマンたちも現れてくる。それほど、この国に旅行をする外国人は、多くない。

スーダン人で英語を話したり、読んだりする人に出会うと、思わず声をあげるくらい、たいていのひとはアラビア語しか理解をしない。

ビザ取得から滞在届に旅行許可書、撮影許可書。滞在期間のほとんどをこういった届けの手続きで追われてしまう。

しかも、それぞれの申請についてのまともな情報が、一体どこにあるのか分からないことも多い。

それでも、韓国人の男性が北スーダンを気にいり、外国人旅行客を主なターゲットにした、英語表記のゲストハウスを開こうと思い立ち、奥さんや家族を連れてここに移り住んできたのだった。

昼前にはトゥクトゥクに乗って、バスターミナルへと向かい、次の目的地ワディ・ハルファまでのミニバスを探す。ドンゴラからワディ・ハルファまでは頻繁にミニバスが出ているようで、「ハルファ」と言えば、たいてい乗り場まで誰かが連れていってくれる。

ミニバスに荷物を置いたところで、近くの食堂で、KesrabとWeakaをオーダーする。インジェラの酸味を抜いたようなKesrabに、ややねっとりとした柔らかいカレーのような味のWeakaをかける。これに辛くない生のたまねぎとチリを添えていただくのである。

朝食、昼食時によく食べられているというKesrabとWeakaをほおばっていると、昨日のミニバスで一緒だった人々が店の前を通り過ぎ、挨拶を交わす。
小さな町なのである。

満席になったミニバスは、ワディ・ハルファに向けて出発する。

「今日はどのミニバスにも冷房はつかない」ということで、ぎゅうぎゅうになった車内の気温は上がり続ける。外には砂漠が広がり、時折ナイル川が近づくと、川沿いにだけ緑が生え、家がぽつりぽつりと並んでいる。

水がすでにお湯にかわってしまった1.5リットルのペットボトルをぐびぐびと幾度も傾ける。それでも途端にのどが渇いていく。

どうにも頭がもうろうとしてくる。

窓を開けると、熱風が肌にあたって、いたい。それを見越してか、ドライバーは、暑い車内であっても、窓を閉めたがった。

途中に砂漠の中で人の降りた場所があった。目の前に商店があったので、駆け寄り、ファンタ・オレンジを買い求める。それをぐびぐびと飲み干す。

ハルツームとワディ・ハルファを結ぶ極楽快適大型バスが横をすいすいと通り、わたしたちのワゴンを追い抜いていく。

17時半を過ぎたころ、ワディ・ハルファに到着した。乗客たちが手を左右に動かし、「もう終わりだよ、着いたよ。ハラース。」と合図をする。

スーダン、ワディ・ハルファからエジプト、アスワンまでのフェリーは週に一便しか出ていないこともあって、火曜夜のワディ・ハルファの宿は、たいてい満室となるのである。

こうして、Kilopatraホテルの広間にテントをたてて寝ることにする。広間には、既にベッドが幾床も置かれて、そこで寝そべっている人たちがいる。

宿からほど近い場所に数軒食堂が並ぶところがあり、そのうちのジューススタンドでオレンジジュースをいただくことにする。オレンジをミキサーで混ぜ、それにたっぷりと砂糖を入れる。砂糖を入れないほうがフレッシュで美味しそうなものだが、とにもかくにも人々は飲み物にたくさんの砂糖を入れるのである。

夕食はその近くの食堂でfuulをオーダーする。豆をつぶしたものに、ゆで卵をつぶしたもの、それにたまねぎのみじんぎりに豆を揚げたTa’amiyaを混ぜて、最後にゼット・シムシムというオイルをどばどばとかける。

ここで、今日エジプトからのフェリーでスーダンに着いたというロシア人の男性と同じテーブルを囲む。久しぶりに外国人旅行客に会う。

帰り際に近くの商店でStimという炭酸の林檎ジュースを買い求めて、飲み干す。

宿に帰ると、広間ではテレビを見ている男性たちがいて、ベッドで眠りこける男性、それに祈りをささげる男性たちが、いる。

ふいに宿の電気が停まる。5分待てば復旧しますよと誰も慌てるようすがない。
確かに、すぐに電気は復旧をした。