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暑い神殿と、極寒列車。 – Luxor / Cairo, Egypt

宿の近くのジューススタンドでぎゅっと絞ってもらったオレンジジュースを飲んで一日を始める。

頭に白いターバンを巻いたおじさんの食堂に入り、豆の煮込みfuulにターメイヤ、サラダやパンがついたセットをオーダーする。スーダンと似たメニューであるものの、ターメイヤの豆はソラマメに代わり、パンは、スーダン国で一種類かと思われる平たいパンから、丸型パン、アエーシへと代わる。

徐々に気温があがるので、商店で水のペットボトルを買い求める。そのうえ久しぶりにアイスクリームを見かけたので、ついでにネスレ社アーモンド入りチョコレートとバニラのアイスクリーム「Mega」も買い求める。

昼間の太陽のもと、再びジューススタンドに駆け込み、今度はさとうきびジュースをぐびぐびとする。ジューススタンドの一番人気は、さとうきびジュースである。

店の並びには、スーダンで見ることなかった酒屋まである。

茶色の建物の並ぶ街の中、ルクソール神殿の前には、真っ赤な看板を掲げたマクドナルドが派手に建ち、ロナルドが片手をふりあげている。

カトリックの教会も、ある。

アムン大神殿の付属神殿として建てられたというルクソール神殿には、ヒエログリフがぎっしりと刻まれたオベリスクが一本すらりとたっている。その右側のオベリスクは、パリのコンコルド広場にあるという。

塔門の前には、巨大なラメセス2世像が腰をかけている。そこから、かつてはカルナック神殿とつながっていた参道にスフィンクスがずらりと並んでいる。

神殿を眺めていると、観光にやってきたというエジプトの学校の先生集団に囲まれる。あちらこちらから一緒に写真を撮ってほしいと、肩を組まれる。陽気な先生たちである。

ルクソール神殿にある、アブーイル・ハッガーグ・モスクに入る。そこは、ルクソール神殿そのものの柱を残したまま、木造のモスクと融合されている。

モスクの中からは、神殿内部の、ヒエログリフやレリーフの刻み込まれたラメセス2世の中庭やそこに立ち並ぶ大きな柱を眺めることができる。

イスラム教徒にとっての休日である金曜の午後、祈りを捧げる人々、ゆっくりと昼寝をする男性や家族連れ、おもちゃの銃をもった子どもたちがいる。集まっていた信者の人々に、ターメイヤのはさまったパンを差し出され、ごちそうになる。

そこから、やや離れた場所にあるカルナック神殿に向かう。ルクソール神殿からバスで行こうと思っていたら、サングラスをかけてバイクに乗った男性が、乗せていってくれると言う。お言葉に甘えて、後部座席に二人またがり、ルクソールの町を疾走する。

カルナック神殿は歴代の王が増改築を重ねてできた複合施設。中心はアメン大神殿で、入口前にはスフィンクスがずらりと並んでいる。なにしろ大きな神殿だ。

ナイル川に沿う道を走るバスに乗って、ルクソール神殿近くまで戻る。エジプトの最近の混乱によって旅行者が激減しているようで、ルクソール神殿もがらりとしていて、馬車駐車場には馬が集まり、馬車乗りおじさんたちも暇そうに客引きをする。

暑さから逃れるため、冷房の効いたカフェ、Snack Timeでスプライトをオーダーする。ルクソール神殿の向こうに、夕日が沈んでいく。

今日はこれから列車でカイロに向かうので、水のペットボトルを買い、駅前のEl Hareefレストランで、細長い肉のかたまり、コフタをパンにはさんだものを買い求める。

同じ店で幾度も大きな水のペットボトルを買うものだから、店員もこちらの顔を覚えるほどだ。それほど、水をごくりごくりとやる。

ルクソールからカイロまでの列車のチケットは、窓口に行っても「いっぱい」だと言われていた。ただ、列車に乗ってからなら買えます、それで問題ない、の一点張りだ。

しかも、列車の時刻を聞いても、窓口の担当員、それにインフォメーション・センターの受付の人々、みなそれぞれに違う答えを返してくるものだから、一体何時にカイロ行きの列車が出るのか、てんで分からない。

とにもかくにも、ルクソール駅で停車していた列車に乗ってみる。座席はまだ空席が目立ち、2等車の空いている席に腰掛ける。

19時にはがたりと発車をした。車内は冷房が効いていて、涼しい。快適にすぎる。コフタをはさんだパンに、添えられていたサラダやペーストを加えて、ほおばる。

心地よさにつられてうとうととしていると、途中で多くの乗客が乗車してきた。これが、チケット売り場で言われた「いっぱい」の意味だった。

あっという間に座席は埋まり、指定座席を取れていない仲間たちと、席を立つこととなる。
既に通路では立っている人もいて、わたしたちはわずかなスペースを求めて、列車を歩く。

車両最前列の乗客の足元にわずかのスペースがあった。人気スポットでもあるようで、わたしたちも男性二人の足元にお邪魔することにする。

二人は、ソーシャル・ワークを学ぶ大学院生と教授だった。足元でうずくまっていると、Dairy milkのチョコレートバーやファンタ・オレンジをどうぞと教授に差し出される。
   
夜中の1時半を過ぎても教授と学生は議論を続け、教授はそのうちに羊肉の入ったボリュームたっぷりのパンをわたしたちに差し出し、自分も大きなそれを口に放り込む。

やがて車内はがんがんに効きすぎた冷房で冷え切ってくる。ぎゅうぎゅうのすきまに脚を折りたたみ、ただじっとうずくまる。

なかなかに眠れない。