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アスワンハイダムと、ルクソールまでの道 – High Dam / Aswan / Luxor, Egypt

朝は、暑いのと子どもたちがはしゃいで身体の上にのっかったので、目が覚める。目を開けてみれば、そこには女性の足の裏があった。

眠っていた間にパスポート返却のために呼び出されていたらしい。預けていたパスポートを受け取りに、オフィスへ向かう。

2段ベッドがしつらえてあるオフィスは涼しく、中に入ると職員が食事をしているところで、食べていきなさい、パスポートの手続きはそのあとで良いから、と言う。

パンにチーズ、それに豆を揚げたターメイヤをじゃがいもやにんじんと煮たもの、大根や人参のピクルス、フライドポテトなど、職員用だという食事をいただく。食堂車で売られている食事よりもずいぶんと贅沢な食事である。

その後エジプトの入国カードを記入して、誘われた別室に行く。すると、エチオピアのアディスアベバで取得しておいたビザの上に、入国スタンプが押される。

同じ船に乗っていた女性にいただいた西瓜をかじり、買い求めたりんごジュースを飲む。

フェリーは、巨大なアスワンハイダムに近付いた後、アスワンよりやや手前のハイ・ダムで停泊し、人々は下船していく。船から降りると、暑さが身体にこたえてくる。国境を超えて自由な国に入ろうとも、気温の高さは変わりがない。

行列のできる荷物検査は、先に先にと急ぐ人たちで混沌としている。身体検査のゲートに何人も入ろうとするものだから、余計に時間がかかるのである。それでも、わたしたちはどうぞどうぞと行列を飛ばすようになぜか手招きされ、どうにも緩い荷物検査を終えるのだった。

そこから、大きなハイ・ダム駅を通りぬけ、アスワン駅のある街の中心部までワゴン車に乗る。白い服を着た男性ばかりの乗るそのワゴン車では、運転手と乗客がどなりあっている。30分ほど渇いてごつごつとした岩山を窓の外に眺めていれば、アスワン駅の前に到着する。

駅の横にはツーリスト・インフォメーション・オフィスもある。旅行客対象のはずなのに探すのも一苦労する場所にあるスーダンのオフィスとは、違う。

辺りには建物が立ち並び、マクドナルドさえある。暑さに耐えかね、ジューススタンドに駆けこみ、さとうきびジュースをジョッキにぐびぐびとする。

このままルクソールまで向かうため、駅のチケット売り場に並ぶ。そこには混沌が待っていた。窓口には、並ぶことをしない人たちが手を伸ばし、声を張り上げる。後ろから押される人の力に耐えしのび、なんとか15時出発のルクソール行きチケットを手に入れる。

冷房がやや効いた快適な2等車に乗り込む。座席にはまだ空席もあり、ゆとりがある。

3時発の列車は、4時半を過ぎてようやくがたりと動き出した。ナイル川に沿うように列車は走っていく。川沿いには緑があり、畑も見られる。淡い水色やピンクに塗られた四角い家々のわきを、列車はけっこうなスピードで走っていく。

スーダンとエジプトは似た文化をもっているのだと、スーダン人は言った。それでも、エジプトの電車はスーダンと比べてすごいんだ、とその人は付け加えた。

やがてナイル川に真っ赤な夕日が沈んでいく。

21時前に、列車はルクソールの駅へと到着した。ルクソールの町は、夜も賑やかに、男性たちはカフェの前で水たばこを吸い、鼓笛隊が繰り出している。イルミネーションが街を包み、明るい月が浮かんでいる。

同じ宿に泊まっていた中国出身の男の子に連れられて、一緒に夕食を取りに行く。レストランに入って、ソーセージとレタス、トマトのはさまったサンドイッチと、ピリ辛のピクルスをオーダーする。サンドイッチには、ケチャップの袋さえついてきた。 ― 洗練されている。

宿への帰りがけ、ジューススタンドでさとうきびジュースをジョッキに入れてもらい、ごくごくとする。

スーダンとアスワンに比べれば、やや暑さがやわらかい。