Top > ブログ

ぐるぐる修行の好評スーフィーダンス – Cairo, Egypt

朝はエジプトスイーツやパンをかじり、昼食は宿の近くの屋台で、レバーや、ご飯を詰めたソーセージ、それにサラダとパンのセットをオーダーする。そして、近くのジューススタンドで、メロンミルクと同じように人気のマンゴージュースをごくりごくりとやる。マンゴーの繊維がまだ残っていて、濃厚でおいしい。

スルタン・ゴーリーの隊商宿ウィカーラで毎週水曜日と金曜日に行われている、イスラム神秘主義スーフィーの旋舞ショー、タンヌーラは、その質の高さで有名なイベントだ。タンヌーラは、羊毛、スーフでできた衣装を身につけて、ぐるぐると回転して陶酔し、神に近づくという修行のひとつなのだそう。

カイロ・オペラ・オーケストラの堀江さんも「スーフィーダンスの質はものすごく高いのに、お給料は自分たちの5分の1ほどしか国から出ないんです。」と言っていた。

宿近くのオペラ広場から乗り合いタクシーバンに乗って、会場近くまで向かう。高架になっている細い道を、バンは前の車にぶつかる勢いで突き進む。運転手は、一時停止中に隣の車に話しかけ、手持ちのお金を両替している。

イスラムの最高学府アズハル大学やフセイン広場に面したガーマ・ホセインは、その茶色い建物を夕日に照らしている。

開演までまだ時間があったので、200年以上の歴史をもつというカフェEl Fishawyに立ち寄る。道路に出されたテーブルと座席で人々はシャイを飲み、あるいは水たばこをたしなみ、その香りが辺りを包んでいる。

シャイをオーダーすると、シャイの入った古びた青いポットと、ミントの入ったグラス、それに砂糖の入った銀の入れ物が、トレイにのせて運ばれてくる。カフェは客でにぎわい、それをねらった売り子たちが、とっかえひっかえに商品を見せながら売り歩く。

タンヌーラは、20時から始まった。最初に白い布を頭に巻き、白い服を着た男性たちが太鼓や金属製のカスタネットでリズムをとる。いかついおじさんがおどけたようすで踊り、バレーのような細かい脚の動きをつけながら舞ってみせる。それから、黄色や黒、赤や緑といった色鮮やかなスカートをぐるぐると回転させた男性が入ってくる。

周りの男性たちはタンバリンをならしながら、中央の男性はリズムをつけながら、ただひたすらにぐるりぐるりと回り続ける。しばらくすると、巻いていたスカートを取り外し、ふわりと宙に浮かせて、今度は手でそれをぐるぐると回転させる。

立ち見もでるほどの満員ぶりをみせる会場は、拍手と口笛で盛り上げる。

黄色や緑、赤などで模様をあしらった太鼓や、身体の前で叩く太鼓、それにラッパの演奏があった後、3人の男性が再びスカートを回し続ける。スカートを取り外しては頭の上で回転させ、腰のスカートとともにぐるぐるさせる。マイクから歌が歌われ、弦楽器や太鼓、ラッパが盛り上げ、カスタネットとダンスが掛け合いをする。

スカートを身体の上下に器用に回しながら、頭をぐるぐると回し、スカートを放り投げる。それでも、頭のくらくらなど感じさせないお辞儀が客席に向けられる。

21時を過ぎてショーが会場の熱気とともに幕を閉じる。

帰りもまた乗り合いタクシーバンに乗りこむ。このタクシーもまた例にならって、車線変更を繰り返し、ぐいぐい進む。商店で買っておいた、エジプトで人気のお菓子、Moltoのハーゼルナッツ・チョコレートをかじりながら、宿へと戻る。しっとりとしたクロワッサンに甘いチョコレートペーストが入れられている。

今夜は夜行バスに乗ってアカバ湾に面したダハブまで向かうが、まだ出発まで時間がある。

宿の近くのAkher Saaというレストランで、ターメイヤのサンドイッチをオーダーする。レストラン前にはプラスチックのテーブルや椅子が並べられ、みなテレビ画面に映し出されたユーロ2012のサッカー観戦に夢中だ。

宿から鞄をとって、ダハブ行きバスの出るトルゴマーン・ターミナルに向かう。信号がとても少ない大通りを、車がひたすらにクラクションを鳴らして、ぐんぐんと進む。おっかないこと極まりない。

ターミナルに着いたら、簡単な荷物検査をした後、East Delta社のバスに乗り込む。23時45分の予定時刻を10分ほど過ぎたころ、がんがんに冷房のかかったバスは、シナイ半島、アカバ湾沿岸のダハブへと向かっていく。

シナイ半島は誘拐事件も発生し、沿岸地域以外は「渡航の延期をお勧めします」とあるが、カイロで出会ったガイドの男性が「捕まったとしたら、それは天国を見ることなんだ。彼らは政府との交渉のために誘拐をしてくるけれど、危ないことはしてこない。捕まっている間は、ご飯も出してくれるし、手厚くもてなされるんだよ。」と言っていたことを思い出す。