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中央アジアで憧れをうける国 – Border with Kyrgyzstan / Almaty, Kazakhstan

川を渡ってすぐのカザフスタン側のイミグレーションでは、小さな入国カードに名前や連れの子どもの有無、滞在目的などだけを記入して、それを手にイミグレーション・オフィスに進む。上にはカメラが備え付けられているようで、一歩下がるように言われるほかは、既に取っているビザを見せれば何も問題がない。

それから確認がされているのか分からないほどの荷物検査を受けて、外へ出る。

タクシーをつかまえて、途中、国境よりも両替レートが良いというコルダイで一度車を降りて両替を済ませ、乗り合いタクシーの乗り場まで向かう。

乗り合いタクシーもさほど時間のかからないうちに人が集まり、出発となる。前の座席には仲の良いおじさん、おばさんが座っていて、ファンタやらキャンディーやらをどうぞどうぞと勧められる。ファンタを開けると、車の中で噴きだした。

休憩でタクシーを降りれば、アリくんが買ってくれたメロンアイスクリームに、おじさん、おばさんが買ってくれたパイナップルアイスと、二つを手に持つことになる。

こうして13時45分ころにはアルマティのバスターミナルに到着する。明日の中国のウルムチ行きのバスを予約しに窓口へ行き、両替を済ませていると、友だちが連絡をしてくれていたアルマティ在住の女の子が迎えに来てくれた。まつげをくるりと上にあげて丁寧に化粧をしているきゃしゃな大学生のかわいい女の子だ。

わたしたちがキルギスから来たというと、キルギスは危なくなかった?と聞かれる。小さいころに知り合いを訪ねたことがあるけれど、それ以降はキルギスに行ったことがないという。

わたしたちがチリで買ったキャノンのカメラに不具合が起きていたものの、キルギスでは修理する拠点がなく、アルマティにはあると聞いていた。あらかじめメールでお願いをしていた拠点まで運転してもらう。

Victory121というその店舗に入ると、担当のアレキサンダーさんが迎えてくれた。ご本人はほとんど英語ができない様子だったものの、メールの様子で既に詳細を知ってくれているようで、ちょっと待っててください、と言ってさくさくとカメラを調べてくれて、問題を突き止めてくれた。キャノンのカスタマーサービスのネットワークの強さとその丁寧なサポートに、いたく感動してしまう。

こうして無事に問題を解消した後、再び車に乗り込んで、海抜1500~1700メートル辺りにある渓谷、メデウへと向かう。

フライドポテトや肉にマヨネーズで和えたサラダをくるりと巻いたラップをほおばりながら運転してもらう。

カザフスタンは中央アジアの中でも物価が高いとみな口を揃えて言う国。そして、羨望のまなざしで見られることも少なくない国。通りには、近代的な建物があちらこちらにそびえたっている。

山の上のほうまで行くと、気温はまたぐっと下がる。眼下にはスケートリンクが見える。ロープーウェイが山の合間をするりと抜けて行く。

雨がぱらぱらと降ってきた。

あまりに寒いので、長居もせずに、アルマティの郊外にあるアリくんの家へと向かう。新しい一軒家の並ぶ新興住宅地だ。アリくんのお母さんも5年ほど前にこの家に移ってきたという。家には大きなリビングにキッチン、それから部屋がいくつもある、大きな家だ。お手伝いさんがいるといい、清潔に整えられている。

夕ご飯はお母さんお手製のプロフにトマトのサラダ、ピーマンの肉づめをいただく。あつあつのピーマンをぱかりと割ってたっぷりとマヨネーズをつけていただく。それにバナナやナッツにレーズン、たらふくで食べきれない。

ボルシチもよく食べるといい、キルギスもカザフスタンもロシア料理の影響をふんだんに受けている。

アリくんのお母さんはヨーロッパを中心にいろいろな街へ行ったことがあるという。そして、それぞれの国のお皿を持って帰ってきていた。

外では雷がなり、雨が降っている。久しぶりに雨の香りの中に花と土の香りがする。普段キルギスに住むアリくんは、お母さんのことを時折想う、と言った。

アリくんは、中国で洋服を買い、アルマティで売っている。中央アジアでつくられた洋服に比べると、格段と安いのだという。

冬にはこの辺りはマイナス30度くらいまで下がることもあるという。

夜も遅くなったころ、再びお茶を飲もうということになる。お母さんの友だちも遊びに来た。アリくんはiPhoneを少し前に落としてからインスタグラムにログインできずに困っていたので、その手伝いをする。