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青い海とひっそりとした島と泡盛の夜 – Okinawa, Japan











朝は宿で、パンケーキとスパム、スクランブルエッグを出してもらったうえ、レンタカーの空きまで調べてもらい、行き先もままならない中で、とにもかくにもレンタカーを借りてみる。

本島を北へ向かい、アメリカのチェーンハンバーガー店、A&Wに入り、モッツァバーガーとフライドポテト、それにルートビアをオーダーする。モッツァバーガーはボリュームがあり、マッシュポテトを揚げたというフライドポテトはもっちりとした食感で、ルートビアは薬草の味がして、アメリカンなセットだ。

今日のルートをおおまかに決める。












海にかかった橋、海中道路を渡る。爽やかな風が強く吹き、海は青々としている。両手を大きく広げて、息をたっぷり吸い込む。

橋を渡った先の浜比嘉島には、琉球の国造り神話が残っている。琉球創世神話の神であるアマミチューの墓やアマミチュー、シルミチューが住んでいたという洞穴がある。それは島の中に、ひっそりとたたずみ、洞穴にはしっかりと鍵がかかり、外からしか中の様子を伺えない。











おじいさんやおばあさんが畑を耕し、石垣や瓦屋根が並ぶ集落では、地元のおじさんたちが外で作業をしている。この島は、元の橙色の瓦屋根に、白いペイントを施してある家が多い。私たちに話しかけてくれた地元のおじさんにその理由を尋ねてみると、防水のためだと教えてくれた。屋根が古くなってきているから、こうしているのだという。











浜比嘉島は、橋で平安座時間、宮城島、伊計島につながっている。どんどんと先の方まで車を飛ばしていく。











そこは、ひっそりとしていて、人はほとんどおらず、ただひたすらに畑が広がっていた。ところどころに沖縄風の墓が点在している。なんだか、懐かしいかんじのする風景だ。











夕焼けを見ながら、また車を飛ばして、本島まで戻り、JIJI CAFEに入る。そこは、戦後、駐留米軍のために作られた平屋住宅で、かたちの違う家具たちが並んでいるのに、カフェ全体に統一した雰囲気が流れている。チャイとプレミアム・アールグレイをオーダーする。ゆっくりした時間。










外に出てみると、すっかり日は暮れていた。辺野古まで行こうということで、ネットで見つけた海と風の宿という宿に電話をしてみると、バスルームを改装したお部屋でしたら空いています、とのことで、他にあてがあるはずもなく、そこにお邪魔する。

辺野古基地移転問題でも活動をされているというオーナーさんが現在入院中とのことだったけれど、そのぬくもりが宿のあちらこちらに残っている。

時間は21時を回っていた。近所でどこか食事ができるところはありますか、と尋ねると、近くの商店にチキンがあったなと宿泊客の間でも話題になる。近所の商店のチキンが話題になるくらいの場所なのだ。その商店を訪ねてみると、乾きものがメインのそこで、確かにそのチキンは輝いて見えたけれど、それにしては冷えすぎていそうだった。











やんばる料理の店 あぶという店が開いているかもしれないとのことで、車で向かう。「この近所で灯りがついているのは飲食店くらいだから、分かりますよ」という言葉を励みに、暗闇を向かう。

確かに、灯りがともった店があぶだった。店内からは、沖縄音楽が聞こえてくる。店内には有名人の色紙も貼ってある。他に客はなく、店主と奥様の二人が迎えてくれた。ソーメンチャンプルーや、海ぶどう、島豚てびち煮付、それに、名物だというセーイカのバター炒め定食をオーダーする。定食には、セーイカのキムチ和えやもずく、パイナップルを切ったのがついている。

食べ終わるころには、ご主人も、テーブルについて、オリオンビールを飲み始めた。わたしたちが、そろそろ店を出ようとすると、ゆんたくしていかないかと、わたしたちを誘った。

ゆんたくって、なんですか、と聞くと、交流、と少し酔っぱらった顔で言った。

そこから、泡盛を並々と注がれること3杯、さっきまで生きていたというサザエをどっさりと持ってきて、ご主人にとってはきっと日課なのだろう、仕事の後の宴会が始まった。フィリピンの奥さんを娶って、とても支えられているという話、最近経営が難しい話、それから信頼と愛情についてをとうとうと説いた。訛が激しいからか、話がほとんど理解できない。でも、言わんとすることをそのニュアンスで感じ取れた。

ふいに辺野古と基地の話になると、おじさんは、国のためなら仕方がないと思うと言った。かつて、おじさんが小さかった頃はまだまだ貧しくて、米軍に向かって、チョコレートをちょうだいと言っては、チョコレートをもらっていたのだという。あのときの美味しさは忘れられない。キャンプシュワブの大将の話もしてくれた。

酔ったおじさんは、目がすわってきたけれど、帰りが近づくと、何度も握手を交わした。おじさんの手はあたたかかった。また来てくださいと何度も言った。