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星になった犬 - San Blas / Isla de Perro / Coco Bandero Cays, Panama

朝からフランク船長がクレープを焼いてくれている。チーズやハム、トマトをのせたり、バターやジャム、クリームチーズをたっぷりと塗って、口に入れる。グレープフルーツが並べられ、みなナイフとフォークを器用に使って、種と皮をとっていく。

10時には30分ほど先へのペロ島へと向かう。海底が砂浜の部分は海がエメラルドグリーン色にそまり、輪を描いて濃い藍色へとつながっていく。

犬の島という名のペロ島は一つの商店と、サトウキビの茎を並べてできた家が佇んでいるだけの島である。1家族がココナッツの管理をするために住んでいる。

近くにはかつての大型船が1950年代に沈んだ沈没船があり、さびれた先の部分だけが海の上に出ている。船体は沈み込み、海藻がついている。船体の半分ほどは原型をとどめていない。黄色や赤と茶色の格子、輝く青色の魚などがそのヨットのまわりに住み着いている。

昼はフルーツの入ったパスタにパンだ。食事をしていると、この辺りでは一番質の高い色鮮やかなモラを作るというクナ族であり、ゲイでもあるというVenencioさんが仲間と緑の木のボートに乗って、モラを売りにきた。プラスチックの容器に一枚ずつ重ねていた布を一枚ずつ取り出して広げて見せて、また一枚ずつ戻す。

その後、また2時間ほどボートは走りCoco Bandero Caysへと向かう。航海中は船長も眠ったり、食事をつくったりしなければならない。その間は乗船者一人一人がもちまわりで運転席に着いて、監視をする。他の船が地平線の内側に来て視界に入っているということはおよそ7マイル以内にいるということで、20分以内に接近すると考えられるので注意をしなければならないのだという。

このCoco Bandero CaysにあるOrduptarboatの小さな島には名前もついていない。5本のヤシの木が生えているだけだ。周りにもヤシの木がぴょこぴょこと生えているだけの島が点々としている。

そこまでシュノーケリングで泳いでいく。水面に広がる珊瑚の周りに魚が集まっている。そこに突然砂が集まり盛りがっているのが、そのまま島になっている。

サッカーをしたり、椰子の実を木でつついて落としたりする。その椰子の実をそれぞれヨットへ持ち帰る。

夕ご飯はミートソーススパゲティをいただく。ジューシーな肉の旨みがつまったミートソースだった。持ち帰ったココナッツに穴をあけて、それを用いたCoco Locoに似たココロコ・スペシャルカクテルを船長がふるまってくれる。船長は、Romeo y Julietaのシガーをくゆらせる。

この辺りには他のボートが停まっておらず、夜はただ月と星だけになる。月がまだ上がる前には辺り一面多くの星が瞬く。

このボートの名前になっているCleoは、かつて船長が15年生活を共にした犬の名前である。父親の名前をシーザーといい、クレオパトラの名前にちなんでCleoと名付けたのだという。スペインで亡くなった後、ドイツの親のお墓とともに埋葬したのだという。

みな、誰でも死ぬんだ。でも、また生き返る。Cleoは星になって、見てくれていると思うよ。

大きな身体をして、日に焼けた赤い顔の船長は、そう言った。