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温泉の湯気と、雲と、滝の、白いバーニョス – Banos, Ecuador

Banosの周りは山々に囲まれ、滝も多いというので、マウンテンバイクをレンタルして巡ることにしようと思っていたものの、朝からあいにくの雨である。

どうやら昨日、ほど近い5016mの火山、Tungurahuaが噴火したようで、地面や車の上に灰がうっすらとかぶり、道路を掃く女性がいる。傘をさせば灰がつき、マスクをしたほうが良いですよとアドバイスをもらうほどである。

雨が止むのを待ちながら、朝の6時半から開いているという屋台で朝食をとる。教会横に何台かの屋台が並んでおり、そのうちの一台に座る。その屋台の料理人は、72歳のカルメンおばあさんで、屋台を始めてもう35年だという。エクアドルの朝食の定番の一つだという、牛モツGuatitaとじゃがいもの煮込みにキャベツとご飯をそえたものをいただく。

すっかりと寒い朝なので、食後に温かい飲み物Aguita de Anisに砂糖を入れて手でそれを包み込み、暖をとる。そのうちに、カルメンおばあさんが、これもどうぞと甘いホットチョコラテにさらに砂糖を入れて、テーブルに置いてくれた。

時折雨が弱まるものの、まだ様子をみることにして市場に向かい、夕食のための買い物をする。アボガドにトマト、ソーセージBoton de res、そしてチーズを買う。町では多くのモルモットが炭火焼にされてくるくると棒で回されている。ちょこんとした口が、なにやら凶暴な顔に変形している。飴を店先にかけてびよんびよんと伸ばしている店も並ぶ。

BanosからMachayまでは7つの滝があり、川に沿ってほぼ下り坂のその道をマウンテンバイクに乗って下っていく。滝や橋の各所にバンジージャンプやらCanopyやら蛇の首巻きやらのアトラクションが用意されている。

アゴヤンの水力ダムを越えて滝にたどり着くと、そこではCanopyやロープーウェイのアトラクションがあり、そのわきの砂糖きびがいくつもたてかけてある売店で、砂糖きびを切った茎が売られている。買い求めようかと近づいて行くと、どうぞと茎を渡される。その甘い汁をちゅうと吸っていると、また一つ、どうぞ、と言う。

5つあるトンネルの内、2つ目以外はわき道があり、川の崖に沿って、時折岩の上からしたたる水をあびながら、そしてまた時折雨に降られながら、自転車をこいでいく。

腰と脚にロープをくくりつけて水平に下っていくCanopyはあちらこちらにあり、中には家族で手作業で作ったかのように見えるものもあり、びくびくとするである。ロープーウェイもまたよく見かけ、中には地元の人たちに使われていたのであろう、物を運ぶためのロープも川のはしとはしをつないでいる。こちらもまた家族経営らしきものもあり、滝があるごとに、そこに商売が生まれ、家族が住み、子どもが生まれ、育ち、元気に遊びまわるのである。

Rio Blanco、Cielo橋の上に設けられたバンジージャンプでは、女性が挑戦し、歓声があがる。そして、撮影された挑戦者の動画が流され、人だかりができて、みなが見入っている。

再び自転車をこいでManto de la Noviaにたどり着き、ロープーウェイで滝の近くまで行く。ぐらつく鉄の柵でできたロープーウェイが相当な勢いで下がっていくものだから、相当にひやひやとするのである。

二つの滝が寄り添うように流れ落ちていくのを眺めながら昼食をとる。豚肉を揚げたものに、とうもろこし、Moteをまぜて、サルサをかけたFritadasをいただく。

そして、またSan Jorge滝やSan Pedro滝を眺めながら、自転車をこぐ。

大雨が降っては、また止み、それを繰り返していく。ところどころに村があり、開け放たれた門から鶏が走り出ている家もあれば、その横で牛が雨に打たれている。

Banosから18kmほど離れた滝、Pailon del Diabloにたどり着く。「緑の川」という名の深い緑色をした川が一度大きくうねりながら、水をためた後、黒い岩にそってぱかりと二つに分かれながら、そしてまた一つになって落ちていく。

滝の上流を見守る親子が、マンダリンをどうぞと木を棒でつつき、それを手にしてわたしたちに差し出す。

甘酸っぱいそれを口にほうりこみながら、滝つぼまで向かう。山道を下がり、滝つぼ近くまで下っていくと、しぶきで身体がびしょりとなる。辺りは厚い雲がたちこめ、それが滝と同じくらいの高さをおおっているものだから、滝の水しぶきと雲と雨とで、辺りは白く霞んでいる。

細い岩穴を通ると、滝がすぐ目の前に近づく。深い緑色をした川が滝となり、白い水しぶきを上げた後は、茶色い川となって、いずれアマゾン川に流れ込んでいく。

そこから、また少し先に行ったMachayの滝に着くころには、日が暗くなり始めている。もう滝へと下がる者は他におらず、静まり返る山道と階段を急いで下る。まっすぐに滝つぼへと落ちる滝が、徐々に暗がりへと向かっていく。

滝つぼからまた山道を上がり、道に停めてあった自転車にたどり着く19時ころにはすっかりと辺りは暗くなっていた。雨にぬれた地面の上で自転車は滑り、車のライトは反射する。

ちょうどPailon del Diabloに停まっていた2階建てのバスの後ろに自転車を乗せ、2階に席をとる。天井のない2階にほとんどの乗客が座っており、トンネルに入るとバスはぐらりぐらりと揺れ、その度にきゃあきゃあという声があがる。

そのうちに雲がはれ、バスに流れるのりのりの音楽を聞きながら、昼はてっぺんが雲に隠れていた山々の形がくっきりと黒い影となって、現れてくる。

一日かけて自転車でたどり着いた道もバスだとただ30分ほどでBanosの町へと戻ってくる。カルメンおばあさんは夜も同じ場所で働いている。

市場で買っておいた食材を使って、じゃがいもとたまねぎとBoton de resの炒めものと、トマトとアボガドとチーズのサラダを作って、Pilsenerビールを合わせていただく。

夜遅くまで今日も外で明るい音楽がなっている。