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クエンカの街歩き – Cuenca, Ecuador

テレビから流れるドラゴンボールに続くドラえもんを横目に身支度をととのえて、クエンカの街を歩くことにする。

朝食は、コルドバ通りのレストランAsi es Cuencaで、Tamalesとコーヒーのセットをオーダーする。とうもろこしをひいて練った生地をバナナの葉で包んだTamalesには、豆や卵、レーズン、とうもろこしや鶏肉に人参などが入っている。それを薄く苦みのない国産コーヒーと合わせて食べる。地元の人々が一人で来て、手早く食事をすませて出ていく。中にはスーツ姿の男性もいる。

アブドン・カルデロン広場に面したインフォメーションセンターにいたJohnさんは、日本のアニメをよく観ると言い、NarutoやOne Pieceといった名を挙げて、以前Narutoでラーメンをすするシーンがあったから、キトに行ってラーメン屋に入って食べたら、ものすごく美味しかったんです、と言う。そして、ドラゴンボールは基本中の基本だよと付け加えた。

広場は、青いドームをもった大理石と煉瓦造りのカテドラル、1557年に建設の始まった、かつてのカテドラルである旧大聖堂、政庁、市庁舎で囲まれている。

カテドラルは天井が高く、あちらこちらに設けられた色鮮やかなステンドグラスを通して外の光が入り込み、人々がその中で祈りを捧げている。

教会の隣にある、地元でも有名だというTutto Freddoに入り、アイスクリームを食べることにする。苦みと甘みをもつビール味のアイスクリームなど数ある選択肢から、無難にラムレーズンとバナナ・スプリットを選ぶ。

アイスクリームを食べながらサント・ドミンゴ教会の前を通り、花市場に行く。広場では薔薇や菊、ひまわりなども売られ、アレンジされた花も置かれている。ある店の女性は、花を前にうとうとと眠り、ある女性は新聞を熟読し、ある女性は花のアレンジに精を出している。

サン・フランシスコ教会近くにある土産物市場、サン・フランシスコ教会を見てから、果物、野菜、肉や雑貨が1階に売られ、2階は食堂となっているMercado Municipal 10 de Agostoに向かう。

市場の前にはいくつかの商店が立ち並び、パンを山積みにしたパン屋もある。ざらりとした砂糖がかけられ、中にチーズの入ったふんわりとしたパンを買い、それをかじりながら市場に入る。

この辺りではバナナといっても、小さなバナナから、大きなプラタノ、緑色をした料理用のプラタノなど、さまざまな形がある。市場に山積みにされた果物や野菜から、甘いと言われた小さな房のバナナを買う。

肉市場では、切り落とされた牛の頭が2頭分大きなバケツに入れられて上を向いており、その横では腸がぐるぐると箱につめられている。ふさふさとした黒い毛に包まれた顔の下の部分は皮が剥がされ、目はうつろにまだ光りをもっている。肉屋の女性は、その目に手を差し込み、くるりと頭を動かし、よしと頭をなでる。

買ったバナナを2階の食堂のテーブルでいただくことにする。ややむきづらいそのバナナはとても甘いバナナであった。この市場でも、野菜を前にうとうとと眠る店の女性たちが、いる。

そこから、コロニアル調建物の裏側ものぞける、トメバンバ川沿いの道3 de Noviembre通りを歩く。

Artes Populares博物館では、褐色、クリーム色、緋色といった釉のかけられたエクアドルの陶器、アルパカの毛に包まれた民族衣装、藁で作られた帽子、ボンボやホルン、マデラといった楽器の他、南米各国伝統の手工芸品などを見る。

川沿いを東へ進んでいくと、SAKURAという日本料理屋もある。グアヤキル出身のシェフが開いたレストランで、客の多くが外国人だという。メニューには、寿司、焼き鳥のほか、鉄板焼きなどもある。

川を渡らずに途切れている煉瓦造りのロト橋をのぼりつつ、更に川沿いを歩いて行くと、車の行き交う道の脇にインカの遺跡が見えてくる。遺跡には石組みも残り、建物や水路の跡も残されている。

そばの教会や学生が賑やかなクエンカ・カトリック大学の前を通りながら、夕食のレストランを探しに、サン・ブラス教会前に伸びるシモン・ボリバール通りを西へと歩き、スペイン植民地時代の邸宅をそのままホテルにしたという、サンタ・ルシアを訪ねたりする。

月曜日になれば店が開くという宿のオーナーさんの昨日の言葉に反して、今日もまた多くの店が閉まっていた。

開いているのは、チェーン店ふうの店かバーといった具合だ。街をうろうろと歩き、店先で冷めた焼き物を前にのんびりとしているおばさんがいたので、声をかける。奥には簡単なテーブルがあり、夕食も出しているという。

今日のメニューは何ですかと尋ねると、チョクロの塩ゆでにユカ芋と牛肉のサンコーチョスープ、揚げた豚肉とじゃがいもを丸めたTrutilla de papasやサラダとレンズ豆のご飯、それに甘いAguita de frescoジュースだというので、お願いする。

この辺りの地元の店には、書かれているメニューはなく、今日あるメニューをそのままいただくということも少なくない。Carmitaという名のその小さな食堂は開業20年だといい、犬がうろちょろとしていた。