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太陽のワカ・月のワカと、ターミナルの夜 – Trujillo / Lima, Peru

朝早くに起きて太陽のワカ・月のワカを見に行くことにする。霞んだ空の下、海は太陽の光を浴びてうっすらと淡い。朝早くから海ではサーフィンをしている人もいれば、トトラ舟を漕ぐ人も、道でごみの回収をする人もいる。

8時半ころに宿を出て、トルヒーヨまでバスで45分ほど、そこから混雑するバンに乗り換える。

乗客が一人二人と降り、20分ほど走ると、フロントガラスの向こうに、険しい丘、セロ・ブランコが見えてくる。入口にある商店の女性が作ったというオレンジケーキを買い求め、それをほおばりながら見学をすることにする。

太陽のワカ・月のワカとは、約100ヘクタールにわたるモチェ王国の町の遺跡である。政治、行政の中心であった要塞、太陽のワカと、宗教儀式を行う場であった月のワカは向かい合って建っている。

その間500mにはかつてのエリートが住んでいたといい、建物跡が残っているのが見える。

月のワカには入ることができる。古い建築物を覆うように新しい建築物を建てる当時の習慣が、内部の保存を促し、赤や黄、黒のモチェの主神Ai Apaecなどのモチーフが色鮮やかに残っている。シンメトリーのモチーフ、繰り返しのパターン、動物や人、植物などが並ぶ壁面には圧倒される。ちょうどテレビ撮影まで入っていた。

月のワカの上にたつと、西に太陽のワカが見える。日干し煉瓦のアドべが1億4000万個ほど使われていたその要塞は今ではまるで泥の塊のようであるが、近づいてみると、その煉瓦がところどころに見えてくる。

今も発掘が続いているとのことで、遺跡は動きに包まれている。

首都リマまでのバスが12時ころにあるというので、LINEA社のバスターミナルまで、モチェ川を渡りながらタクシーで向かうことにする。タクシーの運転手の男性は、いとこ二人が東京の民芸品の店で働いていると嬉しそうに話してくれた。

11時59分発リマ行きのバスにただ二席空いていたので、そこに席をとる。

このバスも昨日のバスと同じかそれ以上にデラックス、なのであった。ゆったりととられた座席には大きなフットレストがついており、脚をぐっとのばし、肘もぐんと広げて肘掛けに置き、座席はぐいと倒すことができ、毛布も枕ももちろんついている。

発車後まもなく、昼食として、鶏肉とベーコン、じゃがいものクリーム煮にライスにキャラメルのかかったケーキがふるまわれる。ドリンクはコカコーラやインカコーラから選べ、今日もまた蛍光黄色のインカコーラにする。

昨日のバス以上にリクライニングが効くため、座席の後ろにテーブルを備えることができない。カップ置き場が座席の横に備えられ、食事は膝にかけられた毛布の上にプレートを敷いていただくという具合である。

茶けた乾いた山々が続き、ところどころに土や木でつくられた家々が並ぶ。時折、乗用車や、穀物やら野菜、藁などを積み込んだトラックとすれ違う。

3時ころにはポップコーンの袋まで配られる。本を読んだり、画面に流れる映画を観たり、うとうととしたりしていれば、18時半ころ、右手にオレンジ色の太陽が海に沈もうとしているのが見えてくる。

そろそろ日の暮れるころ、夕食のサンドイッチが配られる。やがて800万人近くが住む大都会リマへと入り、近代的な建物が並び始め、21時ころLinea社のバスターミナルへと到着する。

できればこのまま夜行のバスに乗ってナスカまで行きたいと、ナスカ行きバスを出している、Cruz del Sur社、Tepsa社、Ormeno社といったバス会社のターミナルが集まるAv. Javier Prado Esteに向かってタクシーに乗る。よく話をするタクシーのおじさんは、フジモリ大統領は良くないと語った。

4社のバス会社をあたるもどこも今夜の夜行バスは満席で、明後日まで満席だという会社もある。

大通りには、ふっくらとした大きな胸をもつ、長い金髪の男性が黒いタイトなミニスカートをはいて、上半身を露出している。

Cruz del Sur社の朝3時45分の便に二席だけ空いていた席を見つけ、ターミナルでその時間まで待つことにする。