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ライオンは、時にとても怠け者なんだという。 – Masai Mara National Reserve / Nairobi, Kenya

朝起きてみると、テントの外から牛のカラカラという音が聞こえてくる。茶色い家や草原の広がる中で、牛を追うマサイ族の人々がまとう布は、明るく際立つ。

6時半からモーニングドライブに出る。朝はやはり動物が活発に動いている。ヌーやインパラ、しまうまの群れが草原でゆったりとしている。そこに臆病だといわれているディクディクがきょろきょろとしている。

しばらく車を走らせると、道にのそのそとメスライオンが2頭歩いていた。筋肉に満ちたその身体をがしがしと前に進ませて、そのうちに草むらに入り、辺りをくるりと見渡す。獲物を探しているのだ。

しなやかなしっぽをわずかにたてて、いくども頭をあちらこちらへと振った後、そのうちに草むらにぺたりと座りこんだ。

ライオンは、時にとても怠け者なんだ、とマイケルさんは言う。確実に狩れる相手しか追わない。それで餓死するライオンもいるくらいだ。

餓死しそうなライオンがいたら、レンジャーと相談をするんだ。それで、しまうまの脚だけを負傷させて、車で運んで、ライオンの前に差し出すんだよ。しまうまはたくさんいるけれど、ライオンを繁殖させるのは大変だからね。

一つの家族だというバファローの大群のわきに、ハイエナが一匹いる。バファローがライオンなどから食われた残骸を、骨までしゃぶりつくためにいるらしい。

誰も見つけられない草むらの中からマイケルさんは、ライオンを見つけ出す。その目はぐっと動物を見つけ出すハンターだ。その目の良さと勘の鋭さには身震いする。そして大きな動物を見つけ出したら、携帯電話を取り出し、仲間のドライバーたちと情報共有をしあう。

今度はライオンが3頭茂みに隠れている。目の先にはバファローがいるが、まだ遠く、しかもバファローと戦うことはなかなかに労力にいることで、負けてしまうことすらあるという。

こうして3頭もまたぴたりと身体を寄せ合い、茂みに横になる。朝日に照らされて、目を細めたり、ときにこちらをじっと見たりする。

カンムリヅルが頭に黄色い冠のようなとさかをつけて、ひょこひょこと歩き、だちょうが長い首を揺らしている。

2時間ほどゲーム・ドライブをしてから宿で朝食をとる。トーストに豆、オムレツにチャパティ、それにマンゴーとミルクコーヒーをいただく。

朝食を食べ終えれば、ナイロビへの帰路へつく。マイケルさんは、金曜日に保護区内で象が密猟されたから、今調査が入っている、と言った。旅行者しか今はマサイ・マラに入れないから、おそらく旅行者を装って入った人がいるのだろう、と付け加えた。

道のわきには、赤い布をまとったマサイ族の人々が、特別な日に塗るという額に白や赤のペイントをつけながら、牛を棒でたたき、追っていく。

昼食は、豆にキャベツに羊肉、ライスにチャパティといった定番メニューである。

大雨が降ったり、やんだりを繰り返しながら、ナイロビへと向かう。道には、死んだハイエナ、戦い合う牛、雨の中倒れた人がいる。

やがて高層ビルも建つナイロビの街へと入っていく。雨が止んでも街はさきほどの雨で土にまみれ、道のわきには大きな泥の水たまりができていた。

夜は宿のレストランで、White Capラガービールを飲みながら、チャパティをつまむ。