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クリスマスイブの爆音ライブと爆竹 – Copan / San Pedro Sula / Trujillo, Honduras

気候のおだやかな、クリスマスイブである。

バスが停まる曲がり角近くで開いていた商店で甘いともいえないパンを買い込み、ちょうど日が昇り始めた6時発のサン・ペドロ・スーラ行きバスに乗り込む。小さなバスに人が大勢乗ってくるようなバスの想像は裏切られ、そのバスは大きく清潔で、乗客がまだらにしかいないバスであった。

窓は数か所開け放たれ、外から、ぎゅっとつまった木々の香りが、さわやかな風とともに入ってくる。牛が草をはみ、人々がお墓を詣で、ところどころ道の脇に大きな看板広告がたっており、ペプシ広告を塗った店が見られる。

10時にはサン・ペドロ・スーラに到着する。ここはホンジュラスの第二の都市であり、工業、商業の中心でもあるこの街のバスターミナルは、巨大ショッピングモールになっていた。中国製の洋服店もあり、フードコートにはこの辺りの定番メニュー、Pollo(鶏肉)のお店がずらりと軒を並べている。

今日の目的地であるトルヒーリョまでのバスが出ているCotraipbal社のカウンターに行くと、ちょうどあと5分程で出発します、と言う。そのままチケットを買い、バス乗り場へと急ぐ。

そのバスはスクールバスを改造したもので、地元の人たちで満席だった。定刻より5分遅れで出発をしてからも、いろいろな所で停車をしながら、地元に人を乗せたり、降ろしたりしながら進む。

ホンジュラスに広がるバナナ農園を、19世紀末に進出してきた米国資本のフルーツ会社が管理運営しているそうで、バナナを運搬するためにインフラを整えたという。ホンジュラスの社会資本の基礎は米国の数社が築いたともいえるらしい。

そんな話が思い浮かぶほど、バスが通る幹線道路は、どこか米国の郊外と似た雰囲気で、大型チェーン店が大きな看板をたてている。ピザハットもバーガーキングもKFCもウェンディーズも、ある。コカコーラ社とペプシ社はこの辺りでは拮抗している。

雨が降ったりやんだりしながら、バスはトラックとバイクの事故のそばを通りつつ、ぴょこぴょこと道を飛び跳ねながら、進んでいく。

バスには様々な物売りの人たちが乗り込んできて、熱心に精神世界の話をしてアクセサリーを販売している美しい女性もいて、それを購入する、髪の毛をがっちりと固めたお兄さんも、いる。

トルヒーリョに近づくと、そこに多く住んでいるガリフナ族の人たちが幾人か乗車してくる。

予定到着時刻の16時を過ぎ、うっすらと雲が赤くそまり、延々と続く椰子の木と、土の色にそまった濁流を包んでいく。

そうしてとっぷりと日が暮れた18時頃、バスはトルヒーリョに到着した。

このスクールバスの旅中で、すっかり体調を崩してしまったので、今日はゆっくりと宿で休むことにする。バスターミナルから市内に向かうタクシーの運転手が教えてくれたMar de Plataという宿に部屋をとる。

近くの商店で林檎とバナナとパパイヤを買って、それを切り分け部屋で食べる。
さて、ゆっくり休もうかと思ったところ、裏手のレストランから爆音クリスマスソングが歌われ始め、辺りの空気をがんがんと響かせる。そこに時折爆竹が重なるように、音を増す。

結局そのクリスマスライブは、真夜中を過ぎても盛り上がり続けた。