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Pura Vidaと動物 – Sierpe / Parque Nacional Corcovado, Costa Rica

今日は、シエルペからコルコバード国立公園へ、JorgeさんのLa Perla Del Sur社が出しているボートに乗って、向かうことにする。

朝食は、昨日スーパーで買っておいた「赤パン」なるパンをほおばる。大きくふかふかとしたパンに、その名のとおり赤い線がいくつかつけられているのだが、この赤色の正体は店の人でも知らない謎の物体である。赤い色からは、何の味もしてこない。

マングローブの生い茂る細い川を通り抜ける。細い木々の根っこが網の目のように張り巡らされている。木には、白に黒と茶色の太い蛇がグネリとかかっている。

深い緑色であった川の色が、徐々に青い色へと変化していき、やがて太平洋のドラケ湾に出る。

日に焼けたボートの運転手は、表情を変えずに、サングラスをかけてただ前をじっと見て、操縦している。

時折他のボートと行き交いながら、1時間半ほどボートは走ると、コルコバード国立公園に到着する。ボートを橋代わりにして、岸から岸へと渡って、降り立つ。

そこでは子どもを抱えたミユビ・ナマケモノが木に座り、すやすやと眠っている。
数匹のクモザルが長い手をだらりとぶら下げ、互いにやりとりをしている。
黒い身体に喉の赤いカンムリシャッケイが木に数羽とまり、首を動かしている。

毒をもつストライプ・ロケットガエルが小さく岩の上に佇んでいる。
茶色の身体に耳の中の赤いアグーチが、せわしなくジャングルの中を走り回る。
トケイソウは、その命を閉じようとしている。

木にとまる鮮やかな赤と黄、青の身体をしたコンゴウインコがモモタマナの実をつつき、
それをぽろぽろと地面に落としている。

ある木は、細い幹から長いとげを出している。
ある木は、その根を長く張り巡らせている。
ある木は、他の木にまとわりついている。

あちらこちらに落ちている椰子の実からはにょきにょきと新たな芽が生えている。
大きな貝からは「海の音」がする。

ガイドをしてくれたフェルナンドくんは、コスタリカ南部の出身であり、小さな頃から野生の動物と遊んでいたのだという。

大学を中退し、スキューバダイビングの学校に入り直したフェルナンドくんの英語は独学で、観光客との会話の中で「耳で覚えた」らしい。

コルコバード国立公園はコスタリカの中でも最後の秘境と呼ばれる場所で、中継地点となるシエルペも、小さな小さな町である。

この辺りにくるのは80%程度がヨーロッパ人だとフェルナンドくんは言った。米国人は、都会的娯楽の少ないこの場所にはなかなか来ない、と言う。

この仕事は友だちの紹介で得たというが、始めてからもう6年。ジャングルでは目だけではなく、音を聞いて動物を見つけだしたりするのだという。

黒い鳥がまっすぐに列を成して飛んでいく。
フェルナンドくんはそれを指し、「コスタリカの空軍だよ」という。コスタリカは永世非武装中立を宣言しているのである。

お昼はサン・ペドリージョのレンジャーステーションで海を眺めながらいただく。炒めご飯と、チーズやハム、レタスやトマト、きゅうりのサンドイッチとパイナップル、西瓜にクッキーという品揃えだ。

長いくちばしをもったカッショクペリカンが岩に立ち、海のほうを眺めている。
わたしたちはハンモックに身体をゆだねる。

再びボートに乗り込み、シエルペへ帰る途中、無表情だったボートの運転手が、ザトウクジラを海の向こうに見つける。

「遠くのほうにいた」とつぶやいた後、急速にスピードをあげ、ボートを浮かしながら、クジラのほうへと向かう。

クジラは潮をふきあげた。ボートがそれを追う。
太陽の日差しが輝く水面で、クジラが2頭、そのつやつやと黒く光る背中を見せ、そしてすぐさま尾をまっすぐと立てて、水中に潜っていった。

シエルペへ戻る川には、大きな口をもつワニもいた。
黒い身体に黄色の嘴をもつオオハシは木の上で目を見開いている。

夜はまたレストラン・ラスベガスで、海老と米を炒めたArroz con Camaronにサラダとポテトフライのセットを注文する。地元の男性を真似て、Rock Iceビールを氷のグラスに入れて飲む。爽やかな飲み口が、コロナのそれと似ている。

最後に、サービスだとケーキを出してくれた。
Jorgeさんの小さな驚きサービス術が、ここにも展開されている。

カウンターでビールを飲んでいたフェルナンドくんは最後に、Pura Vidaと言って、その親指をたてた。