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「ハードな道のりで、雨季である時期には甚大な遅延が生じる可能性がある」バス – Lima to Cuzco, Peru

朝の4時ころに目を覚まし、暗闇のバスの鞄からAcetazolamidaの薬を取り出し、1錠を口に放りこむ。

そのまま再び眠りにつき、6時半ころ目を覚ましたときには、時計の標高は既に4300mあたりをさしている。頭が重く、呼吸も心なしか苦しい。前の座席の赤ちゃんは、泣き続ける。

窓の外は冷たく、結露をしている。厚い雲が覆う荒涼とした大地にゆるやかな丘が広がり、土の上にうっすらと雪がかかっている。ところどころに水の溜まる場所があり、ひんやりとした静かな朝だ。

そこからバスは徐々に高度を上げていき、時計は4500m辺りを示していく。
この冷えきった大地にもそのうちに家が1軒、2軒とたたずみ、足の白く細い茶色の動物たちが雪の上を歩いていく。

しばらくその高度を保ちながらバスが走っていくと、屋根に雪をかぶった集落もあり、人々が歩いているのが見える。

薬の副作用だと思われる、手足の先にぴりぴりとした痺れを感じる。身体が重く、1階にあるお手洗いへ行くための足取りも、たどたどしい。

バスはやがて高度を少し下げていき、日も明るくなってきた1時間半後には、緑の山に囲まれた川沿いの道を進んでいく。古い煉瓦づくりの家の屋根にももう雪はない。

3100mほどまで下ってきたところで、朝食が配られる。チーズのはさまったパンに、アップルとレーズンのパイ、そして砂糖の入ったコーヒーを、山沿いに走る揺れるバスの中で、器用な添乗員の女性がやはり無表情で配っていく。

川が増水して茶色く濁った水が道を浸していることがあるも、バスはがしがしとすすんでいく。

Chalhuancaのターミナルで一度休憩をとる。バスの外は、さして寒くない。そしてバスはまたクスコへと向かっていく。

昼ごろには、坂道に家々が建ち並ぶ大きな町、アバンカイを過ぎ、昼食が配られる。「爆丸 BAKUGAN」とキャラクターの書かれた桃のジュースのパックに、バナナチップ、ミルクのシリアルバー、そしてソフトキャンディーのセットである。二度目の薬を、半分にして、口にする。

道のわきにはサボテンが見られ、濁流に沿ってバスは走り、川を渡って走り続ける。緑の山の向こうには、草も生えない茶色く険しい岩山が雪をのせている。

そのうちに牛が草をはみ、とうもろこしや黄色いカブの花が広がる景色へと変わっていく。

テレビ画面には『ハチ公物語』の米国リメイク作品、”Hachiko:A Dog’s Story”が流れ、リチャード・ギアがスペイン語でハチに話しかけている。最後、ほろり、である。ペルー人乗客もくぎづけだ。

感動に包まれたバスは、やがて山の先に広がるクスコの町に突然行き当たり、徐々に町へと降りて行き、17:45にはクスコのターミナルに停車する。

こうしてバスは、リマ発アバンカイ経由クスコ行きという「ハードな道のりで、雨季である時期には甚大な遅延が生じる可能性がある」というふれこみにもめげず、障害物に停車することもなく、バスは予定の15時半到着を2時間ほど遅れる程度で到着する。

ターミナルには幾人かの宿の客引きがおり、その中で紹介された宿、Hospedaje “Emanuel”にタクシーに乗って向かう。

標高3399mほどのクスコで、やや頭が重く、手の先は痺れたままだ。

先生からもらった薬Acetazolamidaも切らしてしまったので、サンフランシスコ広場に面した薬局に行って高山病の薬を買い求める。宿の人も薬局の人も良いと勧めていたSorojchiを今回は購入して試してみることにする。

夕食は、宿からほど近いレストラン、Don Pimientoで、夕食セットをオーダーする。麺や野菜の入ったチキンスープに、細切りにした牛肉をトマトや玉ねぎ、ピーマンやフライドポテトと炒めたペルーを代表する料理の一つ、ロモ・サルタード、デザートに小麦粉のMazamorra、そして、ドリンクは高山病に効くと聞いたコカ茶を注文する。

すっかり満腹になってしまった。