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チェ・ゲバラの足元で。 – Santa Clara, Cuba

キューバでは大みそかを重視していて、ハバナのような大都市ではイベントごとが行われるが、トリニダーは小さな街なので、多くは家族で過ごすという。人々が集まり、豚を焼いたり、さまざまな家庭料理を作ったりして、ビールやラム、ワインなどを飲み明かすので、お正月にはすっかりぐったりしているのだとNeryさんは、いつもの通りにウインクをしながら話す。

だから大みそかに家に戻ってきなさい。Neryさんはそう言いながら、朝早く家を出るわたしたちを見送ってくれた。少し涼しいトリニダーはNeryさんにとってはずいぶんと寒そうで、寒い寒いと言っていた。

トリニダーでは、街ですれ違う人々や家から道を眺めている人々に呼び止められ、石鹸、シャンプーやボディクリーム、子どものための洋服やペン、お金をよく欲された。石鹸は、ここでは大変な人気者だ。

Viazulのバスは、FulioさんとNeryさんの住むトリニダーを離れる。バスターミナルにはチェ・ゲバラの写真が数多く貼られ、チケット窓口にはREVOLUCION:UNIDADと書かれたカストロのポスターが貼られている。

朝の7時に出たバスは2時間半ほどでサンタ・クララに到着した。ここにはチェ・ゲバラ霊廟がある。バスターミナル近くにあった小さな店でハムとチーズをはさんだパンを買ってほおばり、キューバの絶妙客引き連携プレーの結果、Elioさんの運転する馬車に乗って、霊廟に連れて行ってもらうことにする。

馬の名前はLuceroくん。Elioさんには息子と娘が一人ずついるのだといい、知り合いの家を通過するときに子どものためだとミルクを買う。

霊廟には「HASTA LA VICTORIA SIEMPRE(常に勝利に向かって)」と書かれた台座の上に66m以上の大きなチェ・ゲバラ像が立っている。その像を前にして、わたしたちはこれからのことを決めて、ノートに綴る。

チェ・ゲバラ像の足元には博物館もあり、ゲバラが使ったパイプやベレー帽、洋服、ピストル、医者としての医療機器、辞書やラジオに加え、手紙や写真も展示されている。その中に1959年に日本を訪ねたチェ・ゲバラが耕うん機を使っている写真もある。

チェ・ゲバラの遺骨は、チェと書かれた石の中におさめられ、同様にボリビアでのボリビア政府軍との戦いで亡くなった38人の顔がそれぞれ彫られている。

そして、1958年にチェ・ゲバラ率いる革命軍がバティスタ政権の装甲車を襲撃して武器を奪取したトレン・ブリンダード記念碑も訪れ、サンタ・クララの市内に戻る。

街の中心には「アシスのサンタ・クララ」という教会があり、アシスのサンタ・クララ像やサン・ホセ像、キューバの守護神であるコブレの聖母に囲まれて、十字架にはりつけられたキリスト像がある。教会内にあまり人はいない。

サンタ・クララは、明るく清潔なイメージの町であった。街には、馬車とBICI TAXIという自転車タクシーと自動車が同等に走っている。

グアバの羊羹のようなものをパンにのせたものとチーズののったピザを食べた後、広場に面した図書館に入ってのんびりとする。扉も窓も大きく開け放たれた館内は風がよく通り、涼しく、オープンだ。チェ・ゲバラに関する書籍もあり、古い本に囲まれながら、街の人々もときに雑談をしながら、それでも静かに本を読んでいる。

街の中心からViazulのターミナルまで40分ほど歩く。途中、川のほとりには掘立小屋が並んでいる。

青い壁面には、先住民族から選出された初のメキシコ大統領であり、メキシコで最も尊敬されているベニート・フアレスの「El Respeto al Drecho Ajeno es la Paz(他者の権利の尊重こそが平和である) 」という言葉を引用し、戦争とテロに反対する漫画が壁いっぱいに描かれている。

米軍が銃をもち、ベトナムやユーゴスラビア、アフガニスタン、イラク、リビアを走る絵などが描かれ風刺されている。バスターミナルの向かいにもチェ・ゲバラの像と「プロパガンダ サンタクララ市」と看板の掲げられた支社もある。

こんなキューバ色の強い街を18時頃に発ったバスは、3時間程で、キューバのリゾート地バラデロに到着をする。高級ホテルの多いこの町には客引きも一人しかおらず、その客引きおじちゃんのお世話になり、Marlenさん一家の台所つきカサ・パルティクラルに泊まらせてもらうことにする。

夜遅い時間に向かったレストランは既に飲み物だけしか提供していないところが多いものの、カルチャーセンターLos Coralesは地元の歌手らしき人たちが小さな舞台に次々とあがり、地域の人たちで溢れかえっている。

食事はないが、歌は、ある。
こうして、メキシコでアドバイスをもらってスーパーで買ってきておいたMARUCHANえびカップラーメンが待望の登場となるのである。