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ポルトベーロという誰もが入れる世界遺産のある町 - Portobelo, Panama

ポルトベーロは、スペインと新大陸を結ぶ重要な港として発展を遂げた町である。多くの奴隷もアフリカ大陸から連れて来られたため、この町に住む多くの人々の肌の色は、パナマシティの人々より相対的に濃い色をしている。

明日にはボートに乗り込んでコロンビアに向けて発つので、今日はこの港町を歩くことにする。朝から宿のオーナー、キャプテンジャックは、バーの片隅で無線を使って船の船長たちとやりとりをしている。

Cristo Negro(黒いキリスト)という名のレストランで、ローストチキンとバナナフライを食べる。町には野良犬がのそのそと歩いており、テラスで食事をしていると、物欲しげな犬たちが次々と集まり、4匹程に囲まれる。

店の向かいには、サンフェリペ教会があり、黒いキリスト像が血を流しながらその左肩に大きな十字架を担いでいる。

この町は海賊の攻撃に備えた要塞があり、サンティアゴ要塞とサン・ヘロニモ要塞は世界遺産にも登録されている。

サン・ヘロニモ要塞の城壁には大砲が並び、階段を下がった場所には天井に小さな穴の開いた、かつての監獄跡も残されている。

要塞前に広がるポルトベーロ湾は遠浅で、沖のほうで子どもたちはばしゃばしゃと水遊びをし、傾いたボートが浮かんでいる。

誰もが入れるその世界遺産のすぐそばには家々が並び、ここにもClaro社のまんまるテレビアンテナが屋根にぽつりぽつりと赤い円を描いている。ボートが並べられた川には小さな魚とごみが淀んでいるが、子どもたちは気にせずに川に入っていく。

17,18世紀に建てられた税関跡をのぞいた後、コカコーラ社のKistという炭酸オレンジジュースを飲みながら、サンティアゴ要塞まで海沿いの道を歩く。

サンティアゴ要塞もまた誰しもが入ることのできる世界遺産であり、多くの人々がのんびりとしている。近くには大音量を放つ車が停まり、人々は岸に腰かけてそれを聞いている。

Santiago de la Gloria城の跡地は既に緑が生えて丘のようになっている。階段を上がり、要塞やポルトベーロの町とポルトベーロ湾を見渡す。奴隷売買や財宝運搬場所の跡地近くではソフトボールの試合を終えた人々がビール瓶を片手に集まっている。

宿に戻って明日から生活を共にするフランク船長とシェフのクラウディアさん、船乗員5人と挨拶をする。船長とシェフはドイツ人であり、身体の大きな海の似合う船長からは、明日の朝から4時間おきに酔い止めを飲むよう指示を受ける。

ぼくも船に乗ってから最初の3,4日は酔い止めを飲むんだ、クラウディアは飲んだことないんだけどね、と真面目な顔をして言う。

宿に泊まっているパナマシティ在住の女性に話しかけられる。明日の祝日殉教者の日と合わせてポルトベーロに休暇に来たのだという。1989年の米国によるパナマ侵攻の際には彼女は大学生だったが、多くの人々の生活が困窮したという。そんな彼女も今はテレコミュニケーション企業で働いている。キューバやベネズエラのチャベス大統領に対する批判を口にした。

夜の9時頃に食事をしに外に出ると、町の数軒のレストランはほとんど閉まっていたので、昼と同じレストランで、牛肉のステーキとキャッサバという芋、チーズ、肉、レタスとトマトをはさんだハンバーガーをオーダーする。ビールは近くの商店で買ってきたSoberanaビールを飲む。軽いビールだ。

町の商店のほとんどは中華系の人々が商いをしている。
こうして中米での日々が終わりに近づこうとしている。