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ひっそりと賑やかなキト – Quito, Ecuador

朝のキトは晴れていて、日曜昼の旧市街は多くの人々で賑わい、教会ではミサが行われている。

旧市街にある宿からほど近いサン・フランシスコ広場では集まる人々の頭上を鳥が飛んでいく。サン・フランシスコ教会は、スペインによる征服後まもない1530年代から70年ほどかけて建てられた教会で、中はきらびやかに装飾され、数々の像が祭壇に置かれている。茶色い服装をした聖職者たちが教会の周りを歩いている。

そこから1ブロック歩いた角にはメルセー教会があり、真っ白な塔には、イギリス製の時計がそなえつけられ、内部はまた金箔塗りの木彫刻に、天井はオレンジと白の装飾がほどこされている。

そこからグランデ広場を抜けて、Plaza del teatro駅に行き、トロリーバスに乗る。

キトは世界遺産登録第一号の町であり、旧市街と新市街に分かれている。それを貫くようにトロリーバスやメトロバス、エコビアバスなどが走っている。切符を窓口で買い、改札口を通って、駅に入る、さながら電車のようである。

だいたいにおいて大層混んでいるトロリーバスはこの日も例外ではなく、ぎゅうぎゅうと多くの人が乗っている。

日曜市の開かれているエル・エヒド公園で降りる。公園では、踊る若者がいて、家族が憩い、子どもたちが遊んでいる。小道に沿って露天が並び、民族衣装や手工芸品が売られている。公園中央に煙をたてている串焼き屋さんから、チョリソとじゃがいも、バナナの刺さった串、ピンチョを買い、少し湿った芝生に座って、ほおばる。串は炭で焼かれていて香ばしい。

公園前には、地元の作家による絵の展示があり、宗教画から風刺画、風景画など様々である。

日本大使館の入ったビルもほど近い。そこからマリスカル・スクレの一角は「短距離でもタクシーに乗るべき」と言われる、なにやら物騒らしい一角があるのだが、そのすぐそばに比較的治安の良い宿やレストランの集まる新市街エリアがある。

途中に先住民族のマーケット「La Marisca」がある。このマーケットは建物内にそれぞれ仕切りがひかれている。山積みにされた洋服や敷き詰められた小物、ドラえもんが描かれた楽器、どの店もオタバロよりも手狭で、商品の山の中で、商売が行われている。

立派なロシア大使館やホステルを通り、いよいよ新市街の中心にたどり着くものの、旧市街の賑やかさと反して、新市街の日曜日の昼間はぴたりと店のシャッターが閉まっている。その中でも営業をしていたカフェ、The Magic Beanに入り、苺と、「木のトマト」という名の果物Tomate de Arbolのミルクシェイクをオーダーする。カフェではサッカーやゴルフの試合が流れ、あたたかな暖炉がたかれ、店内はスペイン語ではなく、英語が聞こえてくる。

店を出る夕暮れ時には周辺の店も開き始め、ようやく活気にあふれてきた。SUBWAYやらバーやレストランがネオンをつけて旅行客でにぎわっている。この辺りで夜も開いている店というのはたいていハンバーガーといったファストフードやバーといった具合になる。日本料理店もあるが、閉まっている。

エクアドル料理がいただけるというレストランMama Clorindaで、Seco de chivoをオーダーする。玉葱とにんにく、こしょうとトマトやハーブ、スパイスで煮込んだエクアドルの山羊肉にライスやアボガドのサラダがそえられている。日曜日は法律上アルコール販売が禁止されているとのことで、ドリンクはお勧めをされた、主にとうもろこしでできたChicha de Morochoをいただく。

キトで夜に営業しているエクアドル料理店となると、外国人観光客がメインターゲットとなる洗練された店に限られる。この店もその通り、ウェイターも早口の英語をしゃべる。ハープの演奏をかなでるおじさんも、そそくさとお小遣いを稼いでひっこんでいく。

夕食を終えて外に出る。ホテルがあちらこちらに見られるエリアを抜けると、途端にひっそりとして人気がなくなる。やや前のめりで最寄りのバス駅であるManuela Canizales駅に行ったもののちょうど最終バスが出てしまうところで、隣のGalo Plaza駅ならまだあると聞いて、再び前のめりで隣駅まで歩いていく。

ぽつりとたたずむGalo Plaza駅にはマフラーを口までもってきている駅員男性が二名がいるのみである。乗り換え駅のSimon Bolivar駅でわたしたちが降りると、がらがらりと駅の出口は閉められた。どうやら最終バスだったようだ。

近くのAlameda駅までアラメダ公園を突き抜け向うも、ここもやはり人がいなくて、しんとしている。それでもそのうちにトロリーバスがやってきたので、宿から最寄りのサント・ドミンゴ駅まで向かう。

昼には人々が集まっていた広場も静まり返り、橙色のライトをつけた家の2階にお決まりのようにキトの旗がかかげられているのみだ。