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コロンビアの本気。 – Medellin, Colombia

メデジンは、パブロ・エスコバルにより創立されて主に1970年、80年代を通して活動していたたメデジン・カルテルという麻薬犯罪組織でその名を知られており、治安の悪さで名高い町であった。ところが、彼の死も影響し、かつてより現在はずいぶんと安全な町になっている。

朝はexitoで買っておいたココナツの入ったグラノーラにミルク、パパイヤとコーヒーを食べる。

メデジンには、コロンビア唯一のメトロが走っており、ケーブルカーにも乗ることができる。Poblado駅から、ケーブルカーの始発駅、Acevedo駅へ向かう。メトロは濁った川沿いに走り、川にはところどころゴミが山積みになっている。小さなボートが沈んでおり、男性が腰までつかって、それを動かそうとしている。川に崩れ落ちるような家もある。

メトロでは一枚一枚切符を購入して乗車することもできれば、割引特典のあるカード、Civicaを使って乗車することもできる。カードはSan Antonio駅の窓口で購入できるが、長い列ができている。

Acevedo駅からSanto Domingo駅までのケーブルカーK線に乗って、Parque Biblioteca Espaniaという図書館まで向かうことにする。メデジンのいくつかある図書館は、建築面からも注目されているのである。

茶色い煉瓦づくりの家々やモノクロの大きな写真が屋根に貼られている家々を眺めながら、ケーブルカーは上がっていく。

同じ車両に座ったNancyさんは、San Antonio駅からさらにバスでいったところに住んでいて、今日はケーブルカーのPopular駅に住む家族に会いに来たのだという。日本人は頭が良いと繰り返した。

約15分ほどでSanto Domingo駅に到着する。Giancarlo Mazzanti氏設計の、巨大な黒いParque Biblioteca Espaniaは、木々の緑と煉瓦造りの家々の茶色の間で異様な存在感を保っている。

この丘の上のほうはかつて治安がとても悪かったという。バスや5年ほど前にできたこのケーブルカーが走っていなかったころ、丘の上から下に下がるのは大変困難だったのである。だから丘の上に上がってきた者を襲うしか生きる術がなかったのだという。

丘の上まで上がってくる人は住人以外ほとんどいなかったが、このケーブルカーにより、丘の上に住む人々も容易に下ることができ、治安がずいぶんと改善されたのだという。

それでも、閑静な住宅の並ぶPoblado駅と比べると、この辺りはどこか殺伐とした雰囲気をかすかに残している。

そんな中でも制服を着た子どもたちは遊び回り、デザインしつくされた図書館が丘の上に建ち、明るくさわやかな空気を室内に取り込んでいる。

建物は、Biblioteca、Formacion、Auditorioに分かれ、書籍が閲覧できるだけでなく、インターネット接続のコンピュータが並び、写真などの質の高い展示も行われている。

じゃがいもとひき肉を揚げたボールと、ライスとひき肉の入ったエンパナーダを屋台で買い、再びケーブルカーに乗って、更に山の上に位置するArvi公園と向かう。

ボストン在住のコロンビア人4人組と同じ車両になった。Parque Biblioteca Espaniaはスペインからの寄付金により賄われたこと、その建築とケーブルカーの設置により辺りの治安が改善したと言った。

Arvi公園の駅まで約20分、強い雨が降り始めた。煉瓦づくりの家々が、資材をつぎはぎして作られた家にかわり、その内に、辺りは木々に囲まれる。森は霧でおおわれ、小道は泥道となり、黒いビニール袋をかぶった男性が馬に乗り、森に入っていく。

Santo Domingo駅に戻ってからは、町の中心地であるBerrio公園までバスに乗ることにする。

ケーブルカーではまっすぐに下っていくところはをバスは丘に沿ってぐねりぐねりと曲線を描いてゆっくりと下っていく。道に沿って並ぶ小さな商店をながめながら、20分ほどで丘を下り、30分ほどで町の中心にたどり着く。

Berrio公園にはグレーと褐色の格子模様のPalacio de la Cultura Rafael Uribe Uribeがあり、またメデジン生まれの画家・彫刻家フェルナンド・ボテロの23ものふっくらとしたブロンズ像が雨に打たれている。

ここPalacio de la Cultura Rafael Uribe Uribeの館内では、歴史ある建物や重々しい金庫などが見られると同時に、現代アートの展示も見ることができる。去り際に、呼び止められ、建物が描かれたポスターを差し出された。

町のメイン通りは、メデジンの中心地らしく、雨でも人々で賑わっている。その喧噪のなかに佇むベラクルス教会では、17時から静かにミサが始まった。

Palacio Nacionalを改装したモール、Centro Comercial Placionacionalでは、人々がバルセロナ対リアル・マドリードの試合画面に集まり、一喜一憂している。JAPON(日本)と大きく建物に書かれたモールでは、偽ブランドものから電気製品、雑貨小物類やフィギュアまで所狭しと並んでいる。

その雑多な通りを抜けると、ただ一本の道を挟んで建築物としても著名な図書館、Biblioteca EPMが凛と建てられている。

そこから、光の公園であるCisnero広場、そして東側のLibertad広場や政府機関の建物を中心にPlaza Mayorまで広がる一区画は、デザイン建築が立ち並び、くらくらとするほどだ。UNICEFも、WWFもそこにがんがんと広告を打ち出す。

一つの建築物に驚いては、視界に別の驚く建築物が見えてくるといった具合だ。
そしてその向こうの丘には昔ながらの橙色の灯りがちりばめられ、教会も見える。

コロンビア人の、コロンビア政府の、メデジン政府の本気が、ここにある。

その強気の建築物に圧倒されて心を奪われると同時に、かつてそこに存在していたはずの小さな家々やそこに住んでいた人々を、思い浮かべる。

すっかりふらふらさせられていると、テレビ局で働いているという機材を抱えた男性が、ダウンタウンを歩くときは持ち物に気をつけなさいとアドバイスをくれる。

帰りがけに、レストラン、メトロ・サボールでBandeja con polloをオーダーし、近くの店からAguilaビールを買っていただくことにする。この辺りでよく食べられているセット料理で、目玉焼き、フリホーレスにライス、フライドポテト、薄切りバナナ揚げにサラダのセット、それにチキンである。

メデジンは、その本気に後押しされて、今後も変わり続けるのだろう。

■IDEA
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■Alcaldia de Medellin
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■epm
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