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キトを眺めて、歩く。 – Quito, Ecuador

キトのいくつもの場所から、パネシージョの丘の上にたつマリア像を見ることができる。

今日は、そのパネシージョの丘の上に向かうことにする。人通りも少なく、強盗が出ることもあると聞いていたので、タクシーに乗って向かう。土曜日夜にはあれほど賑わっていたRonda通りも昼は静かなものだ。

高くそびえたつマリア像の足元まで上ることもできる。露天でカップケーキを買って、マリア像の足元まで階段をあがっていく。内部では、マリア像に手や頭部を足していった当時の白黒写真などが展示されている。

そこからは、キトの町を見渡すことができる。サン・フランシスコ広場やサント・ドミンゴ広場、高くそびえるBasilica教会にまっすぐと伸びる道。淡い黄色やオレンジ、青色の、四角い家が立ち並び、同じ色の家々は、寄せ合うように集まっている地域もある。比較的観光スポットの多い北側だけでなく、南側にもずうっと家々が広がっている。中には昨日見たような新興住宅地もある。

丘の上では羊もいれば、花を摘む女性もいる。今朝は曇っていて、火山の山々をみることは叶わなかったが、晴れていれば5,790mのCayambe山や5,897mのCotopaxi山を望むことができる。

丘まで送ってもらったタクシーの運転手は、かつてはこのあたりの治安も悪かったが、今は歩いて市内と行き来しても問題ないと言う。昨日Museo Solar Inti-Nanで知り合った米国人男性とも偶然再会し、彼もまた歩いてここへ来たというので、帰りは気をつけながら、歩いて丘を下ることにする。

町へ向かう階段をそそくさと下がっていく。途中、階段を新しくする工事が行われ、何人もの男性が黄色のヘルメットをかぶって埃まみれになりながら作業をしている。

「この辺りは危ないから気をつけていきなさいね。」

お礼を言って、またそそくさと階段を下る。裕福とはいえない家々が立ち並ぶが、途中には学校もあり、子どもたちが遊びまわり、家の台所では女性が料理をしていて、共同洗濯所では人々が服を洗い、服を背中の籠に入れて担いでいく。

通りすがりのまだ小学生であろう男の子が階段を上がっていく途中、わたしたちに「この辺りは強盗も出るから気をつけてね。」と声をかけていく。

アドバイスに従って、気をつけながら、てくてくと階段を下がること20分、警察も町のあちらこちらにいる平地に戻ってきた。町は明るく、制服を着た女の子や男の子が友だちと楽しげに歩いて行く。

昼食は、Mejia通りにあるレストラン、Frutas Picadasでチョクロ・コン・ケソを食べる。ごろりとしたじゃがいもとアボガドの入った、チーズがたっぷりのスープである。ファーストフード風の店内では、商談をしているのか、スーツを着た男性が6人ほどテーブルについている。

グランデ広場のカテドラル横にあるEl Sagrario教会を拝見する。17世紀に建てられた教会は祭壇に金、内装に鮮やかな水色の装飾をあしらっている。

そこから近い、7トンもの金を使ってメッキし、1605年から163年もの年月をかけて建てられたLa Compania de Jesusを訪ねる。祭壇から天井、後部に至るまで細緻な装飾のほどこされた金の壁面は、内部に入ると、そのずっしりとした金の重さを感じる。更に後方には1,104ものパイプからなるオルガンが備えつけられている。

そこからグランデ広場に行き、エクアドルを独立へと導いたという英雄ホセ・スクレ将軍の家を見て回る。休憩をしに1858年創業の有名店、Heladeria San Agustinに入り、アイスクリームをつまむ。落ち着いた店内で売られる伝統あるその味は、シンプルな味でしゃりしゃりとしている。そこで隣のアイスクリーム屋に入り、チョコチップといったやや凝ったつくりのアイスクリームも食べてみる。

道ばたの露天で売られていたチョコクッキーを買ってかじりながら、キト散歩を続けることにする。

扉の閉じられたサン・オーグスティン教会の前を通って坂を下ったところにテアトロ広場があり、そこではライブが行われている。

広場に面したスクレ劇場では”Ecuador tiene talento”と題したオーディションが行われていて、3人の審査員がスーツや背中の開いたドレスを着て座っている。3歳から42歳がギターやバイオリン、チェロやドラム、ピアニカなどを演奏する。それぞれの親も観客席に座っていて、中には民族衣装を着た親もいる。ばらばらの、でも必死の演奏を、それぞれの家族がじっと聴いている。演奏が終われば、大きな歓声があがる。

更に北へ進んだところで旧市街が新市街へと切り替わる、その合間にサン・ブラス教会がある。18時半、徐々に空が暗くなり街の灯がつき始めるころ、人々はその教会に集まっていく。

そこから坂を上がったところに、街かどからも度々見え、パネシージョの丘の上からもひときわ目立って見えたBasilica教会に向かう。12時25分と10時45分という二つの異なる時間をさした時計台の上には、半分になった月が浮かんでいる。

高台に位置するBasilica教会から一度坂を下がって、またパネシージョの丘に向かって上がっていくGarcia Moreno通りを歩いていく。石畳の小道には橙色の灯が点々とつき、教会は白くライトアップされている。一度坂を下がりきったところからまた上がった先にあるパネシージョの丘の上で、マリア像は光を放っている。

La Compania de Jesusの前で緑やピンク、青や黄色といった色鮮やかな民族衣装を着た女性たちがろうそくを持って円を描き、その周りにぴしりとスーツを着てマフラーを巻いた男性や、着飾ったドレスを着た女性がいる。

女性たちが一列を成してサン・フランシスコ広場へと歩いていくうちに、子どもたちも衣装を着てろうそくを持って列をつくり、加えて、羽を頭に乗せて網で顔を隠し鮮やかな布を前後にはりつけた人々や、紫色の布に目だけを出してとんがり帽子を被った人々、茶色の修道女ふうの女性たちが続いて歩き、音楽に合わせて踊り出す。

どうやらJacchiguaという国立バレー団300名が、Museo Ciudadでショーを行う前置きに、セマナ・サンタ(聖週間)を模して町を練り歩いていたのだという。スーツやドレスを着ていた人々は、キト市から招待された人々だったという。

ちょうど近くにRonda通りがあったので、夕食をとることにする。レストラン、Las Autenticas Empanadas de morochoに入り、専門メニューであるEmpanada de morochoとPilsenerビールをオーダーする。

Empanada de morochoとは、ひき肉、お米やみどり豆、セロリにコリアンダー、バジルやにんにくを、とうもろこしでつくった皮で包んで揚げたもので、ぴりりと辛いクリームソースをつけていただく。さくっとした皮に中はほくほくとしていて、ビールとよく合う。Ronda通りがキトに出現して約4年、この店は既にに開業3年目だという。

それから、数軒隣のレストランで小麦粉でできた揚げパンにチーズの入れて砂糖をふった、巨大Empanada con quesoをオーダーする。すっかりと冷えているので、ドリンクに温かな木いちごのCanelazoをいただくことにする。

昼間に静かだったRonda通りは平日は夜まで静かなままであった。