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ふたつの赤道 - Mitad del Mundo / Quito, Ecuador

オタバロからキトに来るバスの中で、赤道を通ってきていた。そこには、キトの北22kmに位置するオフィシャル赤道モニュメントと、少しずれたホントウの赤道があるというので、訪ねてみることにする。赤道という名のイメージに反して、この辺りは標高が高く、朝晩は特に冷え込んでいる。

屋台からバナナ・チップを買ってサント・ドミンゴ駅からトロリーバスに乗り、それをつまみながら乗り換え駅であるEstacion La “Y”に向かう。

メトロバスのLa “Y”駅に乗り換える道の途中、La Estacion de los Motesというレストラン前で男性たちがつまんでいたMote con fritadaがなにやらおいしそうなのでのぞき込むと、男性たちもおいしいから食べなさいというので、倣ってそれをいただくことにする。

このMote con fritadaとは、Moteという白くて大きいコーン、Chocloというとうもろこし、ローストされたとうもろこし、そしてアボガド、バナナフライ(maduro)、豚肉揚げにたまねぎ、じゃがいもが白い容器にボリュームたっぷりに盛られ、それにチリソースをかけていただくのである。

La “Y”駅からバスに乗って30分ほどでEstacion Ofelia駅に到着し、再び赤道行きバスバスに乗り換える。霧のかかった山々が連なり、そして数多くの新興住宅地が同じ形をして並んでいる中を走ること約30分で赤道モニュメントに到着する。

1979年から1982年にかけて作られた高さ30m、上に直径4.5mの球が乗っかったこのたいそう立派な赤道のモニュメント、どうやら後にGPSで計測したらホントウの赤道と240mずれていたのだという。

立派なオフィシャル赤道モニュメントは、東から西へとまっすぐな線が引かれ、看板には「緯度:0°-0′ -0”」とある。そして観光客はその線にまたいで立ち、手を広げてみせたりする。周辺には立派な銅像がいくつも置かれ、アルパカも数頭放たれている。

モニュメントの脇の砂利道を歩いて入るホントウの赤道には、およそこのモニュメントには及ばない、サボテンやらが植わっている手作り感あふれるMuseo Solar Inti-Nanがある。看板には「緯度:”GPS”で計測された00°-00′ -00”」とある。この博物館というよりは施設が、赤道の他にも興味深いものをみせてくれるのであった。

まずはアマゾン地域周辺でも行われていた首狩りと収縮頭(Tzantza)についての展示である。戦利品として、また宗教儀式用として、そしてまた武器などとの取引上に使用されていた首狩りが、色鮮やかな絵画付きで説明されるのである。

切り取った頭から骸骨だけを抜き出し、煮込んで乾燥させ、こぶしサイズへと縮ませるのである。12歳だったという男の子やナマケモノの小さくなった頭が展示されている。ガイドの女性が、木の箱に入れられた、シャーマンだったという男性の頭を持ち出し、これは特別です、大切にしなければ村の人々に殺されてしまうんです、と冗談めかして言う。

1875年に建てられたという泥と藁でできた家には、かつて使用されていた土器などが置かれ、隅にはモルモットが数匹飼われている。墓の展示もしてあり、旦那が亡くなると奥さんは生き埋めにされたのだそうだ。そして今も裸で暮らしている部族の中で外界との接触があるというWuaorani族の説明もなされる。

赤道には赤い線が引かれ、いくつかの実験道具が置かれている。水の栓を抜けば、そのまま渦をまくことなく下に流れていく実験、卵の黄身が真下にくるので釘の上に立てやすくなる実験、人差し指と親指をとじた手を他人が開きやすくなる実験、手を組んで上向きに押し上げるのを他人が下向きに抑えやすくなる実験などが用意されている。

再びバスに乗り、Estacion Ofelia駅、La “Y”駅経由で市内へと戻る。

キトで夜に外食となると、新市街かRonda通り位しかレストランが開いていないものだから、キトに数店舗あるスーパーマーケット、TIAの閉店間際に入り込み、トマトとアボガド、チーズに合わせてペンネを買い、チーズペンネとサラダを作る。飲み物はあっさりとしたClubビールにする。

夜中をとうに過ぎても、教会からたびたび鐘のなる音が聞こえてくる。