Top > ブログ

軽やか入国と絶妙BGM – Los Angeles to Mexico City

朝は5時に起きてバスに乗り、ターミナルに向かう。
4番ゲートから出発だと書かれたチケットを握りしめ、
ちょうどその前で鞄の準備を整える。

けれど8時の出発予定時刻を20分程過ぎてもバスが来ない。
チケットを確認する男性に尋ねても「まだバスは来ていない。」と答えるばかりだ。
そしてこう付け加える。「メキシコは危ない。絶対に行かないほうが良い。俺は決して行かないよ。」

前日にセブンイレブンで買っておいたカリフォルニアロールをつまみながら、
30分後に再度チケット売り場の女性に尋ねてみて、
ようやく乗る予定であったバスはいつの間にやら
既に出発してしまったことを知ることとなる。
「でも9時にはまたメキシコシティ便が出るから、それに乗りなさい。」

9時頃、規則正しく出発したバスは高速道路に乗り、
「No USA Return」と書かれた看板を通り過ぎると、
13時頃にメキシコとの国境沿いの町、San Ysidroに到着する。

MEXICOと大きく赤い文字で書かれた白いゲートをバスがくぐり、そのうちに
2人の男性がバスにどこからともなく乗り込み、スペイン語を喋りながら、
帽子をかざして、寄付を求めた。

こうして席を立つことなく、軽やかに入国を果たしたバス乗客者一行は、
いつの間にかスペイン語に切り替わった町の看板を眺めながら、
13時半頃にはメキシコの町、ティファナに到着した。

米国からの72時間以内の短期滞在者は審査を必要としないため、
入国は素通りなのだ。
でも、もう米国には戻らないわたしたちにとっては
入国スタンプを押してもらうという重大な任務が待っている。

自ら入国スタンプが欲しいと積極的に求めて尋ね回り、
ようやく小さなイミグレーションのオフィスを見つける。
すべてスペイン語で書かれた申告表にとまどっていると、
入管担当の男性が用紙をぱっととって、残りを記入してくれた。

メキシコシティ行きのバスは17時まで無い、ということだったので、
Carne AsadaのTortasとQuesadillasを食べながら待つ。

バスは17時を30分程遅れてティファナを発つ。
備え付けのテレビからすぐに爆音でラテン風明るい音楽が流れ、
続いてディズニー映画が流れる。

辺りも暗くなり、うとうととしかけた頃にはっと目を覚ますと、
暗闇の中で浮かびだされたテレビが
ハチの飛ぶ様子やアリが食糧を運ぶ様子や弱肉強食ワールドを
爆音のまま流していた。
そこからようやくまた眠りに入る頃にまたはっと目を覚ますと、
今度は軍隊が銃で撃ち合う場面が流れていた。

絶妙な睡眠BGM。

こうしてバスは爆音を放ちながら、
暗闇を前へ前へと進んでいく。

我田引水

スポーツでは、左利きは重要な役割を果たす。
外国で人にものを書いてもらうと、左手で書く人が多い。
外国に左利きの人が多いのかどうかはわからないが、これは右手で書くように指導されることはないということ。
左手で文字を書いても、上手に書ければ、何も問題はない。

問題は、大人が右手で文字を書くように指導することを、当たり前と思っていることだと、僕は思う。