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優しい、オアハカ – Oaxaca, Mexico

バスは6時前にはオアハカに到着した。

メキシコのコーヒー屋Ruta Cafeの温かなコーヒーを飲み、ウォルマートで買っておいた林檎をかじっていると、バスターミナルは朝焼けにおおわれた。

泊まろうと思っていた市内の宿、Don Antonioまでバスと徒歩で向かう。石畳の通り沿いにカラフルな家が並んでいて、通りいっぱいにタクシーが並んでいる。いったい、どうやって動かすのだろう。運転手同士でおしゃべりをしていて、わたしたちにもおはよう、と次々と挨拶をしてくれる。

メキシコ・シティには大都会らしい荒っぽさがあったが、
ここは穏やかな街だった。

Don Antonioで知り合うことのできた世界一周をしているご夫婦に
お誘いをいただいて、お昼をご一緒することとなった。

宿の近くのJeronimo’s cafeteriaで
ビステク・アラ・メヒカーナというメキシコ風味ステーキを注文する。
Horchataというお米のジュースもついてくる。
味が、洗練されている。

ご夫婦も世界一周予定であるが、
この1年間でメキシコ、グアテマラ、キューバ、カナダと行き、
また今メキシコに戻ってきたのだそうだ。
これから南太平洋の島々を回り、オーストラリアで働いた後、
世界をぐるりと回るのだそう。
自由な、大きな曲線。

オアハカ近郊にはティアンギスと呼ばれる青空市がある。水曜日にはオアハカから北西に20kmほど行ったところにあるビジャ・デ・エトラで市場が開かれているということで、行ってみることにする。

バス停であるコレクティーボ乗り場を町の人に尋ねつつようやく見つけ出してビジャ・デ・エトラにたどり着いた。
早速市場をうろうろとしていると店を広げているお兄さんがピザ生地の上にワカモレとチーズののったものを差し出してくれた。
ワカモレ、もう大丈夫。

お兄さんの前には日本でも見かけるようなバナナに加えて、
黒いバナナや黒紫色のバナナがあり、それを房ごと買っていく人々がいる。
恩返しにと、その黒いバナナを買おうとすると、今度はそれをくれると言う。
黄色いバナナとは種類も違うようで、
色合いから熟されているのかと思っていたら、
逆にまだ少し未熟のような味がした。

市場では、バナナの他にも、じゃがいも、にんじん、にんにく、さやいんげん、ズッキーニなどの野菜、
魚の干物や西瓜などのフルーツ、まんまるとしたパンに加え、
見たことのないミニトマトや分裂しているようなトマトも売られている。

薔薇に、金魚もあれば、雑貨もある。
子どもも店のすぐそばの道端で寝ていれば、
その横をたくさんの犬が行き交っている。

子どもとかくれんぼをしたり、
楽器やバスケやバレーボールの練習をのぞいたりする。

市場の賑わいから一転して
静けさに包まれていた教会では夕暮れの中で一人男性がぼんやりと座っていた。

とっぷりと日が暮れて、辺りは暗くなり始める。
オアハカに戻るバスが1時間に1本程しかないと言われ、
村の人も使っているらしい乗合いタクシーを使うことにする。

オアハカの丘に点在する家の橙色の灯りは
まるで星のように見えてくる。
フォルティンの丘のプラネタリウムに程近いエルミラドルで食事をしに、そこまで坂道を歩いて行く。

上品な服装をまとったおじいさんとおばあさんが、
ときどき触れ合いながら、ゆっくりと坂を登っていく。
ぽつりと灯りのついた店では、家族が賑やかに話をしている。

エルミラドルでは、オアハカ名物のチーズや肉、ソーセージの入った
ボタナ・オアハケーナとビクトリアビールをいただく。
オアハカは、優しい。