Top > ブログ

もにゃもにゃ君とマヤの神。 – Mexico

サンクリストバル・デ・ラスカサスで泊まったTATA INTIという宿のKanhnaaくんは、生粋のマヤ人であることを誇らしげに語ってくれた。

わたしたちは、彼をもにゃもにゃ君と呼ぶことにした。彼はマヤ神話における13神の総称、オシュラフン・ティクを信じ、手首にはマヤ語で「13」を意味する文字が彫られている。

エル・サルバドール、ニカラグアに入るときも「マヤ人」であることが
「話して分かる」ので、入国にビザが不要なのだという。

近頃は生粋のマヤ人でもない人々が、
マヤ人気どりしていることを好ましく思っていないようだ。

マヤ人である彼はTATA INTIに住み、手伝いをしていると同時に
ジャンベを教えて生計をたてている。

ひげもじゃ、ロン毛の見かけによらず、きれい好きな彼が
わたしたちが宿を去る時に、
最高神を意味する「hunab’khu」という意味を
みなの手を使い、教えてくれた。

キムさんのパズルとマヤ人さんの頭の良さ。 – Chichen Itza, Mexico

MeridaのHostel Casa Nicoは、快適そのもののホステルだった。従業員はまじめで、泳げない程度のプールも敷地内にあり、朝食にはトーストやコーンフレーク、ミルクにバナナ、卵が提供される。

世界一周中のキムさんとはルートが似ているのでまた会うかもしれないけれど、しばしのお別れ。徴兵で3年軍隊にいたというキムさんは、荷物の整理がパズルのごとくきちんとしていた。こちらが感心していると「こんなふうになるのは自由じゃないし、不自然だよ。」と言う。そんなキムさんも、1年で終える予定の世界一周計画が遅れに遅れている。頭をなでながら、この遅れは「シリアスな問題だ」とさして困っていない様子で言った。

わたしたちはマヤ文明の200年以上にわたる芸術、宗教、経済の中心地であったチチェン・イツァーを訪ねるために、
Oriente社のバスに3時間弱ゆられる。
窓の外には木の柱をたて、藁ぶきの屋根をのっけた家がところどころに見られる。

遺跡は、6世紀頃のマヤ古典期に属する「旧チチェン・イツァー」と、
トルテカ文化と融合した10世紀以降の後古典期に属する「新チチェン・イツァー」に
大きく分かれている。

古代のマヤ人は、暦によって定期的に遷都を行っていたといい、その驚くほど正確な暦の作りかたが、遺跡の各所にみられる。

天文台であるカラコルは今のそれと形が似ており、窓や台座の位置が月や太陽、惑星の位置を正確に示すように作られている。

そして、大神殿であるエル・カスティージョはマヤの暦を表しているのだという。
四方の階段が91段ずつあり、頂上に1段。つまり、91×4+1=1年の365日となる。
また9層の基壇が中央階段で2分されており、9×2=18。これは1年を18か月で分けていたハアブ暦の月数を表している。ぞぞぞ。

そしてそれぞれの基壇に凹み部分が1面に52ある。
これは農耕に用いられていたハアブ暦(1年365日)と
祭事用のツォルキン暦(1年260日)が重なる52年の周期を示しているのだという。
そのうえ、蛇の頭をしつらえた階段側面は、
春分と秋分に影が羽のようになって表れるのだそう。
ぞぞぞぞぞ。マヤ人さんは頭が良い。

また戦闘部族であったトルテカ人の影響もみられる。
たとえば、生け贄の心臓を置いたというチャック・モール像や生け贄の骸骨を大衆にさらす場所であったという頭蓋骨が多数彫られたツォンパントリなどがそれだ。

豊穣の神に祈りを捧げる宗教儀式として競技が行われた球戯場も残っており、勝ったチームのキャプテンが、斬首され、生け贄として捧げられたというのだから、たまったものじゃない。

ユカタン半島最大の規模であるセノーテでは、
日照りの時期に、若い処女が生け贄として投下され、
その祭壇跡も残っている。
両親はどんな気持ちになるだろう。
誇らしかったのだろうか、それとも娘を失う絶望感にひたっていたのだろうか。

チチェン・イツァーには土産物屋も軒を連ね、木を彫っている店番人や、ひたすら木で作られた頭蓋骨を磨いているおじちゃん、見ざる、聞かざる、言わざるトリオも売られていたりする。

手をたたくとエルカスティージョから「ぴよんぴよん」と反響が返ってくるので、
遺跡は、多くの人が手をたたく音と「ぴよんぴよん」という音が呼応していく。
そして、土産ものとして売られているTambor Maya(マヤ語ではTun kul)という木製の楽器を叩く音が辺りに響き渡っている。

わたしたちはエルカスティージョが作ってくれている大きな影に包まれ、
横にごろんとなる。

Valladolid行きのOriente社最終バスが17時35分に出るというので、それに乗る。
約1時間ほどで到着したValladolidにはツーリストインフォメーションオフィスがあり、
優しい人々がいたおかげで、無事に地図を手に入れ、Hotel Liliに宿をとる。

中心にソカロという広場があり、教会があるため、
とにもかくにもバスターミナルからそこまで歩くとその街の情報を手に入れやすい。

Squimzというレストランに入り、
トルティージャに鶏肉を挟みグリーンソースをかけたEnchiladas Ya-Ax Ligerasと
味のさっぱりしたTecateビールを注文する。

帰りがけに宿のお兄さんに頼まれた食事を買うついでに、
コンビニOXXOでハンバーガーを買って食べてしまう。
ひとつは普通のハンバーガー。もう一つは甘い菓子パンにチーズとハムを挟んだもの。

メキシコにいると、思いのほかハンバーガーやTortaといったサンドイッチ類が多く、
日本的概念からすると、一体どこで栄養をとっているのか
首をかしげてしまう食べ物が多い。
明るく陽気なスナック的食事。
食事っていうものの概念が変わりそう。