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自転車でセノーテを巡る。 – Valladolid, Mexico

地下奥深い水たまりが好きだ。
ひっそり入る感じが、良い。

中南米通の友人が勧めてくれたセノーテに行くためにわたしたちはValladolidまで来たのだった。

「セノーテ (cenote) はユカタン半島の低平な石灰岩地帯に見られる陥没穴に地下水が溜まった天然の井戸、泉のこと。」(ウィキペディア。)

朝から開いている食堂で豚肉の煮込みとオニオンをはさんだTortasを買って、MexiGoというお店のToon Vande Vyvereさんから自転車を借りて、一日セノーテめぐりをすることにした。Toonさんはベルギー人でメキシコ人女性と結婚して店をこの地に開いたのだと言う。
旅をしている人の気持ちを熟知した人だ。メキシコ人は小柄な人も多いからと、小さな自転車も完備。ありがたい。脚が、届きます。

まずはプルーン入りヨーグルトを一気に飲みほして、家族で所有しているセノーテを3か月前から公開したばかりで地図にも載っていないHacienda San Lorenzo Oxmanというセノーテに向かう。

牛がいて、色とりどりの花が咲き、蝶々が飛んでいる。
その光景とは裏腹に、荷台に黒いごみ袋を山積みにし、その上に青いマスクをつけて緑色の帽子と服を着込んだ男性を数名乗っけている大きなトラックが何台も行き来する。ごみ集積所が近いのだろうか。

途中から砂利道になり、よいしょよいしょと進むこと約30分、Hacienda San Lorenzo Oxmanに到着した。密やかな場所を想像していたその場所は、整った門構えに、美しいプールまでついたセノーテであった。礼儀正しい挨拶と誘導によってセノーテまで階段を降りてゆく。深さ67mあるというその場所は、一瞬入ることをためらうほど、色深く、不気味な気さえした。

それでも一度身体を浸すと、その水がいかに透明であるかがすぐに分かる。
脚の先まではっきりと見え、Luという黒い魚が肌をこつこつと叩いてくる。

このセノーテにはロープがぶらさげられ、高い位置からロープにつかまり、セノーテまでジャンプをすることもできる。

まだ知られていないセノーテであるため、わたしたちだけしかいない。遠く頭上にそびえている木の根が、セノーテまでだらりと伸びている。

のんびりと遊んだあと、また自転車に乗り5キロほど先のX KekenとSamulaというDzitnupセノーテに向かう。ここは国が管理しているセノーテだということでライトアップもされていて、多くの人が訪ねている。

この付近は晴れている日に突然大雨が降ることが時々ある。
この日もX Kekenに着いた途端、からりと晴れている最中に雨が降り出した。物売りをしている子どもたちもハンモックに揺られて遊び始める。

セノーテに入り、魚につつかれ、ぽっかり頭上に空いた穴を眺めた後、再び自転車にまたがり、Dzitnup村まで行く。小さな村の小さな教会があり、子どもたちがノートを片手に集まってきて、わたしたちを招き入れてくれた。みな熱心に学んでいる。

こうしてまた自転車にまたがったわたしたちは、牛や馬、ゲームをしている子どもたちや木と藁でできた家のそばを通りながら、4キロ先のChichimila村まで進み、その後、コミュニティで管理されているというX’La kajiというセノーテを見る。

夕焼けが見え始め、ライトのない自転車は危ないので、そそくさと町まで引き返すことにする。車ばかりがときどき横を猛スピードで通り過ぎる。その他は、死んでそのままの形が残された犬が横たわっているばかりだ。

辺りはいよいよ暗くなり、帰路を急ぐ。無事に戻ったValladolidは、11月20日のメキシコ革命記念日を祝う前夜祭でにぎわっていた。町にはViva Mexico 1910-2011というイルミネーションが赤と緑で施されている。デング熱の発症者がいたようで、蚊の殺虫剤がまかれているのだとToonさんが教えてくれた。

わたしたちはToonさんに教えてもらったレストランConatoで、羊、牛肉、タマネギ、チーズに唐辛子の入ったブリトーにライスのついたミックスブリトーにサングリアをオーダーする。ここのブリトーは、外国人の味覚を知るToonさんお勧めらしく、見事なブリトーだった。

こうして満腹になったわたしたちはチュロスをつまみながら、前夜祭を眺め、宿に戻る。
前夜祭は夜遅くまで賑わい続けていた。