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5歳の大きな誕生日会 – Santiago de Cuba, Cuba

立ち寄ったバスターミナルには、チェ・ゲバラの像が壁面に描かれていたりする。水やドリンク、簡単なスナック類を売っている売店もあったりする。

2車線のさほど広くない道をバスは走る。馬車や自転車とともに、走る。バスは、とうもろこし畑、やしの木、十字架のついた石のお墓のそばを通り、窓からは牛を使って畑を耕しているのが見える。

バスは11時過ぎにサンティアゴ・デ・クーバに到着した。ターミナルのお兄さんは「松坂はすごい。日本の野球はすごい」と笑顔を見せてわたしたちを迎えてくれる。

ターミナルを出たところの客引き4組ほどの中からカサ・パルティクラル(個人宅の一部を提供している宿)、NancyさんとEglisさんの家を選ぶ。宿まで乗せてくれた車は、ごつくて恰好の良い車だった。カサ・パルティクラルは、Eglisさん夫妻と、Eglisさんのお母さんであるNancyさんを中心に運営されている。

お昼を食べに街に繰り出す。

どこか良いレストランはないかとPlaza de Marteのある広場に向かったものの、他の国でならあるだろう場所に、レストランが見当たらない。屋台がありそうな場所に、屋台がない。

そこで、広場にいたお兄さんにどこか良い店がないか尋ねると、ロブスターの美味しい店を案内してくれると言った。コックをしている36歳、その名はモリスくん。英語、ロシア語、フランス語、イタリア語、ドイツ語を話すことができ、アフロキューバンの宗教を信仰しているという。いずれ宿、カサ・パルティクラルを開業したいと言った。

以前料理学校で教えていた時は17CUCだった月給は、今は70CUCだと言う。7時45分から23時まで一日おきに働く。27歳の奥さんがいて、前妻との間の16歳の子と、今の奥さんとの間の5歳の子がいる。稼がないといけないんだ、と言った。インターネットは一時間に6CUCほどかかるから、そのお金があるならお酒や煙草に使いたいのだと言う。そして、政府は頼りにならないと声をいくぶんひそめる。

教えてくれたLa Terraza Restaurante Parrilladaではロブスターとバナナの揚げ物、サラダを注文する。ビールはコクのあるBucaneroと軽めのCristal。ロブスターはぷりぷりとしたもので、モリスさんたちキューバ人であってもCUCで支払わなければならず、高価なのだと言う。

モリスさんは一度席を外し、友だちが売っているという葉巻とともに戻ってきた。そして若干の遠慮を見せながら、わたしたちに買って欲しいそぶりを見せた。

丘の上にある、1931~33年にカストロが住んでいた家の近くで海を眺めていたら、ロシアからの単身旅行おじいちゃんと、どこからともなく現れた以前ロシアに住んでいたというキューバ人に話しかけれた。

ロシア人はキューバに入るのにビザが必要ないのだという。ロシアに心を置いたまま昔の白黒写真をもって話を続けるキューバのおじさんは、わたしたちがマイクをもって録音していないかしきりに気にしていた。

ここでは子どもたちもわたしたちに「ペン」がほしいと声をかけ、大人も話の最後に油などといった「食べるのに役立つものがほしい」と言う。美味しい店についてわたしたちが聞けば、その店まで連れて行ってくれ、そして一緒に席につき、ドリンクを奢ってもらうのを待つ。

道端で売られていたfritura de arinaといった揚げ物を1MNで買いながら、道を歩く。さくさくとして甘くておいしい。

宿に着くと、Eglisさん夫妻の5歳の男の子、Yordanくんのバースデーパーティが行われていて、近所の人々が40人ほど家からあふれながらも集まっていた。風船や色紙で装飾された部屋に置かれた大きなテレビに映されるアニメから、大人の聞くようなノリノリ音楽が流れてくる。そして、大人顔負けのセクシーダンスを子どもたちが見せてくれ、そのうちに大人たちも踊り出す。チュクチュク、チュクチュクチュク。Nancyさんも頬を赤らめ、ノリノリだ。

Eglisさんたちが買ってきたという、ディズニーランドの飾りが置かれた水色のクリームで彩られた巨大バースデーケーキも置かれている。バースデーソングが歌われ、カップに入ったアイスクリームが配られ、Ronera la Palmaという強くて甘いお酒がふるまわれた後、切られたバースデーケーキにパスタサラダが配られる。箱には「わたしたちの5歳のYordanの思い出に」と書かれていさえする。ケーキはクリームたっぷりの甘い見かけであるが、クリームよりもスポンジに甘みがしみこんでいるケーキである。

誕生日会の最後には、天井からぶらさげられていた人形の乗った車を、くす玉のごとく開けてプレゼントをばらまき、子どもも大人もそれを取りに行くという仕掛けさえ施されている。大人はその中でも「ペン」を積極的に取りに行く。1歳、5歳、10歳、15歳とこのように盛大にお誕生日をお祝いするそうだが、その一日がこうして過ぎていくのだった。

Eglisさんの腕には、奥さんの名前と愛しているの文字が彫られ、奥さんの腰にはEglisさんの名前が彫られている。