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身体に刻み込まれた国の歴史とリズム – Buenos Aires, Argentina

今日も朝は甘いパンやごまパン、フランスパンにミルクコーヒーを宿でいただく。

用事を済ませに、宿から近いConstitution駅まで歩いていく。駅近くには大衆食堂が並び、客のほとんどを占める男性たちが簡易椅子に座って、もくもくと肉やらサンドイッチを食べている。

駅から地下鉄に乗り、レティーロ駅まで行く。電車には、ぽんぽんとカラフルなボールを器用に投げる少年がいて、投げ終わると、車内に拍手がおきた。少年はその後筒を持ちながらぱぱっと座席を練り歩き、幾人かがその中にコインを入れていく。

レティーロ駅近くの国際中央郵便局に向かい、日本へ小包を郵送する手配をする。コルドバに続き、アルゼンチンから2度目の日本への郵便物。郵送物を段ボールにつめ、コルドバで買ったPapel maderoでくるむ。前回と同じ手配だ。

悪名高いブエノス・アイレスの郵便局から日本まで、中身が全て届くかは、分からない。それでも、連休の合間の平日である今日の郵便局は多くの人々で混雑している。

南アフリカ航空のカウンターなどに立ち寄った後、El Ateneo Grand Splendidの本屋までサンタ・フェ通りを歩く。イギリスのThe Guardianによって、世界の書店ベスト10で2番目にランクづけされた本屋である。

かつて劇場であったその本屋は、表に舞台があり、中は大きな吹き抜けになっていて、3階まである客席がそのままに残されている。人々はあちらこちらに備え付けられた椅子に腰をかけて本を読み、ドーム状の天井には淡い絵が描かれている。

日本や東京のガイドブック、浮世絵、歌川広重、名所江戸百景の書籍も置かれており、店頭には1Q84も平積みになっている。そして、マルビナス紛争に関する書籍も、ある。

ウルグアイのコロニアル・デ・サクラメントへ行くボートの手配をしにコルドバ通りのColonia express社のオフィスに立ち寄る。イースター連休の今週はどこも混んでいるようで、今週は明日に5席が空いているのみだというので、お願いをすることにする。

映画館通りであるラバージェ通りには金券ショップがあり、そこで20時から行われるというタンゴのチケットを購入する。

Galerias Pacificoのきらびやかなショッピングセンターをあがると、会場のCentro Cultural ;Borgesに到着する。

今日は「Concierto Tango」を題した、Alicia Orlando氏とClaudio Bameix氏のショーが行われる。舞台は3部に分かれ、Alicia氏が書いた物語にそって、3組のカップルを演じていく。タンゴの踊りの背景に、時折Claudio氏が制作した白黒のかつての映像が流れる。

最初にAliciaが一人踊りはじめる。年を重ねたぶん、最全盛だったころのような踊りのキレはないのかもしれない。身体もかつてよりも重くなっているのかもしれない。体型だって、変わったのかもしれない。それでも、彼女の身体には彼女の人生だけではなく、国の歴史やリズムが刻まれていた。

舞台が終わった後に、話を聞くと、タンゴがまだ流行る前の今から30年ほど前に、10組のカップルを集めてタンゴを踊りはじめたのだという。実際の夫婦である二人は、今ではタンゴを教えるクラスももち、家でも毎日踊っているという。

二人の人生は、踊っている。

ショーが終わってから、先日も行ったプエルト・マデーロ地区の「チョリパン通り」に再び行く。今日も、洗練された高層ビルの裏で、派手なイルミネーションにともされたチョリパンの屋台が並んでいる。その中でCorriendo La Vacaを選んで席につく。チョリパンと並んで勧められた、豚肉の炭火焼をパンにはさんだBondiolaを食べる。今回も、テーブルに並べられた野菜をたっぷりと肉のうえにのせて、かぶりつく。