ルサカのおっかな道歩き - Lusaka, Zambia
朝の4時にはルサカのバスターミナルに到着した。窓の外から幾人かの客引きがこちらに手招きしているのが見える。声をかけてきた一人のタクシー運転手にお願いをして、宿へと向かうことにする。
朝食は、プールサイドで暖かな日差しをあびながら、トーストにバターやピーナツバターをぬってかじり、ミルクコーヒーを飲んで、林檎をかじる。
まだ開業1年も経っていないというこの宿は、アイルランドから来た女性とザンビア人の彼が立ち上げた宿で、「まだまだこれからなんです」と言う。昨年たまたま物件を見つけて3、4か月でプールやバーを備え付け、営業を開始したという。
今日はルサカの街を歩いてみることにする。宿はカイロ通りの東にある高級住宅地が並ぶ一角にある。そこから人々の集まる賑やかなバスターミナル付近まで行く。
消防署や警察署、学校やNational Heritage Conservation Commisionの本部などがある。道ばたで鶏を揚げている女性、ピーナッツを籠に入れて売る女性、さとうきびを頭にのせて運ぶ女性、「Blues for Life」とペンキで書いたテーブルに並べた飴を売る男性、眼鏡をかけた学生風の男性たちがいる。
建物の2階にあるTAZARA鉄道のチケット売り場へ向かう。ルサカの北に位置するKapiri Mposhiからタンザニアのダル・エス・サラームに向けての明日発の列車のチケットを買い求める。
列車は4人一部屋の1等車、6人一部屋の2等車、クッションのきいた座席super sitterと、硬い座席の3等車に分かれている。1等車、2等車は男女で部屋が分かれている。1等車は常に人気で既に売り切れていた。そこで、2等車のチケットを購入する。
Kapiri Mposhiまでは、今回もMazhandu社のバスに乗っていくことにする。バスのチケット売り場の近くに、サツマイモを揚げている屋台があり、人々が集まっている。揚げたてのそれを新聞紙にくるんでもらい、塩をふってほおばる。ふかふかとしたさつまいもがかりっと揚げられている。
そこに集まっていた客はBemba語を話すといい、この芋はBemba語で「Kandolo」というのだと教えてもらう。この辺りの人々はみな、英語も含め、いくつもの言葉を流暢に話すことができるのだ。
真っ白なモスクのそばに、Kamwaia市場がある。電気用品、家具、文房具や教科書のコピーやDVD、衣服やヘアーアクセサリー、ウィッグに果物、トマトやオクラなどの野菜、豆に乾燥魚などが所狭しと並べられている。
市場の中の1軒の食堂に入る。店頭の炭で焼いているチキンに、とうもろこし粉を材料としたNshima、野菜と豆を合わせてもらう。チキンは香ばしく、塩を少しふったNshimaは主食になる。
市場から鉄橋を渡り、街の中心であるカイロ通りを歩く。すると、ある男性がふいにぶつかってきて、それから、真正面から鞄に手をかけ、脚をからめてきた。衝動で鞄をぎゅっとおさえると、男性は諦めて、去っていった。どぎまぎしたまま、足を進めていると、右後ろのポケットに入れていた紙が抜き取られていたことが分かった。
おっかないこと、この上ない。
チャチャチャ通りを歩き、地元の人たちの市場であるCity marketやTown Center Marketに立ち寄る。ふとある二人組がどうしたのですか、と声をかけてくれた。良かったら、案内をします、と言って、市場をぐるりと回ってくれた。
二人は、女性の数学の先生とその上司であった。女性は、毎日この市場に来ては食料を買っていくのだという。Nshimaは昼、夜に毎日食べていて、朝は紅茶とパンや、ご飯を食べたりもするのだそう。コーヒーは値段が高いので、ザンビア人はたいていお茶を飲むんです、と言う。ザンビアはさまざまな表情をみせる自然に囲まれた国なんです、と笑った。
彼女は最近携帯電話でfacebookを始めた。周りのザンビア人の友だちもfacebookを始めているのだとも言った。
干した魚や、きゅうりやトマト、玉ねぎ、じゃがいもといった野菜、バナナといった果物や卵、中国製の衣服や米国からの中古衣料品、機械の部品などが売られ、多くの人が行き交っている。
一部の市場の女性たちが白いパウダーを顔につけていた。女性たちはその白いパウダーをつけあっては、きゃぴきゃぴと笑っている。
近しい人が亡くなった際には喪に服して、こうしてパウダーをつけることで周りの人たちに知らせる。そして周りの人々は、食料やChitenge Materialsという布などを渡すのだという。彼女たちの近しい人が亡くなり、そしてこの国の前副大統領もまた亡くなった。
あちらこちらの店に、ハングリー・ライオンの店にだって大統領の肖像写真が飾られているような国だから、前副大統領が亡くなるということも大きな出来事に違いない。
女性たちは嬉しそうに、頭からパウダーをかけてくる。玉ねぎを購入して、その場を離れることにする。
SUBWAYもある町の道を、ピーナッツを籠に並べて頭にのせた女性や、揚げパンをプラスチック容器に入れて売り歩く男の子が歩いていく。明日からの列車の旅に備えて、買い出しを始める。
さらなる買い出しに、最近できたというLevyショッピングセンターにあるPick n Payに立ち寄る。スーパーの品ぞろえは南アフリカからまだほとんど変わらず、南アフリカ産の製品もよく見かける。ビールも南アフリカ産のBlack LabelやナミビアのWindhockのほうが、ザンビアビールMosiより前面に押し出されていたほどだ。
このショッピングセンターには、WoolworthsやZAMBEEFも入っている。買い物客は、外を歩いていた人たちとは少し違った装いで、裕福な様子だ。
夕食はoxtailのスープパスタにチーズをたっぷりとかけて、この周辺でもよく売られているナミビアの軽快なビール、Windhock Lagerを合わせる。
地元の人たちの収入を考えても、どうして(市場より高い)スーパーで物を買えるのか分からないんです、と言った宿のオーナーの言葉を思う。
2012/04/19 23:28 | カテゴリー:Zambia