Top > ブログ

ビクトリア滝とジンバブエ国境 – Victoria Falls / Livingstone, Zambia

朝は昨日買ったパンをトーストして、紅茶を淹れ、りんごをかじる。Zamloafという名のザンビア産のパンの袋には「Be Proud. Buy Zambian. Buy Zamloaf.」と書かれている。

今日はバンに乗って20分ほど、リビングストンからほど近いビクトリア滝を見に行くことにする。

ビクトリア滝の幅1.7kmのうち、ジンバブエ側が0.5km、残り1.2kmはザンビア側に属している。ザンビア側には、滝の上流を眺める道や水しぶきに虹をみることのできるKnife Edge橋などが備わっている。

上流のほうまで歩いていく途中、滝が、その高さを越えるほどの大きな水しぶきをあげているのが見える。そしてそこに虹が二重にかかっている。

雨期にあたる今の時期の滝は、水しぶきが滝を真っ白く包みこむ。滝のそばを歩けば、その高さと同じところを歩いているのに、水しぶきで大雨が降っているかのようになる。しぶきで目が開けられないほどだ。全身ざっぷりと水浸しになる。

ヒヒがキーキーという大きな声を出している道を下っていき、滝壺まで行く。入口で「食料を見せないでください、ヒヒにやられますから。」と言われていた。ヒヒはヒヒなりに、身体をむしりあったり、子どもを抱えて歩いたり、仲むつまじくやっているのである。

オレンジ色の花が咲き乱れ、みみずの這う道を30分ほど下がれば、滝壺へと到着する。左手にはジンバブエと国を分け合うビクトリア滝橋がかかり、その上を黄色い列車が走っていく。右手には滝のしぶきがあがっている。

さきほど水浸しになった身体をあたため、ビスケットをつまみながら、のんびりと腰をかける。強い太陽を浴びながら、ぱらぱらと小雨を降らせる。

世界遺産だというが、ザンビアらしく、どこかワイルドで野性味あふれていて、良い。デートスポットにもなっているようで、地元の男女が仲良く、滝を見に来たりしている。

ジンバブエとの国境があるビクトリア滝橋へ行くには、一度イミグレーションを通る必要がある。ビクトリア滝橋を見に行きたいんです、と言えば、パスポートを持っていなくても、小さな紙ぺらにスタンプを押してくれて持たせてくれる。その紙はしをゲートの係の男性に渡せば、それで良い。

ゲートを越えて歩いていくと、ビクトリア滝橋にたどり着く。長く広がるビクトリア滝が水しぶきをあげながら、茶色い滝壺へと水を落としているのが見える。さきほど腰かけていた滝壺には、虹がかかっている。

橋の中心にある、国境線を越えて、ジンバブエ側のイミグレーションまで歩いてみることにする。

いのししが道を横切り、猿が道沿いで動き回り、アイスクリームやドリンクの屋台がほそぼそと営業をし、人々は頭に物をのせて歩いていく。おだやかな道だ。

20分ほど歩いたところにジンバブエ側のイミグレーションオフィスがあった。柵の向こうはジンバブエである。

ビクトリア滝橋の真ん中、つまり国境の上にはバンジージャンプがあり、ジンバブエ人の男性が働いていた。かつてインフレ率数十万%となったハイパーインフレーションを経験し、破綻した経済の渦の中にいたその男性も、今ではずいぶんましになりましたよ、と笑った。

リビングストンでも、ビクトリア滝でも、歩いていれば、50 billionと書かれたかつてのジンバブエ紙幣を手に、これを1万ザンビア・クワチャ(約US2ドル)で買わないかと、何度も声をかけられる。

ザンビアのイミグレーションへ戻る道を歩いていると、タクシー運転手だという男性が、通常の値段の半額くらいの価格を口にしながら、勧誘をしてくる。明らかに、酒臭い。

イミグレーション・オフィスに戻り、「橋に行ってきました。」と申し出ると、再び紙ぺらにスタンプを押してくれ、それを持って外のゲートの係の男性に渡せば、良い。

滝の入口近くにある、「選ばれたタクシー運転手しか入れないエリア」まで戻り、そこからタクシーを捕まえることにする。リビングストン出身だというそのタクシー運転手は、ザンビアはずいぶん変わったという。景気も良く、生活は良くなり、人々はより幸せになった、と人のよさそうな運転手の男性は、そう言った。

牛が道を遮り、歩いていく。車のフロントガラスには サッカー・クラブ、チェルシーのシールが貼られている。

こうして、リビングストンの町中に戻ってきた。両替ができると聞いた郵便局内のWestern Unionを尋ね、ボツワナ通貨プラからザンビア通貨のクワチャに両替をしたいと言うと、「(ザンビアの)クワチャはありません。」と言う。今日誰かが両替をして、在庫ができれば両替ができるようになりますが、今はありません、と言う。自国の通貨への両替を受け付けていないのであった。

辺りには闇両替商が数多くいて、あちらこちらから声をかけられる。両替の看板を出した店舗で両替を済ませ、一息つく。

HUNGRY LIONという、リビングストンでも数軒の店舗をもつ南アフリカのファストフード店に立ち寄る。舌を出した陽気なライオンが店のあちらこちらに描かれている。

100%チキンと書かれた、「ジャングル・チーズ・バーガー」に、ポテトとファンタオレンジを合わせてオーダーする。パンはふっくらとしていて、チキンはさくっと揚げられている。明るいその店内は、外の雰囲気とは一線を画している。ファスト・フード店とはいえ、ハンバーガーはのんびりと待って、提供される。

夜は宿のテレビに流れたチェルシーとバルセロナの試合にみなが熱狂するのを眺めながら、身支度をして、ルサカ行きバスに乗るためにバスターミナルへと向かう。

時間が正確だと勧められたMazhandu社のバスは、車内も清潔、座席も快適である。車も人もほとんど見られない夜のリビングストンの街を、バスは首都ルサカへと走っていく。