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列車が牛をひき、男たちがサッカーを観戦する。 – Tazara Railway to Dar es Salaam, Tanzania

朝起きてみると、外は草が生い茂り、ヤシの木が生えている。窓を開け、木の棒で窓を留める。外からむわりとした空気が風とともに車内に入ってくる。コンパートメントにはオーダーされた朝食が運ばれてくる。朝食はパンとソーセージ、卵と紅茶2杯である。

電車は変わらずガタンガタンと上下に揺れ、時折故障したかのようにギギギと音を立てて、停車する。駅に停まれば、バナナやらドリンクやらを運んでくる人たちが窓の外にやってくる。

子どもたちがあちらこちらから走ってきて電車を追いかける様子も変わらない。

昼食は駅に停車したときに窓の外に売りに来たものをいただくことにする。バナナのフライにトマトをのせたものや、油で焼いたチャパティ、甘みのある揚げたマンダジ。それぞれ新聞紙に包まれて駅のホームや線路から手渡されたものを受け取る。

テレビからサッカーのアフリカカップの試合を何度も繰り返し流している。前回ザンビアが一位になり大いに盛り上がったのだと、隣に座ったザンビア人の男性が、嬉しそうにこぶしを振り上げて語る。だから、こうして何度も繰り返し、見るんだ、と付け加えた。ビールを飲むものもいれば、ペプシコーラを飲むものもいて、みながテレビに釘付けだ。

その男性はザンビアのテレ・コミュニケーション企業で働いていて、中国の天津に半年間勉強をしに行っていたのだという。今回はその滞在時の荷物をピックアップしに、ダル・エス・サラームに向かっている。

別の男性はザンビア政府で働いていて、JICAのことをよく知っていた。数学や理科を教える日本語教師のことや、環境衛生問題において支援を受けていることをゆったりと話す。

話をしているうちに、右手にセルー動物保護区が広がるエリアにさしかかる。キリンやインパラがのんびりとしていて、鳥が空を飛んでいく。そして、たくさんの牛がいた。

窓から草むらの中に動物たちを探していると、列車がガタリと停まった。たくさんの牛を轢いたのだ。列車のわきには、既にひっくり返って動かなくなっている牛、下半身がくだけ血にまみれた牛、不自由な足になりながら、必死に立とうとする牛がいる。

乗客が眉間に皺を寄せて、窓の外を眺める。ある人は線路に降り、牛をこつりとつつく。しばらくすると、また列車はがたりごとりと動き出した。

そのうちに食堂車はテレビで繰り返されるサッカー観戦に熱狂する男性たちで溢れ出す。

列車はこうして3日目の18時にはダル・エス・サラーム駅に到着した。駅を降りるとすぐにタクシーの客引きがある。そのうちの一人の男性に連れられて、ザンジバル島へのフェリー乗り場や次の目的地モシまでのバス会社を回った後、勧められたGold Plazaホテルに宿をとることにする。

この街で、シャワーに入っている最中に外からの侵入者に部屋に入られ物を盗まれたという話も聞いていたので、宿の中でもなにやら緊張である。

部屋の向こうからアザーンが聞こえてくる。今までキリスト教一色だったところが、ここでイスラム教の空気がどっと入ってくる。

夕食は宿の隣にあるイスラム教のレストランでとることにする。チキン胸肉に野菜やトマトスープ、それにライスやチャパティを合わせる。ビールは置いていないということで、かわりにMaltiを頼む。タンザニア製、ノンアルコール、モルツ薫るレモン&ライムテイスト、を選ぶ。ビールの味とは似ても似つかないが、それでもさっぱりとした飲み口でぐいぐいといく。

スパイスのよく効いたチキンは柔らかく、チャパティは店頭で焼かれ、ライスは風味がある。久しぶりのライスである。