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南アフリカに降り立つ。 – Johannesburg / Cape Town, South Africa

目を覚ますと、夜の時間帯を迎えているエリアを既に抜け、前方に朝日があがっている。南アフリカはアルゼンチンよりも5時間早い。

南アフリカ時間の7時過ぎ、朝食が配られる。チーズにハム、チキンにクリームチーズ、オリーブやトマト、苺のヨーグルトにフルーツ、それにクロワッサンが配られ、バターと苺ジャムが添えられている。コーヒーやオレンジジュースを合わせていただく。

既にアフリカ大陸の空にさしかかっていて、土色の平地のところどころに木々の見える大地から、ヨハネスブルグへと近づいていく。

緑や茶色の円形の畑から、ぎっしりと並ぶ住宅地、そしてそびえる高層ビルが見えてくる。最近はヨハネスブルグの治安の悪化から、大手ホテルや外資企業が街の中心から撤退しているとも聞くから、閑散とした様子かと思っていたら、空からは緑の木々に囲まれて、赤い屋根の建物が並んでいるのが見える。

8時半ころ、スムーズにヨハネスブルグに到着する。バスでの長距離移動と比べてみると、飛行機は確実に速く、大陸間がこれほどまでに、近く感じられる。

SAMSUNGの大きな広告を眺めながら、イミグレーションへ進む。職員のほとんどが黒人で、そのうちの一人の女性のところで手続きをする。カジュアルなジャケットをはおった女性が、ヨハネスブルグにカチコチのこちらの心を明るくとかしてくれる。

今回の航空券は、ブエノス・アイレス、ヨハネスブルグ経由ケープタウン行きを購入している。そこで、預けていた荷物を一度取って、再度カウンターでチェックインをする。「出発時間が早まったんです、急いでください。」と言われる。

そこからいよいよ警察や軍人、私服警察官がわんさかいると聞く、ゲートの向こうへ、できればゲートから出たくない気持ちを抑えながら、繰り出す。

ゲートから出た途端、セキュリティらしき服を着た男性が手招きをしながら、どちらに行くのかと尋ねてきて、出発ゲートまで連れて行ってあげます、と言う。

その男性は、空港には警察や軍人が大勢いるから安全です、と言う。そして最後に続ける。「お給料をもらっていなくて、チップで暮らしているんです。チップをください。」

ゆるい荷物検査を受けて、搭乗口へと向かう。バスに乗って飛行機に乗ると、ほどなく出発だ。ケープタウンからヨハネスブルグへとまた後日戻ってくるものの、あっという間のヨハネスブルグだった。

赤信号で止まると強盗に合うから車は赤信号で止まらない、とか、停車せずに済むように徐行するとか聞いていた、その街で、車が走っている。

ヨハネスブルグからケープタウンはわずか2時間と少し。街の住宅地をぬけると、舗装されていない道が見えてくる。添乗員は英語やフランス語を互いに話している。

ラタトゥイユとチキン、レタスをはさんだサンドイッチと、アーモンドデニッシュが配られ、コーヒーやマンゴージュースを飲んでいたら、やがて海岸線が見え、緑の木々に赤い屋根の家が並ぶケープタウンに到着する。

外は、雨が降っている。ここでもSAMSUNGの楽しげな大きな広告を眺めながら、エスカレーターを下り、荷物を取る。

壁には「休暇は必要ない、必要なのはケープタウン。」「私はケープタウンを変えに来たけれど、ケープタウンがわたしを変えた」といった観光局の広告が貼られている。

ゲートを出て、ATMから現地通貨を引き出し、中心地へ向かうバス乗り場へと向かう。ケープタウンの治安はヨハネスブルグよりはまだましだというが、それでも新婚旅行で来て殺された旅行者がいて、強盗にあった話も聞いているものだから、急ぎながら歩く。

旅慣れた方に、「アフリカは大きな荷物を持って宿探しをしてはいけない。特に大きな街では、前もって宿を予約をしておいたほうが良いよ」と助言をいただいていた。

空港から、My CITIというバスに乗り、街の中心にある、シビックセンターに向かう。かちこちになりながら、バスにちょこりと座っていたものの、バス会社の人たちも、運転手の男性も、親切極まりない。

運転手の男性は、案内をしながら運転をするから、とわたしたちを運転席の近くに座らせて、街中に向かう間に場所案内をしてくれる。つぎはぎをした家やトタン屋根のシンプルな家の並ぶエリアをぬけ、高層ビルが立ち並ぶシビックセンターに到着する。

シビックセンターに到着すると、そこから宿まで行くMy CITIのバスもあると言って、バスのチケットカードの買いかたを丁寧に指導してくれ、周りの人たちに、わたしたちの面倒をみるように、と告げた。彼らは英語だけでなく、ドイツ語と似たAfrikaansを話している。こうして、あちらこちらから親切に声をかけられる。

バスに乗って宿に荷物を下ろした後、ケープタウンのメイン通り、ロング・ストリートを歩いてウォーターフロントまで行く。洒落たレストランなどが並ぶ通りにはところどころにセキュリティと書かれた制服を着た男性が立っている。

道におかれたアパルトヘイトに関する看板を、黒人の男性が見入っている。

人気の少なくなった道を足早に抜けた場所で、日本船籍の船がドックに入っていた。白い船体に黒字で「第六十八若潮丸」と書かれ、船底は赤く塗られ、日の丸が掲げられている。

このウォーターフロントは、旧港を中心としたビクトリア&アルフレッド入江、テーブル湾からなる再開発地区で、19世紀の建物を再現している。洒落たレストランや大型ショッピングモール、観覧車などが港に並んでいる。

祝日のうえ、天気が良くないためか、賑わっているはずのウォーターフロントにも人はまばらで、メリーゴーラウンドは止まっている。

ビクトリア・ワーフ・ショッピングセンターに入り、大型スーパーPick n Payで買い物をする。入口入ってすぐに寿司コーナーがあり、男性が一人、寿司を巻いている。サーモンや海老、マグロ、豆腐の寿司、それにフジ・スペシャル、という名のメニューもある。

ブエノス・アイレスでひたすら探したノートが、ここでは何種類も並べられ、調味料も豊富で、醤油だけでも何種類も置かれている。

スーパーで買い出しを終えて、サンリオの売店を通り過ぎて、MyCITIのバスに乗り、宿へ戻る。

夕食は、トマトと玉ねぎとチーズのペンネにマテ茶を合わせる。久しぶりのシンプルな食事で身体が軽くなった。