エチオピアでイスラム教徒の多い街、ハラール – Addis Ababa / Harar, Ethiopia
エチオピアのバスも早い。今日は6時発のバスで、ソマリアに近い、東のほうのハラールという町に向かう。雨の降るまだ暗く人も歩いていないアディスアベバをタクシーの窓の外に眺めながら、ターミナルに到着する。
町にはアザーンが響いている。
エチオピアのいくつかの町へは、高級バスが走っている。高級バスといっても、リクライニングしなかったり、布は破れていたりするけれど、とにもかくにも、座席は柔らかく、雨漏りもしない。ローカルバスには予約は不要だが、この高級バスは予約が必要となる。
2社の高級バス会社のうち、Selamバスを選んでみる。時計は、やはりエチオピア時間を指している。朝6時。 ― 時計は正確に0時をさしている。
出発してから2時間半ほど、バスが停まった。前には行列ができている。大きなトラックが転倒したのだった。こういうことはよく起きるんだ、とハラール出身の男性が言った。
車内には演歌ふうの音楽が穏やかに流れている。高級バスらしく、軽食のサービスがある。添乗員の男性がプラスチックのかごに入れたスポンジケーキを配る。続いてミックス・ジュースか水をどうぞと配っていく。
しばらくすると、倒れたトラックを横目に、バスはわきの砂利道を揺れながら進み、舗装道へと戻ってハラールへとまた急ぎ出す。
12時半ころ、Hirnaという小さな町に到着し、お昼休憩となる。馬が人をのせ、山羊が歩いていく。道行く男性も子どもたちも話しかけてくる。一軒の食堂に立ち寄り、他の客が食べていたインジェラを注文する。
じゃがいもとにんじん、それにスパイシーな豆とビーツののったインジェラだ。ここでも男性たちグループが数組やってきては、わたしたちに話しかけ、右手でインジェラを器用に包みこんで口に放り込み、あっという間にたいらげて、店を出ていく。
30分ほど休んだ後、バスはまた出発する。段々畑が広がり、人々は腰をかがめて作業をしている。ところどころ藁の積まれた丘があり、平地にいけば、牛を追う人々がいる。
草地でサッカーをしている男の子たちがいる。
到着近くなると、再び水の入ったペットボトルが配られる。
こうして16時過ぎにはハラールの街に到着した。バスを降りたところに女性たちが集まり、わきに水のタンクを置いて洗濯をしている。
ハラールは、1520年にダカールから遷都された街である。そして、数多くのモスクがある、イスラム教徒の多い街だ。
城壁に囲まれた旧市街と新市街に分かれていて、新市街は舗装された道が通り、近代的な建物が並んでいる。
初代アミールのAmir Nurの肖像が飾られたゲートをくぐり、旧市街へと入っていく。
中心にあるアドハネ・アレム教会の少し先に、おじいさんと少年がやっている、街角のコーヒー屋でコーヒーをいただくことにする。プラスチックの容器に入れた砂糖を3杯カップにすくって、ポットに入っていたコーヒーを注ぐ。
ハラールコーヒーも有名だ。真っ黒な色のコーヒーも、チョコレートのような味がして美味しい。
モスクの隣にはNure Roasted Harar Coffeeと看板のたつコーヒー工場がある。ふわりとコーヒーのアロマが漂う。
そこから石畳の細道へと入っていく。市場では、バルバリなどのスパイス、野菜や果物、土でできた平たい器に黒の上薬を塗った陶器などを女性たちが売っている。
あちらこちらで子どもたちが写真を撮って、といってポーズをとったり、あるいは「マニ」や「ペン」と請う。
ギリシャ商人の豪邸を改造し、フランス詩人でここに定住し貿易を営んでいたランボーの資料を展示したアルチュール・ランボー・ハウスにも子どもたちが連れて行ってくれる。
道ばたで売られている小さなサモサを口に入れながら、散歩をする。
ハラール式住居では、生活用品や民芸品などで壁を装飾するらしい。インジェラを置くための籠やホーローの洗面器が色鮮やかに壁にかけられ、真ん中には絨毯にクッションが置かれたスペースがある。
更に石畳の道を歩いていくと、チャイを提供している店があったので、薄暗い店内に入る。ほとんど暗くて見えない店の奥には、男性たちが寝そべって休んでいる。チャイは甘く、スパイスが効いていておいしい。
アザーンの鳴るモスクでは男性たちが祈りを捧げている。
Asmaddinゲート近くにたった市場には、暗くなってもまだ人々が大勢いる。女性たちはヘッドライトや懐中電灯を使って、売っているパンやドーナツなどを照らしだす。
一角では、豆のワットにパンをつける店が並んでいる。それぞれ女性が炭で火をおこし、そこで小さな鉄のボウルに油をひいてワットをつくる。その小さな鉄のボウルを鉄のトレイにのせて、あとはパンをのっけて提供される。パンはフランスパンのように外は硬く、中はもっちりとしている。
隣に座っていた少年が、煙草を吸いながら物乞いをする男性に、チャイとパンを買い与える。「僕は勉強をし、収入を得る方法を知った。貯金もある。でも、この人はその方法を知らない。だから、与えるんです。自分が歳をとったら、誰かに助けてもらうことになるだろうから。」
エチオピアによくある、喫茶店や酒屋の裏にある宿、ブンナベッドで眠りにつく。
2012/05/09 23:38 | カテゴリー:Ethiopia