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お城と、マキアートとフルフルインジェラ。 – Gondar, Ethiopia

エチオピア風インテリアで装飾されたレストラン、ハベシャ・クットフォーに行き、美味しいと聞いてたシロ・テガビノを注文する。

濃厚な豆のペーストをチリやトマト、たまねぎなどが洒落たふうに飾っている。男性同士の客だけではなく、家族連れの客もいる。珍しいことだ。

二つ隣の席にいた男性が、彼も見知らぬ隣の男性が食べていたインジェラを指差し、「このインジェラをどうぞ。」とわたしたちを誘う。「インジェラを分け合うのが、文化なんです。」と言った。

そこからほど近いゴンダールの城へと歩く。ここには17~19世紀、約200年間続いたゴンダール王朝時代に建てられた6つの城がある。

アフリカに中世ヨーロッパのような城がそびえたっているため、「不思議の城」と呼ばれるようになったのだという。

広い敷地に、ほどよい大きさにまとまった城がぽつりぽつりと建っている。

ファシリデス王の城、イヤス王の宮殿、バカファ王の宮殿、メントゥワブ女王の宮殿、ダビデ王の音楽の間、ヨハンネスⅠ世の図書館。蒸気式サウナやプールの跡。

ゴンダールの城は、占拠していたイタリア軍を追いだすためにイギリス軍が爆弾を落として廃墟となったものの、ファシリデス王の城だけは無傷だったという。

貧しい人を助けたことで有名なヨハンネスⅠ世は図書館をつくり、ダビデ王の音楽の間では、宗教音楽が奏でられていたという。

明るい日差しが入り込み、さわやかな風が吹き抜ける。

トゥクトゥクに乗って、17世紀、イヤス王により建てられたダブラ・ブラハン・セラシエ教会に行く。1800年代の南スーダンからのイスラム勢力との争いからも街で唯一生き残った教会だという。ここの天井に描かれたエチオピアの天使は、よく知られている。

その後は、ミニバスに乗って、ファシリデス王のプールへと向かう。煉瓦造りの建物の周りに、大きくプールがほられている。毎年トゥムカットのときにここに水を貯めて、洗礼が行われる。

大きなプールの周りには木でできた観客席が備えられ、根をにょきにょきと壁にはった木々が並んでいる。

ゴンダールの街の中心に、古びたエチオピア・ホテルというのがある。そこの1階がカフェになっていて、地元の人々で賑わっていた。

鏡のはられた壁に、エチオピア航空のポスター、真っ赤なエスプレッソ・マシーン。

マキアートを作ってもらう。スタッフの男性は、エスプレッソ・マシーンを使って、慣れない手つきでマキアートを作る。

明日はスーダンへと向かうので、そろそろインジェラ生活ともお別れ。名残惜しいこと極まりない。

昨日と同じゴンダール・ホテルのレストランに入り、大のお気に入りになった、干し肉とインジェラを混ぜたクウォンタ・フルフルをオーダーする。合わせてDashenビールを飲みほす。

アフリカに入ってから、ケーキやアイスクリームをみかけることはずいぶんと少なくなったけれど、エチオピアの北のほうは、ちらりほらりとケーキがガラスウィンドウに並べられているのを見かけるようになった。

そこで、街の中心にあるQuaraホテルのテラスに入り、チョコレートケーキとクリームケーキをオーダーする。不自然に甘すぎるチョコレートケーキと、とんと味のしないクリームケーキを、見事に美味しいマキアートとともにいただく。

どうやらマキアートの味は、作り手によってずいぶんと違う。ぎゅっとしまったコーヒーの香りに、まろやかなミルクが混ざりあう。

ここゴンダールには、かつてゴルゴラでマラリアが蔓延した際、マラリアのない高度2000m以上という条件をもつこの地が遷都先として選ばれたという歴史がある。

そんなわけで、蚊やマラリアを気にすることなく、夜も外に出て風にあたり、涼むことができる。

人の少なくなった道を眺めながら、外に出られることのうれしさを感じる。