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ウズベキスタンのオアシス、ヒヴァ散歩 – Khiva, Uzbekistan

朝食は、宿の絨毯の上でいただく。野菜の炒め物にご飯、きゅうりやトマト、じゃがいもをふかしたものにパンにメロンなどがマットのしかれたちゃぶ台の上に運ばれ、それにお茶のポットと湯呑みがついている。また日本に近付いたことを実感する瞬間だ。シャワー室にもスノコが置かれている。

朝は涼しくそよそよと風が心地よい。

ヒヴァは、トルクメニスタンのクフナ・ウルゲンチが恵みを受けていたアムダリヤ川の流れが変わり首都が移されて、ホレズムの政治、経済、宗教の中心となった街。イスラムの聖都となって、敵を防ぐために二重の城壁が造られた。

昼食は、Choyxonasiレストランでピーマンにひき肉を詰めたものを野菜とともにトマトベースのスープにしたガルプツィに、肉と野菜のスープに入った麺、ラグマンをオーダーする。それをパンに浸しながら、いただく。二つのお皿の味に、たいして変わりはない。

内側の城壁に囲まれたイチャン・カラを歩く。

東門のパルヴァン・ダルヴァザ門から内城に入る。ここはかつて鎖につながれた住民や旅人、そしてロシア人が、奴隷としてトルコ人部族やカザフ族などに買われていった奴隷市場のあった場所だ。

そこから、アラクリ・ハーンによって1830年から1840年ころに建てられたアラクリ・ハーン・メドレセ、タシュ・ハウリ宮殿を通る。土色の建物にブルーのタイルがアクセントを加えている。アラクリ・ハーン・メドレセでは、ユネスコの運営する職工技術訓練センターがあり、水色や黄色に緑といった色が独特の模様にデザインされた布を広げた中で、洒落た格好をした女性たちがそれぞれに商品を作っている。

イスラーム・ホジャ・メドレセとミナレットは、先進的な大臣であったために人気が出てハーンと聖職者たちの陰謀で殺された、イスラーム・ホジャによって建てられたもの。ミナレットはヒヴァで一番高い45メートルある。118段あるという急な木と煉瓦の階段をあがっていくことにする。途中に暗いところもあるものだから、慎重にあがる。

上からはヒヴァの街が一望できる。街に並ぶ土色の建物の天井には、ドームがいくつか並び、小さな穴が開いているものもある。人々の話し声やトントンと何かを叩く音、それにサイレンの音が聞こえてくる。土色の街の向こうには緑が広がり、そこからすっと煙がたっている。青い空には白い鳥が飛んでいく。

道を歩いていると、子どもたちからタタタと走ってきて、ペンやペットボトルをねだられる。久しぶりのことだ。

道ばたでは白やグレー、黒のもわもわの民族帽子が売られている。どうにもファンキーで暑そうにみえるものの、冬は暖かく、夏は涼しいんです、と売り子の女性は言った。

パフラヴァン・マフムド廟には、毛皮職人であり、詩人、哲学者、そしてウズベキスタンの武道、クラッシュの名手であったパフラヴァン・マフムドが眠っている。木の柱には細かな装飾がほどこされ、墓には、藍色のタイルが鮮やかに彩られている。

カラクム砂漠と町の出入り口であったタシュ・ダルヴァザ門まで歩いた後、ジュマ・モスクとミナレットを通る。モスクの中には木の柱がずらりと並び、一本一本違うという彫刻に光が照らされている。

さらに西へと進んでいくと、26メートルでぷつりと途切れたミナレット、カルタ・ミナルが彩釉タイルに覆われているのが近づいてくる。

ハーンの宮殿であった向かいのキョフナ・アルクの門の前には大勢の警官が集まっている。中に入ってみると、中庭のステージ上で口パクの子どもたちが誇らしげに歌いあげ、それに観客たちが盛大な拍手を送る。きらきらの衣装を着た子どもたちがばらばらの歌や踊りをみせて、それを親たちがビデオにおさめ、携帯で撮影していく。誰もが楽しそうだ。

かつて中央アジアで最も大きな規模を誇る神学校で、今はホテルになっているムハンマド・アミン・ハーン・メドレセに立ち寄り、西門のオタ・ダルヴァザ門からイチャン・カラを抜ける。

この国では闇両替と正規の両替レートと開きがあって、闇両替で両替するのが未だに一般的になっている。闇両替は、バザールの人々や商店の人々、それから札束を袋に詰めて歩いている人と交渉することになる。その様子はガイドブックにもきちんと載るほど。でも昼に両替レートを聞いていた商店に夜再度訪ねてみると、両替はできない、と店の防犯カメラを見ながら気まずそうに言う。

夜はその商店で買い求めた、外の固くて中のふんわりした食パンにたっぷりとバターを塗って、ファンタ・レモネードを合わせていただく。

夜遅くに、すっかりと日の落ちたイチャン・カラにもう一度ふらりと立ち寄ってみるも、そこは人の気配もなく、ぼんやりと明かりが灯され、あとはただ吠える犬が脅してくる場所へと変わっていた。わたしたちは、飲みかけのファンタ・レモネードの入ったペットボトルを放り投げて、犬の気を逸らそうと努めた。