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中国の匂い – Border with Kazakhstan / Urumqi, China

カザフスタンの建物から中国のイミグレーションまではバスで15分ほどかかる。その間は砂利などの置かれた荒涼とした土地だ。ブルドーザーが作業をしている。

やがて煙突がたち、建物の並ぶ場所へと入っていく。

建物には、コルガス国境とでかでかと赤い漢字で書かれている。中国側のイミグレーションは、なにやら空港のように電光掲示ときちんとした施設の整っている場所だった。

ここでもバスから大きな荷物を取り出してそれをしょいながら、入国カードに氏名やパスポート番号、宿泊先や生年月日、訪問目的や到着したバスの番号、ビザ番号やビザ発行地などの簡単な項目を記入して、イミグレーションの窓口へと列を作る。日本人ですかと興味深そうにパスポートを覗かれる。

カウンターで、入国カードとともにパスポートを提示する。カメラ機材を持った人が、ニーハオと書かれた看板をバックに、入国者の列を撮影している。

日本人は15日以内の滞在はビザ免除だということを職員同士で再確認された後、スタンプをぼんと押して、「Good bye」と言われる。それから荷物のX線検査へと進む。空港ばりのこの国境では、荷物検査だってしっかりとしていそうだ。

建物を出ると、若い青年たちが再度パスポートをチェックする。その横で、既に両替商とSIMカード売りのおじさんたちが手を伸ばして、わんやわんやとやり始める。

ゲートを超えても、そういったおじさんたちにぐるりと囲まれる。同じバスだった他の乗客たちの手助けでその囲いを突破する。辺りは既に中国語が溢れている。

アルマティから国境まで乗ってきたバスが到着するバスターミナルまで、乗客たちは5分ほどミニバスに乗って向かう。

ミニバスを降りた途端、ご飯の炊かれた匂いがぷんとした。中国のその匂いが日本との近さも感じさせて、とても懐かしい気持ちになる。

バスターミナルに国境を越えてきたバスが到着してからも、なかなかバスは出発しない。ターミナルには食堂があり、フルーツやお菓子を売る店もある。そこで、運転手も乗客たちもご飯をとって休む。マージャンをしている人もいれば、ノートと鉛筆を手に漢字の勉強する坊主頭の男の子もいて、みな急ぐ様子はない。

わたしたちはどうもお腹を再び壊しぎみだったので、中国のご飯の匂いに誘われながらも、ここは少し我慢して、林檎をかじる。

そんなふうに1時間以上ターミナルで休んだ後、バスは再びウルムチに向けて出発する。

日の沈むころ、隣のベッドの若い男性が、ふいにベッドの上に座ってメッカの方角に向かって祈りを捧げ始める。窓の外には白い月が浮かんでいた。

寝転がりながら、頭上のテレビに流れる映画を観る。

カザフスタン-中国国境情報

カザフスタンのアルマティから、中国のウルムチまで国際バスで抜けるルートです。
(※所要26時間、8900KZT)

1.アルマティのサイランバスターミナルでウルムチ行きのチケットを買う。
(※AM 7:05発)
2.当日の16時頃国境到着。
3.カザフスタン側で出国手続。荷物を全てX線検査に通し、パスポートと入国時に記入したカードを提出。
4.中国側までバスで移動。所要15分。
5.中国側で入国手続。入国カードを記入し、パスポートと一緒に提出。
6.国際バスのバスターミナルまでバスで移動。(※RMB 1.00)
7.バスが来たら、乗車。
8.翌日AM 9時頃、ウルムチ国際バスターミナルに到着。

◎両替
 中国側国境を通過した後、個人の両替屋がいます。
 KZT 24.00 = RMB 1.00 で両替しました。

中国へのんびり寝台バスで。 – Almaty, Border with China, Kazakhstan

朝は5時に起きて、中国ウルムチ行きのバスに乗る支度をする。

まだ日のあがったばかりの家の庭には、昨晩は暗くて色を失っていた花が、赤や白やピンクやオレンジの色に染まっている。

6時ころには、昨日も運転をしてくれた友だちが日産車で迎えに来てくれる。きちんとしたメークに、片手には中国で買ったというシャネルのロゴのついた鞄を肩にかけている。ロシア音楽をボリューム控えめにでものりのりに流している。

7時5分発というウルムチ行きのバスは既にターミナルに停車をしていて、それに乗り込む。バスは寝台になっていて、2列の2段ベッドが5つ並び、その後ろに4人並んでベッドがしつらえてある。

入口でビニール袋を渡され、それに靴を入れて、絨毯の敷かれた通路を通り、指定されたベッドに向かう。

中国製のバスも鉄道もシャワーも冷蔵庫も、多くの製品が海外に溢れていて、その多くが最近買われたもので、新しい。そんなわけで、中国製だったら、質はともかくとして、新しくてきれいだろうというイメージがすっかり定着している。

このYutong社製バスも、清潔だった。

出発時刻を10分ほど過ぎてバスは発車する。

ずっと草原が広がり、その向こうに山が連なっている。馬や羊が草を食み、馬に乗って走っていく人がいる。アリくんは、カザフスタンの男性はみんな馬に乗れるんだよ、日本人がみんな寿司を食べれるようにね、と茶目っけたっぷりに言っていた。

川の流れる周りは、緑が深くなっている。だいたいが平らな道を抜け、時折小さな建物やモスクを見かけるほかは、草原が続く。

バスが一度停車すると、乗客は降りてバスに沿うように列をつくる。そして何を確認しているのかは分からないパスポートのチェックを受ける。そして一人ずつまたバスに乗車し、バスは発車する。バスの中に敷かれていた通路の絨毯も外されてみな靴のままに通路に立ったままだ。

まだ家々が並び、辺りは緑が溢れている。

しばらくしていつの間にかバスに乗り込んでいた職員に、再びパスポートの確認を受ける。
そしてまたバスが進み、小川を渡ったところでカザフスタンのイミグレーションに到着する。

それぞれバスの荷物置き場から大きな荷物を持って荷物確認を受ける。X線に確認しているらしき担当者は、いない。

チェックを受けた大きな荷物を持ってイミグレーションの窓口へ向かう。入国のときとおなじように、カメラを撮るために一歩下がって、とジェスチャーで指示されるほかは、なにも聞かれずにスタンプが押される。入国のときに記入をした紙はここで没収された。

建物を出るところでもう一度パスポートの確認を受ける。日本人ですか、と言われて、建物外に出る。向こうのほうには、黄金口岸商貿城と書かれた建物があり、中国のマークが建物に掲げられている。

乗客全員が揃ったところで、再びバスは発車する。

ただここから中国の国境はまだ遠い。