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警察官の街、タシケント – Samarkand / Tashkent, Uzbekistan

今日の朝食も宿で、パンやチーズにハム、ヨーグルト、それにネスカフェのコーヒーやチャイをいただく。パンにはバターとはちみつを今日もたっぷりとつけてほおばる。合わせて出されたセモリナはほのかに甘く、そしてお腹にずっしりとくる。

今日は、ウズベキスタンの首都、タシケントまで行きたい。ウズベキスタンでは、バスに乗ろうとすると、タクシー運転手たちがみな口を揃えてバスは無い、と嘘を連呼してくる。そんなふうなものだから、バスより列車が快適だと聞いていたものの、昨日駅まで行って尋ねてみたら既に列車の席は完売していたので、再びバスでタシケントへ向かうことにする。

今までのバス乗りには苦労をしてきたので、今回も覚悟をする。朝から、香辛料や野菜、魚のフライにお菓子などを元気に売るシヤブ・バザールを通り抜けて、なかなか来ないバスを待って、それに飛び乗りバスターミナルへ行くと、タシケント行きのバスがあっさりと分かりやすく停まっていた。だいたいの人は英語が通じないが、どこからともなく現れた英語が片言できる男性が今回も助けてくれる。

バスにはDVDを流すテレビもあるが、やはり冷房はない。天井に開いた窓から容赦ない日差しが照りつけてくる。歳を重ねた欧米系自転車ライダーご夫婦は、バイクをバスにつめている。一昨日はタシケントまでのバスが運休されていたものの、今日はもう問題がないようだった。

道はあくまでも平らで、畑や乾いた土が広がっている。時折牛が放たれ、道ばたにはスイカや瓜が売られている。川に飛び込んで泳ぐ人々もいる。そんなふうにバスに揺られること4時間半ほど、タシケントの町へと近づいていく。

タシケントはかつては悪質な警察も多かったといい、今でもなかなかに厄介だと聞いていたので、町に入ると緊張を強いられる。何か口実をつくって賄賂をとろうとしたり、所持金の検査と言いつつお金を抜きとったり、するらしい。バスを降りれば、そこには途端に緑の制服を着た警察官が数名、集まっている。

特にタシケントの地下鉄は、警察のチェックが激しいと聞いていた。バスターミナルから最寄りのOlmazor駅に入り、おそるおそるプラスチックの玩具のようなコインを買って、改札口を通り、中へと入る。あちらこちらに確かに緑の制服の警察官。やや速度の速いエスカレーターに乗って地下のプラットフォームへ降り立つと、早速また警察官二人が近づいてくる。

その警察官の指示に従い、パスポートを提示する。二人がそれを1枚1枚めくっている間に地下鉄はやってきてしまうが、次の電車に乗りなさい、とジェスチャーで示してくる。こうして地下鉄を1台乗り逃す。言葉が通じないので、向こうも諦めモードでわたしたちを解放し、次の地下鉄に乗り込む。

車内はシンプルなつくりで、ぱらりぱらりと乗客がいる。核シェルターにもなる地下鉄の駅は、宮殿のようなつくりのところもあり、絵が描かれ、豪華なライトがいくつもぶら下がっていたりする駅もある。Paxtakor駅で乗り換えてChorsu駅へと向かう。途中に警察官が乗り込んできたりするものだから、意味もなく緊張させられる。地下鉄では警察による荷物検査もあると聞いていたものの、今回はパスポートのチェックだけで済む。

駅から宿まで、15分ほどの道を歩いていく。途中、Zarqaynarスーパーマーケットを見つけて中に入る。防犯用に荷物預け所があり、明るい蛍光灯に照らされ、冷房ががんがんと効いている。品ぞろえも豊富で、缶詰置き場にもずらりと缶詰が並んでいる。ここ最近こんな光景は見ていない。

お腹を壊してからずっとお世話になっているフルーツジュースのパックも、きれいなままに冷蔵庫にきちんと納められている。そんなわけで、ひとしきり感動をしつつ、パイナップルのフルーツジュースを買って、それを冷房の効いたところでごくりごくりとする。

道ばたにはモスクがあり、久しぶりのアザーンさえ聞こえてきて、近所の人々が入口へと入っていく。

今日はやっとラマダンが明けた三連休のはじまりだというのに、ラマダンを感じられないウズベキスタンの首都、タシケントのラマダン明けもまた平然としたものだった。日が暮れる前でも食堂は開いていて、日が暮れてからも、変わらずに営業をしている。

宿に荷物を置き、再び地下鉄に乗って、WifiのあるGrand Mirホテルへと向かう。もうとっぷりと日が暮れて辺りは暗いが、地下鉄はまだまだ走っている。周りには、SAMSUNGやHyundaiという文字がでかでかとネオンに輝くビルが建ち、冷房の効いた華やかなホテルのロビーからは韓国語が聞こえてくる。

地下鉄の警察官たちは夜でも手抜きをすることはない。行きの地下鉄改札前ではかばんを開けてください、と言われ、帰り道の地下鉄改札前ではパスポートを見せてください、と言われる。それぞれに従っていれば、向こうも威圧的な態度をとることはほとんどなく、日本人ですね、とやや笑顔さえ見せる。

こうして23時を過ぎて乗客もわずかにしかいない駅にも、警察官は目を光らせ、監視カメラがホームを見渡している。どうにも緊張してしまうが、地下鉄は深夜24時まで動いているというのだから、なかなかに便利なのである。

お腹の調子もよくなってきたところだけれど、用心して夜はパンとスイカにメロンで済ませる。