Top > ブログ

ボリビアの日本 – Santa Cruz, Bolivia

朝は、9月24日広場に面したカテドラルを訪れる。中では真っ白の壁に紫色の旗がかけられ、キャンドルのそばで祈りを捧げる人たちがいる。塔に上がれるというので、煉瓦の階段を上がりながら、上まで登る。

塔の一番上ではちょうど鐘を鳴らすためにおじさんがスタンバイをしていた。そのうちにがらんごろんと鐘が鳴り、鳴り終わると、儀式のように油を挿す。

塔の上からはサンタ・クルスの街並みが見える。ラ・パスに次ぐボリビア第二の都市であり、近年発展著しいという。ところどころにひょいと高い建物があり、明るく、開放的な雰囲気がみてとれる。ラ・パスの雰囲気とは、違う。

大型スーパーTIAに立ち寄り買い物をすませて、朝食を取りに行く。

昨日は、オキナワにある日本料理を提供するレストランが夕食準備中で閉まっていたので、今日の朝食はリトルトーキョーと言われている地域にあるスーパーおきなわに入り、沖縄そばだという「うどん」をオーダーする。

鶏肉、油揚げ、うどんに錦糸卵、紅しょうがと刻みネギが散らしてある。そして、もっちりとしたご飯とお漬物に割りばしがついている。それに近くの屋台で買ったチーズの入ったエンパナーダを合わせて食べる。

さきほどまでは閑散としていた店内が、昼に近づくにつれて、日本人、日系人だと思われる人々が続々と入ってくる。そしてときおり、店で働く日本人の女性と言葉を交わし、あるときには持っていってと手土産を手渡されている。お元気ですか。うちの娘がね。ここではおそらく毎日、こうした日本語での会話が繰り広げられている。

スーパーおきなわには、食堂の他にも日本のお菓子や海苔といったものを置く商店がある。
隣のMiura Shotenでも「いらっしゃいませ」と書かれた暖簾の下で、寿司や弁当が店先で日本語で売られ、店内にはご祝儀袋だって置いてある。

ボリビアという国の中で、かつて交通の便がよくなく孤立都市のイメージのあったサンタ・クルスへやって来た理由はたった一つで、JICAの青年海外協力隊員として特別支援学校で働いている友だち、ともみちゃんに会うためである。昨日みゆきさんにお会いしたときに話をしていたら、ともみちゃんのことをご存じだった。

ささやかな手土産に、オーガニックの店で、大きな桃の入ったジャムの瓶と茶葉を買っていく。

そして、カテドラルの前で、ともみちゃんに再会する。

昼食は、ともみちゃんお勧めのLa Cuisine De Los Chefで、セットをいただく。高い天井には大きなシャンデリアが吊るされ、店内には外の明るい日差しがたっぷりと入り込んでいる。

Frangolloのスープに、牛肉のオーブン焼き、じゃがいものグラタン、野菜に黒ご飯、そしてパンのセットをオーダーする。最後にはチョコレートのムースがついてくる。それに冷えたオレンジジュースを合わせる。

そこから、洒落たカフェやレストランの集まるモンセニョール・リベロ通りに行き、Aexander Coffeeに入る。外は晴れていて、店内は冷房が効いていて、心地よい。苺のミルクシェイクとパパイヤのシェイクをオーダーする。地元の若者がおしゃれをして、土曜の午後を楽しんでいる。

サンタ・クルスでは、日がさんさんと照り、空気は濃く、人々は開放的だ。インディヘナの人々は少なく、以前交通の便が悪く混血をしなかったという、スペイン系の人々をよく見かける。靴磨きの男性も、ラ・パスのように覆面をしていない。

友だち、ともみちゃんは一度デング熱にかかったものの、それでも精力的に活動を続けている。働いている特別支援学校は、パイロット校として選ばれているカトリックの学校で、自閉症やダウン症、知的障害(学習障害)の生徒が通っている。就業前のクラス、1年生から8年生、その後の職業訓練としてのタジェール、その間のプレ・タジェールのクラスがある。

現在は「時計プロジェクト」に力を入れているのだという。ここでは、学校に時計がなかったり、例えあったとしてもすぐに壊れてしまって、意味をなさない。1日を時間で区切り、その間に休憩を入れるというカリキュラムを導入することから始める。その前までは、同じ作業を延々と続けるなど、非効率的な授業も行われていたという。時計を購入する予算が出ないのであれば、学校の生徒がその時計のパーツをつくるよう、提案をしていく。

夜は、再びお勧めの、日系人のシェフによるフレンチレストラン、Dossierに連れて行ってもらう。シェフの具志フランクリンさんは、お母様方のおじいさま、おばあさまが沖縄の方だといい、今まで東京、神戸、フランス、イタリア、スペインなどで修行をし、この地サンタ・クルスで開業をしたのだという。

カリフラワーのガスパッチョから始まり、カロテのパスタ、牛肉のローストにポテト、豚肉とプルーンのロースト、そして炎のついたクリーム・ブリュレ。

素材の味がふわりと香る。味はあくまで繊細だ。「海のものは使いません。ボリビアに海はないですから」と、物腰やわらかな具志さんはそっと言って、そしてまたキッチンへと戻っていく。黒い石のプレートは、ボリビアの石だという。店内には洒落たジャズなどが流れている。

静かなサンタ・クルスの夜だ。